![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/c6/48a9225a9a3686034669660bc5ee3603.jpg)
汚い塹壕の中で、戦いに辟易している兵士達。塹壕の中ということは、目の前に敵がいるということ。いつ下るのかわからない突撃の命を待ちながら、取り留めのない話をしている。そして突然下った突撃命令。敵要塞への自滅そのものの突撃。発した上官は、泥酔していた。
命令が下された懲罰部隊にいた。コトフ。セルゲイ・ペトロヴィッチ・コトフ。かのロシア革命の英雄で、秘密警察のドミトリの陰謀によって、粛清されたと思われていた人物。かつての英雄がみじめな懲罰部隊の一員となり、まだ生き延びていた。そう、まだ・・・・だ。
あと一時間で突撃!!というまさにその時に、スターリンの命を受けて、コトフを執念深く探していたドミトリが前線にやってきた。ドミトリの姿を見つけ、逃げようとするコトフ。ドミトリに捕まるわけにはいかない。あの拷問がまざまざとよみがえる。もう生き延びることはできない。ナージャに会うことはなくなる。
逃げまどったコトフは、混乱させるために、「突撃!」と発してしまう。放たれた矢のように突撃を始める部隊。躊躇していれば、後ろから味方が撃ってくるのだ。命の無駄遣いも甚だしいのだが、こんな地獄の中を生き延びてきたコトフは、追ってきたドミトリとともに、この地獄から這い出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/9c/3730da40632afa50f45f153f3357b5a4.jpg)
一方、従軍看護婦として同じように戦いの場にいたナージャ。負傷兵を運ぶ軍務についていたが、兵士をうち捨て、武器だけを運ぼうとする味方に毅然と抗議する。負傷した兵士の中に、今にもはちきれそうなお腹の妊婦を、皆の反対を押し切って乗せる。案の定、空爆されるトラック部隊。次々と落とされる爆弾の中で産気づいた妊婦は、轟々と立ち上がる戦火の中で、男の子を産む。ドイツの兵士に犯された子供だった。子供に罪はない。
地獄のような戦場を潜り抜けたドミトリは、コトフを意外なところに連れて行く。ドミトリのどこまでも洒落男の粋な姿はぶれがない。最高の川での水浴びのシーン。監督!!ありがとう。完全ここは、ファンへのサービスショット。ちょっとだけふっくらしつつも、やっぱ素敵です。垂涎のオレグさまのぬード。。昇天させていただきました。
大佐の姿に戻ったコトフを、ドミトリは、あの別荘に連れて行くのでした。嫌味なほどの情緒たっぷりな、貴族の残りかすをいつまでもいとおしんでるような亡霊のようなあの別荘に。そして、やってきたコトフも亡霊ならば、ドミトリも亡霊そのもの。
暖かな、柔らかい日差しは昔のまま。なにも変わらない風景・・・。変わったのは時代と人。
愛する妻、いや愛していた妻・マルーシャはキリクの妻になって、赤ん坊を抱いていた。ここにコトフの居場所はすでにない。コトフは家族と決別し、ひと時の夢のような邂逅の後、また地獄の戦場に戻っていく。
ドミトリは、自分のいままでの裏切りの行為をすべて認め、漂泊された姿・・・・・。この何かに到達したような、ニヒリズムの極地の表情に完全にKOでございます。ここではたまた昇天させていただきました。素敵すぎます。手っ取り早く終わらせようぜ。。。と、重い荷物を下した時のあきらめともつかない、どこまでもずるい男なのですが、あの複雑な笑顔は、オレグさましかありえないっす。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/f6/73b6f2d8eda3f6009cdd9d774bd07e34.jpg)
そして、コトフに対しスターリンから下されたとんでもない命。戦闘経験のない市民を強制的に募り、棍棒を持たせて、ドイツ軍の要塞に攻め込め!というもの。特攻よりひどい。人に対して下す命令じゃない。まさにスターリンを表している命令だ。その指揮をとれというものだった。
集められた市民たち。銃を持って戦えると信じてやってきたもの。たまたま間違えてやってきたような奴、何が何だかわからずにここまで来たもの。。。作戦を聞いて、唖然とするが、もう逃げることはできない。棍棒でどうしろというのだ!その時、コトフは信じられない行動をとる。しようっがないな・・・と、歩き出すコトフ。。。。
かっこよすぎるっしょ。ナルシズムもここに極まれり!というくらいの自虐的かっこよさ。この辺からはもう涙、涙で、暴泣していた私です。
わりいなあ、お前ら。スターリンなんて奴のせいで、どうしようもない道を歩ませてしまった。。。俺には、その責任もちょっとだけあんのかもしんねえけど、こんな世界に生きてしまった俺らの喜劇だよ。せめて、こうなりゃ、死に場所だけでも、かっこよく行こうぜ・・・・とでも言ってるような。そして最後の最後に、唖然とするラストと、邂逅。。。。。
ミハルコフの今までのいろんなものを全部突っ込んで、これでもか!のオンパレードのような満足感です。
「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」のアンニュイな貴族のあきらめの悪い世界に、陽気に歌い、笑い、飲んで、楽しむスラブ民族の気質、敵よりも、ソ連が叩くべきだったのは、味方の無能な指揮官たちだったのではないかと思えるような現実、無情な時の流れ、その中でも変わらぬ普遍の愛情・・・・。全部ぶち込んで、見事に物語を完結させていただきました。ありがとうございます!
