迷宮映画館

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薔薇の名前

2012年02月20日 | は行 外国映画
いろいろあった「午前十時の映画祭」。ぜひとも贔屓の映画館でやってほしかったし、当然ながら今までもこつこつクラシックリバイバルをやってきた映画館だったので、上映したかった。だが、上映は叶わず、違う映画館で。そんな紆余曲折、経過を知っているもんだから、なるべく行かない方針だったのだが、どうしても我慢できずに、行った数本。

「大脱走」!!これだけはどうしても我慢できない!これが上映されるとなったら日にゃ、何を押しても行きまっせ、マッカラム様!&マックィーン!!!

「ライト・スタッフ」、、、どうしてもスクリーンで見たかったんです。絶対にカッコよすぎるサムさま見ないと!!

「パピヨン」、マックィーンっすよ、やっぱ。とことん汚く、とことん追いつめられる。精神上大変きつい傑作。

「戦場にかける橋」、これもスクリーンで一度は見たかった。願いがかないました。

「アマデウス」、スクリーンで何回目でしょうか。何度も見てもこれだけはやめられない。最高です。

そして「十二人の怒れる男」と、待ちに待った「薔薇の名前」でした。都合7本。で、一番楽しみにしていたのが、この「薔薇の名前」だったのでした。上映予定は去年の3月。ここだけは絶対に見るぞ!と決意していたときに、あの地震。この時の数本が上映できず、一周したあとに上映されることになって、約一年、お預けをくっておりました。いいもんはずっとあとに!そういう運命だったのね。

つうことで、多分スクリーンで見たのは87年ごろですから、ほぼ四半世紀ぶりの鑑賞と相成りました。私も年をとったもんです。

イタリア北部のおどろおどろしいベネディクト派の修道院。見るからに何か出てきそうな雰囲気たっぷり。そこにやってきたのは、二人の修道士、ウィリアムとアドソ。教皇派とフランチェスコ修道会の長きに渡る論争の準備のためだったが、この修道院で起こった奇怪な事件の調査を院長から頼まれる。ホームズとワトソンみたいなもんだが、ウィリアムの深い洞察は、この修道院に秘められた様々な問題を見出す。

という導入から、この修道院にいる個性あふれる修道士たちがまた面白い。いまや「ヘル・ボーイ」で、この人あり!と言われるロン・パールマンを最初に見たときのインパクト!!!すげーー、と思ったあの時のイメージがそのままよみがえってきた。

まだまだジェームズ・ボンドにイメージがつき過ぎてて、慧眼のウィリアム修道士にショーン・コネリーが!!と、頭をかしげる人が多かったと言うことだが、それは杞憂。お見事だった。切れ具合に、深い洞察力、かつて審問官としての過去を背負いつつ、新たな道に突き進む姿が素晴らしい。

舞台となった1327年は、フランスでアナーニ事件(1302年)がきっかけで、教皇が国王の支配下にはいり、教皇庁がフランスのアビニョンに移されていたころだ。教会の絶対性が揺るぎ始め、教会への批判がじわじわと噴出し始めるころだ。しかし、まだまだ批判は許せない。その象徴として登場するのが異端審問官のF・マーリー・エイブラム演じる、ベルナール・ギーのいやらしさだ。凄い。

修道院は、近辺の人々を救っているのか、残飯を崖から投げ落として善行を施しているかのような慇懃さ。その一方で、女性を入れこみ、食べ物を与える代わりに体を提供させる。何が修道院の真の姿なのか。。。。

ウィリアムの連れとして若き修道僧を演じているのが、うら若きクリスチャン・スレイターだ!!なんとも無垢な表情は・・・・のちの姿は想像もできない。

小道具から、荘厳な僧院、おどろしい僧院の中の迷路、数少ない貴重な本を見て、垂涎の表情を浮かべるウィリアム修道士。どこをどう切り取ってもお見事、素晴らしい。

その昔買ったパンフを引っ張り出してきたが、



執筆陣が凄すぎる。中井英夫、中沢新一、樺山紘一、服部まゆみ、高山宏、荒俣宏、海野弘、手塚真、丹生谷貴志、細川哲士等々。今のパンフにこんだけの人物が書くなどということはまずあり得ない。どれも素晴らしい切り取り方でお見事な評だ。とにかく至高の2時間10分、幸福な時間だった。。。。。。家にあるビデオを早急にDVD化せねば!!

「薔薇の名前」

監督 ジャン=ジャック・アノー
出演 ショーン・コネリー クリスチャン・スレイター F・マーリー・エイブラハム


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2 コメント

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こんにちは♪ (maki)
2012-02-26 18:10:09
なるほど、クラシックリバイバルだったんですね
こういった素晴らしい作品は多くリバイバルしていって欲しいものですね
DVDでも手に入りますが、やはり映画館でみたいですもんね(でもじっくり自宅で見るのも素敵)

おどろおどろしいといってもいい世界観がまさに中世という感じで素晴らしい出来具合、ショーンコネリーも相変わらず格好いい。彼が異端蔵書を抱えて飛び出す所はコミカルながらも納得しちゃうもので、それを無くすことを嘆く場面もいい。
宗教の暗部もかいまみえる本作、傑作だと思います
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>makiさま (sakurai)
2012-02-29 19:30:13
リバイバルと言っていいのか、【午前十時の映画祭】です。
また新しい回が始まりましたが、50本見るのはまず無理ですね。
今回見ようと思っているのは、何度も見たい「風と共に去りぬ」と、「ディーバ」、「山猫」、「レベッカ」、「道」を一応ピックアップです。
おどろおどろしいって言葉が本当にぴったり。あの汚らしさがぞくぞくさせてくれます。
ショーン・コネリーは、当時この役は???と言われたんですよね。ボンドのイメージが強すぎて。
これで彼の新しい道が開けましたね。
ほんとに久しぶりに面白かったです。
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