欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

眠りの国へいざなうおまじない

2012-02-24 | une nouvelle



"坊や、ゆっくり眠りなさい。また明日窓が明るんできたら起こしてあげるから"
ベッドの中の男の子はうなずいて目をつぶります。
"ねぇママ。僕が眠るまでそこにいてくれる?"
"いいわよ。でも、約束よ。明日はおりこうさんに学校へ行ってね"
"ママ、僕はいつもおりこうに学校へ行ってるよ"
ベッドに寄り添うように、母親は男の子の頭をなでます。
"眠りの国に行くまじないの言葉・・、何だったっけ?"
"もう忘れたの? そんなことじゃ眠りの国の人からお誘いがかからなくなるのよ"
"お願い、もう一度だけ教えて"
"光の国と闇の国のあいだ、たゆたう安らぎの国の鍵。それはやさしいやさしいまなざしに似た愛のぬくもり。"
"そうだった。やさしい愛のぬくもり・・"
"ずいぶん短くなったけど、もうすぐお誘いがやってくるわ。さぁ、お話はこれでおしまい。おやすみなさい。"
"ママ、明日また一番に顔をみせてね"
"どうしたの。大丈夫よ坊や。"
"もう坊やはやめてよ。これでもママを守れる男になるつもりなんだから・・。"
母親はにっこり笑って、
"わかったわ。もう言わない。じゃあ眠りの国に行ってもママのことを守ってね。楽しいことばかりに気を向けていたらいなくなっちゃうから。"
"ママ"
男の子は母親を見て、
"眠る前にママを呼び出すおまじないを教えといて。そう長くないやつをね。"


最新の画像もっと見る

post a comment