ぶらっと散歩

訪れた町や集落を再度訪ね歩いています。

下関市豊浦町の室津浦は鏝絵が見られる町 

2020年04月15日 | 山口県下関市

          
        この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分1地形図を複製したものである、(承認番号 令元情複 第546号)
         室津浦は響灘に面し、室津湾に注ぐ沖田川の河口部に位置するが、明治期に2度の大火
        に見舞われ、防火対策として江戸時代からの施行法である家の壁面を赤土で固め、その上
        に漆喰を塗る方法がとられた。再建された家屋に鏝の絵が描かれたが、今では家の建て替
        え等で数は少なくなっている。(歩行約1.5㎞) 

           
         JR黒井村駅は、1914(大正3)年4月長州鉄道の駅として開業したが、駅名は開業当
        時の村名とされた。 

           
         駅前(10:16)からブルーライン交通室津行きバスに乗車、室津漁港前で下車する。

           
         県漁協室津支店前からの中広小路。

           
           
         マップは室津公民館でいただける。

           
         公民館の山手側民家にも鏝絵がある。(私有地のためガイド同行でないと敷地内に入る
        ことができない)

           
         土蔵に「鶴・亀・松竹梅」(2014年10月撮影)

           
         公民館駐輪場には数点の鏝絵が保存されている。

           
         駐輪場裏手に保存されている長さ8mの「龍」の鏝絵。中村家解体の際、3分割に取り
        壊して移設されたという。 

           
         中広小路と東広小路を繋ぐ路地。

           
         元寇の頃に「元」の使者が上陸した地と伝えられ、室津八幡宮も古くから祀られていた
        と考え
られるが史料はないそうだ。一説に室町期の1401(応永8)年宇佐神宮から勧請と
        もされるが確証はないとのこと。

           
         大工として名工匠だった安部浅蔵氏は、1891(明治24)年室津浦の大火で自家の焼失
        を顧みず、室津八幡宮の消火に努めたが社殿は焼失してしまう。心を傷めた阿部氏は、1
        902(明治35)年に70歳の老体を推して復元の陣頭指揮をとったとされる。

           
         室津八幡宮裏手の路地に鏝絵。

           
         中谷家のくぐり門の先に鏝絵。

           
         中谷家のくぐり門にあった「城」の鏝絵。1897(明治30)年10月に新築した際、持
        ち主が額装して室津八幡宮に奉納したが、1905(明治38)年に八幡宮が改築された折、
        持ち主に返納されたとのこと。現在は室津公民館駐輪場に保存されている。

           
         「濱」という姓の頭文字だが、現在は見ることができない。

           
         「濱」の表側に「鳳凰」があり民有地から見学できたが、現在は取り除かれて公民館に
        常設されている。

           
         鏝絵は日本で発展した漆喰を用いて作られたレリーフで、左官職人が鏝で仕上げたこと
        から名が付いたとされる。(東広小路)

           
         玄関側に「つる花」のある民家の路地側には、鏝絵があったような造作がなされている。

           
         「つる花」

           
         神さん小路から民家の細い路地に入ると「龍」の鏝絵がある


           
         薄くなっているが「藤」で、姓の頭文字が描かれている。

           
         室津浦の屋根は石州瓦だが、黒っぽい瓦がまだら模様に見える。(中広小路を横断)

           
         中広小路先の路地。

           
         戸袋に2つの鏝絵があり、右が牛若丸、左は浦島太郎が筆と大福帳・そろばんを抱えて
        いる。

           
         鏝絵の題材は福を招く花鳥風月が中心であり、財を成した豪商や網元が主屋や土蔵を改
        
築する際、富の象徴として外壁の装飾に盛んに用いたと云われている。(汐汲み小路)

           
           
         汐汲み小路の反対側小路に「大黒さんと恵比須さん」

           
         西広小路。

           
           
         西広小路にあるN邸には「鶴・亀・松竹梅」の鏝絵。真向いにあるとされる「龍」を見
        つけることができなかった。

           
           
         「鶴・亀・月」の鏝絵。室津の鏝絵は石見の左官、冨士永桝市の作品といわれているが、
        定かでないとのこと。

           
         西広小路を横断すると突き当りにH家。右側の狭い路地に入る。

           
         廻船で財を成した家だそうだが、なまこ壁の下地は平瓦で漆喰が落ちないように刻みが
        設けられている。

           
         鏝絵の土台をなす造作が残る。

           
         山裾にある阿弥陀院(浄土宗)

           
         1730(享保15)年の大火により本堂・庫裡を焼失して古記録を失ったため、創建年な
        どは不詳とのこと。

           
         奥の院から見る室津浦の町並み。

           
         2013(平成25)年に閉鎖されたヨットハーバーに隣接して、漁港風景を眺めながら宿
        泊できる施設「ヴィラむろつ」が設けられたが、利用者減少で2019(平成31)年3月を
        もって閉館となる。

           
         山手側に共同井戸だったのだろうか2ヶ所あり。

           
         狗留孫山八十八ヶ所第48番札所に手を合わせてバス停に引き返す。


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