小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

明朝、錦織選手が大きな夢に挑む――もう一度、メディアの報道の在り方について考えてみた。

2014-09-08 07:00:50 | Weblog
 今日、書く予定にしていたのはウクライナ紛争についての報道についての疑問だったが、急きょ予定を変更する。錦織圭選手が日本人初のグランドスラム制覇の夢が明朝実現する可能性が高まったからだ。
 その事実は皆さんとっくにご存じだろうから、錦織選手の活躍について、テニスに関しては土素人の私が云々する必要はない。5日(金)に投稿したブログ『今日は雑感――錦織選手の活躍に思う。安倍改造内閣の意味を問う。消費低迷の原因は円安誘導だ』の中で、錦織選手の活躍についてこう書いた。

 錦織圭選手が全米オープンで世界ランキング4位の全豪覇者スタニスラス・ワウリンカ(29=スイス)を4時間15分の激戦を制して破り、4強入りを果たした。そのビッグニュースを昨日、ブログを投稿した後テレビで見て、すごいことをやったなと私も喜んだ。
 が、解せないことがある。つい先日8強入りを果たし、「92年ぶりの快挙」とテレビは大騒ぎをしたばかりだ。4強入りしたら、今度は「96年ぶりの快挙」になった。「ぶり」ということは先人の記録に並んだということを意味し、先人がいなければ「日本人初」という冠表現が就くのが常識だ。
 そう考えると8強入りしたときは、実は「先人の記録に並んだ」ということは意味していなかったということだ。すでに8強入り(準々決勝進出)した先人の4年前に、4強入り(準決勝進出)していた日本選手がいたことを意味するからだ。
 私は錦織選手の快挙にケチをつけるつもりはさらさらない。「…年ぶりの快挙」がそれほど大安売りされたのでは、錦織選手自身がたまったものではないと思っているのではないかと、他人事ながらちょっと気になったからだ。実際今度は世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(27=セルビア)との対戦になる。もしジョコビッチに勝って決勝に進出したら、今度は「99年ぶり(?)の快挙」ということになるのだろうか、という疑問すら生じた。
 92年ぶりも、96年ぶりも、それぞれ間違いではないのかもしれないが、その根拠をきちんと説明してもらわないと、私のような門外漢にはさっぱりわからない。(中略)
(錦織の名前の読み方が局のアナウンサーによってちょっと聞き取りにくいケースがあったので、逆引き漢和辞典で調べてみたが分からなかったことを書いた後)この問題はネットでサンケイスポーツが今朝の5時0分に配信した記事でようやく解決した。同記事で「NISHIKORI」と表記されたからだ。同記事によれば、錦織選手がジョコビッチ選手を破って決勝に進出すれば「男女を通じて日本選手初の決勝進出」とあるが、実際に決勝に進出したらメディアによっては位置付けがまた変わるかもしれない。
 錦織選手のジョコビッチとの対戦成績は1勝1敗で、過去は五分の成績を残している。錦織選手が勝った試合はジョコビッチ選手が肩を痛めていた時というハンデ戦ではあったが、今度は錦織選手が右足親指のけがの回復がまだ万全ではない状態で世界ランキング6位、4位の選手を次々に撃破して勝ち進んできた。相手が世界1位であっても、臆することなく戦って勝利を収めてほしい。「…年ぶりの快挙」ということになったとしてもだ。

