Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

ラブヒゲ 2017/3/31 後記

2017-04-02 | 過去のライブ後記



ラブヒゲのダイナミックレンジはとても広い
特に音のダイナミックレンジに関しては
最近メンバーそれぞれが持ち寄った選曲で
ショー構成の骨組みを形作るようになってから
また一段と広くなった

そして合わせてアクトとしてのダイナミックレンジ
要するに喜怒哀楽を描く幅も広い
笑いから涙までの幅がドピャ〜っと広いのだ


音の大きさや強さ、スパーク度
情熱度、荒々しさ、初々しさなどを担っている筆頭はピアノの小林君だろう
彼は何歳になっても若武者のようなスタンスを持ち続けている音楽家である
死ぬまで永遠の少年であって欲しい

アカデミック度は
ぶっとい低音の波動砲を放つバタフライこと宇野徹哉さんと
艶のあるバイオリンのカズミちゃんこと渡辺一雄さんだろう

過去に一時期、喉の不調にご苦労されておられたが
そこから復活した今期ラブヒゲのバタフライさんの低波動砲は
音への魂混入度が物凄く
目眩がするほどの音密度であった

カズミちゃんの艶は天性のものである
艶を以て小林君の高情熱度にも肩を並べるスキルは
ただただ惚れ惚れするばかりだ
彼は非情に真面目である
我々ミュージシャンとしては専門外であるアクトの部分に対しても
最初からずっと上手く行かないジレンマを持ち続けている
いつまで経っても「まぁいいか」と流せないところが
僕と似ている

タカコママこと叶高さんは
天性のユーモアと芸能生活で培ったエンターテイメント性を全て
このラブヒゲに注入しているように感じさせてくれる
他の場所で高さんと演奏をご一緒させて頂くこともあるが
笑い、涙、感動などそれらの濃度、放出度、拡散度は
ラブヒゲの叶高さんが一番である

バラさんこと僕は、というと
普段ほとんど外出もせず
テレビも観ず
ほとんど音のしない家の中で毎日
触れるか触れないかのような微弱なタッチで
儚い音ばかり爪弾いている
そしてちょっと繁華街に出るような時は耳栓をしてゆく
頑固に内観の世界の中に生きている変わり者である

ラブヒゲ内でのダイナミクスの最小値、儚さの最大値
を担うのはこのバラさんである

ラブヒゲ公演内でダイナミクスが最大に演じられ
その次の演目がバラさんの最小演目になってしまった場合のバラさんは
K1の試合でアドレナリン全開な試合をした直後に
心頭滅して火もまた涼しの深い瞑想状態もしくは
入眠直前のアルファー波状態に入らねばならないようなものである

そのギャップを
未だかつて見事に演じ切れたことが無い

それを克服するには
アルファー波状態でユラユラとK1の試合を行うのが良い打開策となるのか
しかしそんな試合に興奮する客が居るのか...

逆にアドレナリン大分泌の激しい試合の直後
瞬時にアルファー波モードに入れる訓練をするべきなのか
しかしこれも、そもそもそんなことが肉体的に可能なのか…
いろいろ試しては毎回沈没している

タカコママがバラさんをメンバー紹介するとき
「いつも物静かで穏やかなのに時々とんでもなくヤンチャをする」
と言ってくださってるが
多分バラさん役の僕はもともとはヤンチャなのだ

ただ、どんなショーの中ででも
儚さの最大値を音に乗せて描きたい

そしてその、音に託した心情風景を客席に見せることで
聴き手にノスタルジーへの入り口を示し
その入り口を入った場所で皆と心でお話をしたいから
どんな場面でも心の中を静寂にしておきたいだけなのだろう
僕の本質は別に物静かなわけではない


因に3/31の回、前半の独奏は全くの沈没であった
休憩時間に楽屋にギターを持ち帰り
10分ほどだったが運指の通りをおさらい出来たことで
後半戦の独奏曲は
自己採点、辛うじてギリギリの合格点だった

終演後
2部の独奏曲をバタフライこと宇野さんが
「今まで聴いた中で一番良かった」
と言ってくださった

「ありがとうございます」とだけ答えたが
何故良かったか
自分ではハッキリわかっていた

休憩後の1曲目ということで
休憩時間に僅かな指運びのおさらいが出来たことで
ほんの少しだったがアルファー波を出すことが出来た
そしてステージに上がり
触れるか触れないかのタッチで
人が生きる中での儚さ、無常を浪々と描くことが
辛うじて出来たからなのだ

強く搔き慣らしたり
強く早いパッセージで描いた直後に
触れるか触れないかのコントロールを完璧にするのは
多分一生無理なのかもしれない

では、そんな無理なことを何故続けるか

それはステージは命の営みを描く場だと思うからだ

そしてラブヒゲは僕が知っているエンターテイメントの中で
その命の営みの表現幅が一番広い場だから

そしてさらに
その一番儚い部分を担うのが
バラさんの役だからである

命の強い営みは
若武者小林君筆頭に他のメンバーに任せ
バラさんは参加しないで静かな世界だけ奏でれば良いか...
そうすれば当然、繊細で儚い演奏はずっとやり易くなる

クラシックギターのソロコンサートならば当然
公演直前に激しい運動などすることはない
そんなことをすれば本番で指が震えて
細かいニュアンスなど奏でることは不可能になる

しかしラブヒゲに於いてはそういうスタンスは違う気がするのだ

激しいも、繊細も
音楽も、アクトも
それが専門であっても専門外であっても
全員が全て本気で担い合って
凸凹でドシャドシャになりながら
描いたもの

それがラブヒゲの醍醐味であると
バラさんは今、思っているようである

ここで一つの格言

「ラブヒゲは人生の縮図である」
〜by バラさん〜


4/7にラブヒゲ2回目がある
満員御礼ということらしく
大変ありがたいことである

ラブヒゲは人生の縮図だと言い放ってしまった以上
腹をくくって人生を見せねばならぬ
いや
人生を魅せねばならぬ
と書くべきか
とにかく後には引けなくなったバラさんである


























コメント
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