心許ない感覚に包まれていた
ゆっくりとその理由を心の中に探した
今日の小雨のせいか
それともさっきから聴くとはなしに聴いている柔らかいピアノの音色のせいか
どちらも当たってるのかもしれない
でももう少し違う何かが引っ掛かっているような気がした
人は誰も自分の居場所を求めて彷徨っている
居場所とは
丸ごと誰かから受け入れてもらうこと
丸ごとが無理なら何割かでも妥協する
そして初めは妥協しても
結局は全て受け入れてもらうことへと要求は高じる
生きている全ての人がそれを求めているのだから
欲しい欲しいと強引に求めれば衝突になるか
自戒しようと生きている良質の人間からも疎まれてしまうだろう
目には見えないが
この世は全ての人間の居場所獲得の競い合いだとも思える
ならば自分は その競い合いから 一抜けたらどうだろうか
凡人の自分にはそれが可能とは到底思えないが
とにかく求めることをなるべく手放してみる
するとまず微弱な安らぎがすぐに訪れ
生きるのに必要だと思うような情熱も同時に見失った
そしてその失ったものが
僕に心許なさを感じさせていると気付いた
心許なさの向こうに
真理を観たような気がした