 いま私はブログを朝、目がさめてから書くことにしている。以前体調が万全で毎日7~8000字(実数)のブログを書いていたころは、前日の夜に5000字分くらいは書いておき、疲れたら中止して翌朝書き終えて投稿するという習慣だったが、いまは昼間のエクササイズで疲れてしまい、だいたい午後8時からのBSフジのプライムニュースを見て寝てしまう。時には10時からのテレ朝の報道ステーションも見るが、そんなわけで前日には一切書いていない。
 今日も5時ころ目が覚めてざっと新聞の見出しに目を通して、今日はやはり明朝の全米オープンについて書くことにした。明日はおそらく錦織選手が日本人初のグランドスラム制覇に挑む直前に書きだすと思う。結果が分かるころにはフィットネスクラブに出かけているので、結果は外出先で知ることになる。
 実は5日フィットネスクラブで同じプログラムに参加している友人たちと昼食を食べながら、やはり錦織選手の活躍が話題の中心になった。友人たちはメディア出身ではないので、「96年ぶりの快挙」とか「92年ぶりの快挙」とかにはあまりこだわっていなかったが、私が疑問をぶつけると皆頭をかしげた。なかには「別の4大大会で4強に進出した選手がいるのでは…」と善意の解釈をする方もいたが、違う大会での成績とごちゃ混ぜにするようなことはいくらなんでもメディアはしない。「96年ぶりが全米オープン」で「92年ぶりが、たとえばウィンブルドン(全英オープン)」だったとしたら、ちゃんとそう表現する。
 その疑問はその日の夜のNHKニュース7で氷解した。4大大会での準決勝進出(4強入り)は81年ぶりだったということだった。で、急きょネットで全米オープンの成績について調べてみた。96年前も92年前も、日本人男子選手が8強入りしたのも4強入りしたのも、同じく全米オープンだったことがはっきりした。過去の全米オープンでの最高位は4強であることも分かった。つまり準決勝で勝利を収めた選手は過去一人もいなかったのである。
 ここまで書いてふと疑問に思ったのが、準決勝で敗れた選手同士による3位決定戦はないのかということである。この時間ではメディアに電話しても聞けないのでネットで検索してみたが、8月25日から錦織選手の試合だけでなく連日男女1回戦から生中継していたWOWOWの放送予定を見ても3位決定戦の
放送予定はない。ということは、4強がこれまでの最高位ということであり、な
らどうして民放は錦織選手が準々決勝に勝ち進んだ時点で「92年ぶりの快挙」
と大騒ぎしたのかという疑問が生じた。
 これは私のあくまで推測だが、民放の記者は新聞社の記者よりはるかに少ない。映像も放映権を獲得した放送局から買うケースが大半で、独自にカメラマンを送って録画放映するための映像を撮ったりすることは、NHKを除いたまずしない。ということは、民放のアナウンサーが読む原稿も、同系列か契約先のスポーツ紙の配信記事を鵜呑みにして作られているのではないか、という結論に達せざるを得ない。
 スポーツ紙を定期購読している人は少ないようだから、コンビニで買うにせよ駅の売店で買うにせよ、1面トップ記事の見出しが売れ行きを大きく左右する。スポーツ紙は、錦織選手が世界4位の強豪スタニクラス・ワウリンカ選手(29=スイス)を破って準決勝に進出するとは考えなかったのだろう。そのため8強入りを果たした時点で「96年ぶりの快挙」と大々的に報じ、民放のスポーツ担当記者もスポーツ紙の売らんがためにつけた虚偽見出しを鵜呑みにして、一緒に大騒ぎをしてしまったのではないか、というのが私の論理的結論である。
 たかがテニスのこと、と言うなかれ。政治を担当しようが、経済を担当しようが、社会問題を担当しようが、文化問題を担当しようが、スポーツを担当しようが、メディアが検証せずに何らかの「真実だと信ずるに足る」と勝手に思い込んだ情報を鵜呑みにして報道してしまい、「誤報を明らかにするとメディアに対する信用を失う」とこれまた勝手に決めつけて誤報を訂正しない体質がメディア界を覆ってきた結果が、朝日新聞の大スキャンダル問題に発展したことをすべてのメディアは心の底から噛みしめて報道姿勢を検証し直すべきである。
 私が2回にもわたり錦織選手の快挙の位置付けについてブログでこだわったのは、メディアの体質がそういうことにも現れているということを、この際証明しておくべきだと考えたからだ。
 そんなことは錦織選手にとってはどうでもいいことなので、明日の今頃は試合が始まっているはずなので、何とか私たちの夢をかなえてもらいたいということだけだ。とくに今までの相手と違ってランキング下位で、対戦成績も3連勝中だけに、「どうしても勝たねば」というプレッシャーが錦織選手を襲う。そのプレッシャーを撥ね付けてこそ、真の王者になれる。錦織、がんばれ !!

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