今山の道のあちこちにイカリソウの花が咲いていてきれいです。花の形が船の錨に似ているのでこの名があると言われています。
私はイカリソウを見ると若かった頃優しかった50歳代の先輩のことを思い出してほほえましくなります、内海さん(仮名)とおっしゃいましたけど人生経験かな方でいろんなことを教えてくださった職場の先輩です。
ちょっと髪が薄くなったような気がしましたけどいつも優しい笑顔の方でした。お家に遊びにいったこともあるんですけど、きれいな明るい奥様でした。
あるとき、先輩は私に「君は山歩きが好きなようだけれども、イカリソウって知ってるか。とても健康にいい薬草なんだよ」と言いました。
もう、花は終わった夏でしたけど山の道にはいくらでもあります。私は先輩を近くの里山に連れていって二人していっぱいイカリソウを採ってきて軒につるして乾燥させました。当時私は独身でした。煎じて飲みましたけど何の効果も感じられないので服用など忘れていました。
2週間ほどして先輩は私に当時高級で高価なピースという煙草を二箱お礼だからといって私にくれました。そのころ私は煙草をたしなんでいたのです。香りのいい上品な煙草をしみじみと嬉しく味わいました。
イカリソウの別な意味を後で私も知りました。60年ほど昔の話です。懐かしく微笑ましく思い出しながらイカリソウの咲く山の道を歩きました。木漏れ日のさす杉林の春の道でした。