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孔子の教え

2012年01月11日 | か行 外国映画
孔子。。知らない人はいないであろう、古代の超超有名人。いや、有名人というのは語弊があるが、じゃあどんな人?と問われると、答えに窮するのではないかと思う。伝えるところは身の丈9尺6寸!(2.2メートル)、威風堂々ながら気は優しい。早くに両親を亡くし、独学で苦労。音曲を愛し、かたっくるしい人物・・・・。

彼の行い、言動、教育は決して揺るがず、秩序正しく、人を信じ、愛することを旨としたと思っている。・・・うーん、これを映画にして果たして面白いものになるんだろうか?おまけにやくざの親分!になると聞けば、そりゃぴったり!!と思うユンファが聖人・孔子に・・・。もしやコメディ?などとも思ったのですが、なんと失礼なあたし。。。

もう真面目一筋、だいぶ枯れてきたユンファが似合いますわ。ガタイがっちりと、堂々の存在感でした。

描かれているのは晩年の方。孔子は若い頃に一度役人となりますが、やめて教育の身を入れていきます。40歳くらいで塾を開き、徐々に弟子が多くなっていく。その名は有名になっていき、今度は下級役人ではなく、高級官僚として魯に仕えることになります。

しかし、魯公に力はなく、実権は数代前に公の分家となった三桓に握られていました。上下の秩序を重んじ、不条理を憎む彼にとっては、春秋の乱れた世も、魯の国のありようも許せないものであったわけでありやす。その頃の役人として重用される辺りからが映画の始まりです。

弟子のちょっと短気で無骨な子路、弟子の鑑といわれた真面目一筋の顔回等々、よーくその特徴が出てました。

世は群雄割拠の戦乱の時代。それぞれの国が虎視眈々と隣国を狙い、どこの主も欲しいのは国を強くしてくれる人物。富をもたらし、あまねく税を集め、人を鍛え、戦に勝てる軍。。。それを行ってくれる人を待っているわけです。

意外だったのは、孔子が戦にも長けていたこと。自分が持っていたイメージからは、軍太鼓を打ち鳴らす姿はカケラもなかったのですが、自分の理想を貫くためには、時には戦いにも身を投じないとならない。。。眉間にしわ寄せながら戦いの跡を見る姿は、五十六を思い出してしまいました。

秩序と仁(人を思いやり、愛すること)で、天下国家を治めるには人間まだまだです。結局三桓の陰謀にはまり、魯の国を出て行くことになる孔子。己一人で周遊の旅に出ようとしますが、ちゃんと弟子たちが何も言わずについていきます。苦労に苦労を重ね、餓死寸前まで行き、暗殺も潜り抜け、何とか己をとどまるところを求めようとしますが、一人の人間の居場所もない。

第一の弟子といわれた顔回の亡くし方が泣かせます。圧巻はここでした。孔子をとことん理解し、彼の行く道を作り、彼にどうスすべきか示したのは、顔回だったかもです。


世に聖人といわれる人をあげよ、といわれれば、社会科の先生的には『シャカ』・『イエス』、そして『孔子』をあげます。BC5世紀に活躍した偉人といえば、『ソクラテス』、はたまた『シャカ』、そして『孔子』と。誰を取り上げても突出した人物で、後世に偉大な人物としてしらぬひとはいない・・・というくらいの人物です。

自らを律し、人を導き、世を憂い、なんとかこの世界を良いものを出来ないかと考え抜いた人たち。この突出した人物たちが、あの時代にすでに憂いていた世の中。その憂いを引き継ぎ、後世にその教えを広め、果たして世の中はいい方向に行ったのでしょうかねぇ。

2500年経とうと、その憂いは消えるどころか、ますます募るばかり。人間というものはなんとおろかで、進歩のない生き物なのか・・・ということを見せ付けられたような気がします。

彼らのような並外れたまともな人間にとって、この世というのは半端なく生き難い世の中なような気がします。彼らを本当に理解し、彼らのように生きようとし、その思想に心から従おうとする人は圧倒的に少なく、その対極にいるほとんどすべての凡人にあえて向かった彼ら。その勇気を持てるのが聖人なのかもです・・・。こんなことをつらつら思いながら見ておりましたが、ユンファが思いのほか、はまっていたのが収穫でした。。。

◎◎◎○

「孔子の教え」

監督 フー・メイ
出演 チョウ・ユンファ ジョウ・シュン チェン・ジェンビン


1月9日(月) フォーラムにて鑑賞  フォーラム二番館、満員!!


やっぱユンファといえば

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ユンファにあこがれるシーンが印象的な

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6 コメント

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Unknown (KLY)
2012-01-11 22:30:26
えーと、古文の授業かなんかで見せるとですね、とっても意味が解りやすくてよいのではないでしょうか。でもその子たちは一生孔子のイメージがチョウ・ユンファになっちゃいそうだけど(笑)
余談ですが『長江哀歌』大好きです…。
>KLYさま (sakurai)
2012-01-12 11:32:53
ですねえ。
「『義を見てせざるは・・・』はこういうことですよ!!」てなかんじで。
DVDでたら考えてみます。
ユンファの映画!で一番に思い出したのが「長江哀歌」でした。。。出てないのに。
こんばんは (はらやん)
2012-01-14 23:28:55
sakuraiさん、こんばんは!

チョウ・ユンファ、孔子が思いのほか似合ってました。
孔子は大きな体であったというのは、何かで読んでいたのですが、そういう感じがでてましたよね。
確かにいい具合に枯れてます(笑)。
>はらやんさま (sakurai)
2012-01-16 14:03:43
はい!意外にも、といっては失礼かもですが、似合ってました。
結構、孔子ってのは、体育会系の体型だったようですから。でもって、ちょっと枯れてきたユンファは、なかなかはまってました。
まさかこんな役がふられるようになるとは~。あたしも年取るもんですわ。って、変なところに感慨。
こんにちは♪ (maki)
2012-07-08 10:11:55
チョウ・ユンファさんが孔子の役をすることになるなんてとびっくりですが、意外にもそうおかしくはなかった…いわれてみればまさに、いい枯れ具合だったかもです
偉人となるとやはり存命中は悲痛な運命を辿るものですが、孔子もやはりそうだったのですね
後半は失速しましたが、中盤部まではなかなかダイナミックな表現(城壁を壊すところなど)もあって楽しめました

でもひとえに孔子といわれてピンとイメージが沸く人ってどれだけいるんでしょう
歴史に興味を持ってる人でもないと、「論語」くらいしか知らないかもですね
>makiさま (sakurai)
2012-07-11 10:58:35
昔のぎらぎらした感じが薄れてきて、いい感じの爺さんになってたと思います。
孔子の不遇さは、なかなか悲惨なものがあったと思います。
時は戦乱ですからねぇ。そんなときに礼節を説かれても、まずどうやったら国を強くするかを教えてもらいたいわけで。

どんなときにもぶれずに、己の道を全うできる人と言うのが、各時代に登場します。
この人もそういった稀有な人ですが、悲しいっちゃ悲しい人生でした。。

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