蕾がぎりぎりまで膨らんで、咲く一歩手前の桜
なんて表現したらいいんだろう この色
「熟蕾色」とでも呼ぼうかな
その色がずっと続く
日当りの良いとこがハラハラと咲いて
この木はもうこんなに咲いて
下から見上げると
気持ち良くて、気が遠くなる
人が通るのもおかまいなしに上を見上げたまま
しばらくウットリしてから携帯で写真に撮った
サンダルをつっかけて、オムツを買いに出たのだ
表通り沿いの桜が、まだ咲き切らないのに花びらを落としていた
人が行き交う歩道に、制服の女子中学生が一人
その桜を見上げていた
そしてハラハラ落ちて来た花びらを大事そうに拾った
後ろ姿だけで顔も見えなかったが
この子に、息子のお嫁さんになってほしい、と思った
帰ってきてエレベーターを降りる時
いつも挨拶してくれない爺ちゃんとすれ違った
気分が良かったから、大きな声で「こんにちわ~」と言ったら
コクッとうなずき返してくれた