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そもそも、いじめ対策は学校の仕事だが?解決は探偵に頼る時代!?

2013-08-18 | 報道・ニュース
 集団レイプ、カツアゲ1,000万円……いじめの解決は探偵に頼る時代!?

6月に国会で成立した「いじめ防止対策推進法案」。この秋にも施行される予定だが、早くも世間では「こんなことで本当にいじめがなくなるのか」と疑問の声が上がっている。実際、いじめを解決することはとても難しく、なんと、いじめの実態を裏付ける証拠集めを私立探偵に依頼するケースが急増しているというのだ。先日発売された幻冬舎新書『いじめと探偵』(阿部泰尚)では、探偵歴12年の著者が、これまで手がけてきた“いじめ案件”を紹介。証拠の集め方から、学校・加害生徒の親との交渉法などを伝授しているのだが、その内容はすさまじいものだ。

 そもそも、いじめ対策は学校の仕事。しかし、いじめに気付いた親が学校に相談しても、「証拠がないと何もできない」の一点張り。子どもがいじめを告白し、具体的な事実を突き出したとしても、「全体の4割の学校ではいじめ防止策を講じない」のが現状だ。ここまでくると、学校を動かすために必要になるのは決定的証拠。それを集めるために、プロに依頼せざるを得ない……というわけだ。

 探偵の調査はまず、子どもの尾行からスタート。「暴力をふるうタイプのケース」では、1週間から10日をかけて現場を録画するそうだが、これでたいていは証拠が挙がるという。同時に、子どものパソコンや携帯電話のデータからも証拠を収集。こうした証拠を揃えると、子どもが親にいじめを告白しない場合でも、いじめの事実を認める。そして、子どもも協力者となって、腕時計型カメラなどを使って本人がいじめの現場を記録するという「当事者録音・当事者録画」を行うこともある。これが「最も強力ないじめの証拠」になるからだ。

 だが、問題はそう単純ではない。いじめは日常的な暴力だけでなく、想像以上に悪質化しているのだ。その代表例が「カネとセックス」。大人であれば詐欺や恐喝、強要、強姦といった罪に問われるようなケースだ。

 カネが絡むいじめというのは、いわゆるカツアゲ。著者が扱った事例の最大被害額は1,000万円で、高2の男子が3カ月で6~7名の同級生から巻き上げられたという。ターゲットになりやすいのは「おとなしくて気の弱い生徒」だというが、一方の加害生徒は「ほとんどがどこにでもいる普通の少年・少女」。カツアゲが発生する学校も偏差値レベルは決して低くなく、名門と呼ばれる進学校でも起こっている。

 また、セックス絡みのいじめというのは、象徴的なのが「援助交際の強要」。「女子高生が同級生の女の子に援助交際を無理やりさせる」ケースである。加害者のバックにヤクザや男子の半グレ集団がついている場合もあるというが、それも全体の2割程度。ほとんどが、ごく普通の女子高生が“女衒”となり、小遣い稼ぎを行っているのだ。

 援助交際を強要されていたケースでは、親がその異変に気付いたのは、娘のパソコンで「生理がこない」「性病」といった検索履歴を見つけたことだったという。当初は「変な男と付き合っているのでは?」と心配し、探偵に依頼してきたというわけだ。しかし、著者は援助交際の強要を疑い、男女ペアで彼女の尾行を開始。案の定、放課後に友人らしき女子生徒と2人で繁華街に向かうと、彼女は私服に着替え、友人の手引きで40代後半の男性と合流。ホテルに入り、ドアノブに手をかけたところで探偵は声をかけたという。


 なぜ彼女は、友人からの援助交際の強要を断れなかったのか。このケースの場合は、加害生徒の家に泊まりにいった際に裸の写真を撮られ、“ウリをしないと写真を人に見せる”と脅されていたらしい。その写真を見たという探偵が「ただ単に寝ているところを裸にされて撮られただけのものだった」と書いているように、恥ずかしいポーズやセックスの最中を撮られたわけではない。それでも、彼女にとってはその写真をばらまかれるくらいなら、援助交際をしたほうがマシだった……ということなのだろう。その後は、探偵は加害生徒の尾行に切り替えコンタクトを取ると、加害生徒の親を含め話し合いに。“二度と援助交際を強要しません”と一筆書かせ、その一部始終を動画で記録するそうだ。

 

 このような援助交際の強要事案では、加害生徒・被害生徒の親は共に「学校には内緒で」となり、双方で損害賠償額が合意されると終了となる。だが、子ども同士はそう簡単に決着をつけられるものでもない。気まずくなり、被害生徒は3人に1人の割合で転校するのだという。

 援助交際の強要もハードだが、深刻なのは集団レイプなどの事案である。しかも衝撃的なのは、「小学生同士のレイプ事案に何度も遭遇した」と書いているように、小学校でもこうしたいじめが頻発している点。中には親からではなく被害に遭った生徒本人から相談が寄せられることもあるというから、周囲の大人がまったく気付かないまま、心に傷を抱えている子どもは数多いのだろう。

 もちろん、このような深刻ないじめの事実を突きつけられた学校はパニックに陥り、「当事者任せで何もしない」。証拠を挙げるまでが探偵の仕事だが、ときには学校から「どうしたらいいかわからないから話したい」と呼び出されることも多く、4割の確率で「校長が泣き出す」そうだ。

 1人の人間として子どもの話に耳を傾けるのか否か──その姿勢を問わない限り、政府がいじめ問題の委員会を設置しても、いじめを減らすことはできないと著者は言う。探偵に頼らなくては身近な子どもたちを守ることができないなんて、それではあまりに周囲の大人である教師や親はふがいないのではないだろうか。
(文=本田彩)

いじめと探偵 (幻冬舎新書) [新書]


風が吹けば探偵が儲かる。

 

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