オレグさまをたっぷりと堪能させていただきました。そこにも満足。ずるくて、悪くて、せこくて、どこまでも素敵なドミトリを貫いてくれました。満足です。
ちょっと若い時のオレグさま。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/87/a5b9a303726e2a6fc425f4738d3c5ad2.jpg)
この映画ばっかりは、3つ全部、時の流れと共に見ることができた自分が心から嬉しいです。
◎◎◎◎○
「遥かなる勝利へ」
監督 ニキータ・ミハルコフ
出演 ニキータ・ミハルコフ オレグ・メンシコフ ナージャ・ミハルコフ
命令が下された懲罰部隊にいた。コトフ。セルゲイ・ペトロヴィッチ・コトフ。かのロシア革命の英雄で、秘密警察のドミトリの陰謀によって、粛清されたと思われていた人物。かつての英雄がみじめな懲罰部隊の一員となり、まだ生き延びていた。そう、まだ・・・・だ。
あと一時間で突撃!!というまさにその時に、スターリンの命を受けて、コトフを執念深く探していたドミトリが前線にやってきた。ドミトリの姿を見つけ、逃げようとするコトフ。ドミトリに捕まるわけにはいかない。あの拷問がまざまざとよみがえる。もう生き延びることはできない。ナージャに会うことはなくなる。
逃げまどったコトフは、混乱させるために、「突撃!」と発してしまう。放たれた矢のように突撃を始める部隊。躊躇していれば、後ろから味方が撃ってくるのだ。命の無駄遣いも甚だしいのだが、こんな地獄の中を生き延びてきたコトフは、追ってきたドミトリとともに、この地獄から這い出す。
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一方、従軍看護婦として同じように戦いの場にいたナージャ。負傷兵を運ぶ軍務についていたが、兵士をうち捨て、武器だけを運ぼうとする味方に毅然と抗議する。負傷した兵士の中に、今にもはちきれそうなお腹の妊婦を、皆の反対を押し切って乗せる。案の定、空爆されるトラック部隊。次々と落とされる爆弾の中で産気づいた妊婦は、轟々と立ち上がる戦火の中で、男の子を産む。ドイツの兵士に犯された子供だった。子供に罪はない。
地獄のような戦場を潜り抜けたドミトリは、コトフを意外なところに連れて行く。ドミトリのどこまでも洒落男の粋な姿はぶれがない。最高の川での水浴びのシーン。監督!!ありがとう。完全ここは、ファンへのサービスショット。ちょっとだけふっくらしつつも、やっぱ素敵です。垂涎のオレグさまのぬード。。昇天させていただきました。
大佐の姿に戻ったコトフを、ドミトリは、あの別荘に連れて行くのでした。嫌味なほどの情緒たっぷりな、貴族の残りかすをいつまでもいとおしんでるような亡霊のようなあの別荘に。そして、やってきたコトフも亡霊ならば、ドミトリも亡霊そのもの。
暖かな、柔らかい日差しは昔のまま。なにも変わらない風景・・・。変わったのは時代と人。
愛する妻、いや愛していた妻・マルーシャはキリクの妻になって、赤ん坊を抱いていた。ここにコトフの居場所はすでにない。コトフは家族と決別し、ひと時の夢のような邂逅の後、また地獄の戦場に戻っていく。
ドミトリは、自分のいままでの裏切りの行為をすべて認め、漂泊された姿・・・・・。この何かに到達したような、ニヒリズムの極地の表情に完全にKOでございます。ここではたまた昇天させていただきました。素敵すぎます。手っ取り早く終わらせようぜ。。。と、重い荷物を下した時のあきらめともつかない、どこまでもずるい男なのですが、あの複雑な笑顔は、オレグさましかありえないっす。
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そして、コトフに対しスターリンから下されたとんでもない命。戦闘経験のない市民を強制的に募り、棍棒を持たせて、ドイツ軍の要塞に攻め込め!というもの。特攻よりひどい。人に対して下す命令じゃない。まさにスターリンを表している命令だ。その指揮をとれというものだった。
集められた市民たち。銃を持って戦えると信じてやってきたもの。たまたま間違えてやってきたような奴、何が何だかわからずにここまで来たもの。。。作戦を聞いて、唖然とするが、もう逃げることはできない。棍棒でどうしろというのだ!その時、コトフは信じられない行動をとる。しようっがないな・・・と、歩き出すコトフ。。。。
かっこよすぎるっしょ。ナルシズムもここに極まれり!というくらいの自虐的かっこよさ。この辺からはもう涙、涙で、暴泣していた私です。
わりいなあ、お前ら。スターリンなんて奴のせいで、どうしようもない道を歩ませてしまった。。。俺には、その責任もちょっとだけあんのかもしんねえけど、こんな世界に生きてしまった俺らの喜劇だよ。せめて、こうなりゃ、死に場所だけでも、かっこよく行こうぜ・・・・とでも言ってるような。そして最後の最後に、唖然とするラストと、邂逅。。。。。
ミハルコフの今までのいろんなものを全部突っ込んで、これでもか!のオンパレードのような満足感です。
「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」のアンニュイな貴族のあきらめの悪い世界に、陽気に歌い、笑い、飲んで、楽しむスラブ民族の気質、敵よりも、ソ連が叩くべきだったのは、味方の無能な指揮官たちだったのではないかと思えるような現実、無情な時の流れ、その中でも変わらぬ普遍の愛情・・・・。全部ぶち込んで、見事に物語を完結させていただきました。ありがとうございます!
オレグさまをたっぷりと堪能させていただきました。そこにも満足。ずるくて、悪くて、せこくて、どこまでも素敵なドミトリを貫いてくれました。満足です。
ちょっと若い時のオレグさま。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/87/a5b9a303726e2a6fc425f4738d3c5ad2.jpg)
この映画ばっかりは、3つ全部、時の流れと共に見ることができた自分が心から嬉しいです。
◎◎◎◎○
「遥かなる勝利へ」
監督 ニキータ・ミハルコフ
出演 ニキータ・ミハルコフ オレグ・メンシコフ ナージャ・ミハルコフ
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