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第535回 アメリカの1コマ漫画−4

2023-08-04 | エッセイ
 久しぶりにシリーズの第4弾をお届けします(文末に過去3回分へのリンクを貼っています)。ショートショート作家・星新一氏の「進化した猿たち」(新潮文庫版 全3巻)から、彼が趣味的にコレクションしてきたアメリカの1コマ漫画を面白く味わっていただこうという趣向です。画像は4点のみですが、どうぞ最後までお付き合い、お楽しみください。

★宇宙人たち★
 SF的なショートショートも数多く手がけてきた星ですから、宇宙人ネタは外せません。

宇宙人と地球人では美男美女の基準も違うはず。孤島に不時着したらしき宇宙人。
彼女(?)曰く「地球の男性って、あなたみたいにおそろしい外見のひとばかりなの?」

地球にやってきた宇宙人にあれこれ質問責めにする地球人。もっともなことですが、それに対して宇宙人「質問をしにはるばるやってきたのは、こっちなんだぜ。聞きたいことがあるのなら、わたしの星へやってきてくれ」と不服顔。こちらもごもっとも。
宇宙人の歓迎パーティーが開かれ、地球の女性たちから歓迎の握手攻めに合う宇宙人。女性のひとりが「あなたたちの星では、セックスはどんなふうですの」と訊く。宇宙人が答えて「いまなさったではありませんか。手を握り合うのがそれです。こんなに続けてやったのは生まれて初めてですけど・・・」星にしては珍しくセクシーなネタです。
円盤が大都市のど真ん中に着陸。中から自動販売機が運び出され、すえつけられました。25セントを入れ、ボタンを押すとスゴい品物が出てきます。光線銃、読心機、不死薬の類い。漫画とはいえ、夢がありますねぇ。

★ノアの箱船★
 星によれば、ブリタニカ百科事典の初版(1788年)には、ノアの箱船が現実の事件として記載されているといいます。ただし、ノアの船室の場所と、どう動物を積み込んだかは不明としているのが良心的(?)。

船の建造が終わり、動物の積み込みも終えて、雨を待っているというのも奇妙な図。
「あなた、きょう雨が降るって、その天気予報は確かなの」と夫人にがみがみ言われ、弱り切っているノア。まこと、同情にたえません。
☆雨が降りそそぎ、地は水びたし。遠くに箱船が浮かんでいます。それをうらめしげに眺めている雌雄2匹のユニコーン(一角獣)。船に乗り遅れて、想像上の動物になってしまったというオチです。
今にも沈みそうな箱船。こんな声が聞こえてきます。
「シロアリの雌雄2匹は、金属の箱に入れておいた方がよかったんじゃないかな」


★無数の孤島★
 漫画といえば、孤島ものとか無人島ものとか呼ばれるものが、一大ジャンルを形成しています。星もこの分野だけで、1000種を超える漫画を収集したと書いています。限られたシチュエーションで、膨大な作品が発表されていますから、このテーマで描くには、かなり知恵を絞らなくてはなりません。

孤島に二人の男女、というのはよくあるパターン。女性が赤ん坊を男に見せている。男のセリフ。「だれの子かわかるものか」

やはり男女もので、豪華な客船が救助に来ました。
「おれはいらん。帰ってくれ」と男の一言。グラマーな女性によほど魅かれているようです。

孤島の男がランプをこすると、アラビア風のグラマーな魔神が現れてこう告げます。「さあ、3つの願いをかなえてあげるわ。どうせ、第2も第3も第1の願いといっしょなんでしょ」
男が数人の孤島。タバコがたくさん入った木箱が流れ着いたので、それには不自由ない。ただし、マッチが1本しかないので、火を絶やさないように、たえず誰かが吸っていなければなりません。あり余って困る、という手のこんだアイディアです。
☆定期航路のそばの孤島。船が通るたびに助けてくれと大騒ぎするのだが、船員のほうは平気な顔で、「ここを通るたびに、あの島の住民が喜んで踊りをおどってくれる」

 いかがでしたか?なお、過去分へのリンクは、<第268回><第324回><第403回>です。お立ち寄りいただければ幸いです。それでは次回をお楽しみに。
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