欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

あの時見上げた美しい雲

2012-01-11 | une nouvelle


"いつも春の風が吹いてくると、心躍り出したものです。
街中に色あざやかな花が飾られて、人々もこれからある祭りに会話がいきがちに。
中央通りにはにわか作りの長い花壇ができて、祭りの直前まで美しい花の中で人々は憩うのです。
祭りの日にはきれいに着飾った女性たちが列をなしてそこを歩いていきます。
ギターやアコーディオン、横笛など、誰もが踊り出したくなるような花の祭りが一週間も続くのです。

最終日にはこの一年に結婚した花嫁たちがきれいに着飾って花婿に抱き上げられるのです。
そして、花びらの口移し。
その後にキスをする者。お互い恥ずかしげにうつむく者。
観衆の拍手に包まれながら愛をささやきあうのです。
昔はわたしもそこでキスをしたものです。
晴れ渡った春の雲を見上げて、明るい日ざしのなかで、彼女の頬に口づけしたものです。
今もその喜びはこの胸に大切にしまってあります。

あの花のカーニバルが今年も開催されようとしています。
暗い出来事の多いこの街の明るい側面。
街中に美しい花々がこれから飾られていくのです。
今年も若い人たちの愛が街の通りで咲き乱れることでしょう。それを見ている者たちの中にももしかすると忘れかけていた愛の輝きがよみがえってくるかもしれません。
そう、このわたしの中にも・・。
あの時見上げた春の雲を、愛の喜びを、今年もまた新たな気持ちで味わうことができるのかもしれません。"


最新の画像もっと見る

post a comment