拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

『オトナ帝国』だけじゃなくってよ

2007-04-21 20:26:11 | 映画
2001年の春に公開されたクレヨンしんちゃんの劇場版第9作『オトナ帝国の逆襲』で一応子供向け映画にも関わらず1970年に開かれた大阪万博世代を号泣させた事がきっかけで、やっと「クレヨンしんちゃんの劇場版は凄い」という事が認知され始めた。往年のファンである私としては「長かったな、ちくしょう…」という思いが無いわけでも無いが、とりあえずその素晴らしさが幅広い世代に広がり始めたことは喜ばしいことである。その次の第10作『アッパレ戦国大合戦』では文化庁メディア芸術祭で大賞を獲ったり、公民の教科書に載ったりなど、近年ではアカデミックな香りさえ漂う「クレヨンしんちゃん」(ホント?)。93年から毎年制作されてきた映画は今年でなんと15作目。子供の頃から見てたものが、大人になっても続いてるってのは感慨深いにもほどがある。このブログでも数回にわたって「クレヨンしんちゃん」について書いてきたが、今回は本当に傑作ぞろいな劇場版の中から、「しんちゃんビギナー」に向けてオススメ映画を選りすぐり、それについてちょこちょこと書いてみようと思う。もちろんネタバレなし。
93年に公開された記念すべき第一作目『アクション仮面VSハイグレ魔王』以来、毎年公開されている劇場版しんちゃん。今年公開された映画『クレヨンしんちゃん 歌うケツだけ爆弾』で15作目。この最新作は未見なのでコメントできないため記事に書けるのはこれ以前まで。その中から自信を持ってオススメできる傑作を独断と偏見と少しの客観性で選ぶとするならば、98年『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』、99年『クレしんパラダイス!メイドイン埼玉』、2001年『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』、2002年『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』この4つ。
『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』はしんちゃんの落書きから生まれた救いのヒーロー豚・「ぶりぶりざえもん」が大フィーチャーされた映画である。下品で女好きなぶりぶりざえもんはしんちゃんそっくりでまるで彼の分身。そんなぶりぶりざえもんを巡って悪の組織と対決すストーリー。スパイ映画の要素満載で、派手なアクションを好む人におすすめ。ギャグのシーンも他と比べてレベルが高め。っていうかギャグだけなら一番面白いはず。笑いありスリルありちょっと切なさありの一大娯楽映画である。ちなみのこの映画では、漫画の原作者・臼井義人さんのホンモノの歌声が聴けるのも見所。あと、懐かしのヴィジュアル系バンド、シャズナのボーカル・イザムがゲスト出演している。何気にここも見所…か?
『クレしんパラダイス!メイドイン埼玉』は99年公開の映画『爆発!温泉わくわく大決戦』と同時公開された10分ほどのショートストーリーである。10分という短い時間にたたみかけられる濃密なギャグ世界、つい入り込んでしまうこと必至。「ふしぎの国のアリス」のパロディーはしんちゃんとその友達であるかすかべ防衛隊の魅力を余すことなく見せている。youtubeで観れるはず。
『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』は世間で一番認知されているであろう傑作。評判が評判を呼び、普段しんちゃんどころかアニメを一切見ない人にも届いた記念碑的作品なのでオススメしないわけにはいかないだろう。最高傑作に挙げる人も多い。とにかく泣ける。私も劇場で、家で、大粒の涙をこぼした。毎度同じシーンで泣いてしまうのだ。しかし、「これはしんちゃんの映画ですよ。子供に向けた映画なんですよ!」というサインが随所に入っていて、はっとしてしまう。たとえばカーチェイスの場面とか。このサインが無く、一大感動巨編のままラストまで突っ走ってしまっていたらこの映画の世界から出て来れなくなってしまう人、多数だろうな。おもいっきり笑って、胸が一杯になるほど感動してみたい人におすすめ。くれぐれも「クレヨンしんちゃん」だということを忘れずに。
『嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦』は私が劇場で見た最後の映画。この作品で劇場版作品の底力を見た気がする。とにかく戦国時代の合戦のシーンがリアル。細部まで詳しく合戦時の様子が描かれている。「あぁ、こういう手順で戦争してたのかぁ」と思わず学習。戦国時代の武士の暮らしなどもきっちり描写されていて、「クレヨンしんちゃん」だということを忘れさせられる。背景画がリアルすぎて、ふとしたきっかけで戦国時代にタイムスリップしてしまったしんちゃんが合成に見える時も。しんちゃん置き去り気味で進む恋愛模様があるせいか、一部のファンからは「あまりにも『しんちゃん』の世界からかけ離れている」と言われたりしている異色作。その意味ではルパン三世シリーズでいう『カリオストロの城』といえる(そこまで極端に変貌してはいないけど)。戦国時代や武士道、又はラブストーリーが好きな人におすすめ。


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5 コメント

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Unknown (yuji)
2007-04-23 01:01:54
最新作も予告を見る限り泣ける作品の類みたいですね。最新作見に行こうか迷っています。「おまけ」が貰えるんだったら見に行くんですけどね。子供しか貰えないみたいですし。

オトナ帝国はYOUTUBEでみました。ヒロシの半生が走馬灯のように思い出される場面は感動的でした。泣きはしませんでしたが。shallowはオトナ帝国で泣く派ですか。意外です。
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Unknown (yuji)
2007-04-23 01:09:40
最後の1行「さん」づけにしないまま、うっかり投稿してしまいました。
すいません。
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野原ひろし35歳 (shallow)
2007-04-23 12:16:26
ひろしの半生はドンピシャでした。DVD買って何度も見たせいで、「そろそろあのシーン来るなぁ」って部分で早くも涙が。初めて見た時は鳴咽。原作でしんちゃんが生まれた時のエピソードを読んでたので、ひろしが産婦人科に駆け付けるシーン辺りからが特に泣けます。

おもちゃは確か17歳ぐらいまでは貰えた記憶が。若く見える方ではないのでなぜあの時貰えたかは不明です。

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戦国大合戦は良かった (のりこっち)
2007-04-23 20:28:37
私は「オトナ帝国」では何故かまったく泣けませんでした。
世代が微妙に違うからかとか思ったりしていたのですが・・・。
でも「戦国大合戦」では思わず泣いてしまいました。
とても素晴らしいアニメ映画だと思います。
たくさんの人に見て欲しいな。
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 (shallow)
2007-04-25 02:13:07
あ、泣けなかったですか…?うーん…なんか、「あぁ、普段全然注目されてないけどしんちゃんの父親にだって刻んできた人生があるんだなぁ…」という感じで感動しました、私は。
近年「オトナ帝国」が目立ちすぎて「戦国」があんまり注目されてない感じがしますが、あれは世代を問わずグっとくるものがありますね。映画館で隣の席に座ってた、おそらく孫連れのおじいさんが泣いてたのが印象的です。
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