動物のように喉の奥の方から呻く
その言霊に、もう僕の言葉など超えた領域に入ったことを悟る
僕も言葉を放棄する
本能的に痛みを回避する身体がゆるやかに波打ち
声が長く尾をひく
それは、どんなセックスよりも官能的で美しい
手出し出来ないほどに美しい
強烈な痛みも、流す血も
それらが病のせいではないことを
柔らかな表情が伝えている
これだけの苦痛の表情の中に鎮座した微笑む瞳を
僕はかつて見たことがない
あの日にしか見れないと思っていた漱石の夢一夜だ
この世で最上の恋文…
女は、女を生きた時
最も美しい
そのためになら、僕がそこに居なくてもいい
月の満ち欠けと
潮の満ち引きと
出たいという思念と
出てほしいという思念が重なり合い
複雑で艶かしい時が流れてゆく
その波が永遠に続くのかと思ったら
なんだか眠くなって来た
なんの心配もない
ただ気配だけを感じている
この場所にマイナスがないことだけ確認してる
それだけで心は漂い
そして必ず辿り着く
命の湧き出る場所に