Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

「Ω」

2009-03-04 | ギターの栄養
貧乏揺すりの刺激に麻痺して、今の今まで聞こえてなかった沈黙の音

この音が耳から入ってくる途端、視界が朧になる

「日常じゃ危ないからな
だから貧乏揺すりで防止してるのさ」

首のヘルニアが小刻みな振動を鎖骨のあたりに送ってくる

「罰が当たったんだよ、詳しくは言わないけどさ」

「べつに聞きたくないし...」と空が答える

小刻みな振動は鎖骨を経過して手の親指まで、微量な電流を送り続ける

「この感覚は、なかなか慣れることはないよ」

「ていうか、あんたはちょっとの異常でも、敏感に騒ぐじゃないか?」

「そうかもしれない...」

「まさにそう、なんだよ」


テーブルの上に置いてあったチラシ
新茶畑の緑色の中に逃げ込む

芋虫になって、この一面緑の世界で食べて寝て一生暮らしたい
いや、それが出来なくっていいから
一生それが出来るって、1秒でいいから思いたい

「また妄想かい?」

「悪いか、、ほっといてくれ」


両親はどうしているだろうか...
弟は...

コメットの長い尾が、水草の緑をかすめてゆく時くらい美しい風景はこの世にない

手塩にかけたそれを猫が食う

人間の傍らで上手に共存しながら悪魔のように傷つける

背中をよく見れば、きっと羽がはえているんだろう


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白2

2009-03-04 | ギターの栄養
「良かったじゃないか
やっと眠気がおそってきたよ」

「あぁ、ありがたいな」

「でも、一応、覚悟しといた方がいいよ」

「あぁ、わかってるって
布団の中で、ねじれるような空間に脅えながら身をまかせるのは
オレの方が得意なんだから」

「そうだね、わたしはキミにつかまっているだけだった」

「そうだよ、だから気付けないのさ」

「気付けない?気付けなくたって、つかまってればいいじゃないか」

「だめだよ、いらいらするから」

「いらいらって、わたしにか?」

「もちろん」

「やめたほうがいい、分裂してしまうから」

「したってかまわないさ
それに分裂ならもともとしてるしな
おまえは気付かないだろうがね」

「?」

「...」




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2009-03-04 | ギターの栄養
「何も出したい物が見付からないと苦しいのは
(出すこと中毒)なんだろうね」

「出すことが無いなら、むしろ良かったじゃない?
今が満たされてるってことじゃないの?」

「満たされてるって感じはまるで無いよ
さっきから胸のあたりから丹田くらいまでが
空虚感と胸焼けの混じったような感じでね」

「食べ過ぎじゃないの?」

「そうならいいんだけど」

「良くないでしょう、それ」

「?」

「脳は腸の奴隷だそうですよ」

「はぁ...おまえ、どっかに居なくなってくれないか?」

「そうはいきませんよ」

「...」

「わたしはあなたなんだから」

「...」

「ギター練習したら良いんじゃない?」

「やだよ」

「なんで?」

「なんでも」

「(それだけ)になるように他を削ぎ落として来たんでしょ?」

「あぁそうだよ、だけど今は弾きたくないんだよ
っていうか、ずっと弾かなくったっていいんだ」

「なんで?」

「知らんよ」

「あなたは乱暴者だ」

「知ってるよ
それに、ならばおまえも乱暴者ってことだな」

「ちがいます」

「なんでだよ」

「なんでも違うんです」

「だから...なんで?
いや、、、、答えなくていい、、もう何も喋るなおまえ」

「わたしは、記憶の風景を書きたい」

「やだよ、面倒くさい」

「ノスタルジーの中に浸って、少し潤いたい」

「だめだね、そこには行かさない」

「お願いします」

「あぁ、房総の先っちょの方まで行って
菜の花畑なんか見たい」

「お願いします」

「ていうか、菜の花畑の中に寝転んで昼寝したい
二度と目覚めなくてもいい、と思いながら眠りにつくのさ
それならおまえも満足だろう」

「すこしだけ....」

「結局、我々は疲れてるんじゃないか?」

「いいえ、疲れてません」

「おまえは、自分が疲れてることも感じられないようだね」

「?」

「まあいい、おまえよりオレの方が今は強い
だからおまえは、そんなオレに感謝するんだな」

「 」

「 ... 」






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