欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

橋の上のアコーディオン弾きが謳うこと

2011-08-11 | poem
母親とけんかして家を飛び出した少年。
大きな河の橋の下でうつむいて、星を見上げることもなく。
橋のもとにアコーディオンを弾く男がやってきて、哀愁に満ちた歌を奏でます。
一曲、二曲と弾き終わった時に、ひょっこりと顔を出した少年。
ふたりは目があい、少年は気まずそうに顔を隠します。
"どうしたね? こっちで一緒に謳わない?"
それでも姿を見せない少年にむかって、男は希望の唄を奏ではじめます。
しばらくして、その曲に誘われるように少年は欄干を飛び越えてこちらへ。
その顔には涙のあとがまだ残っていました。
"これは悲しい時に唄う曲。これからの希望を胸に咲かせてくれる不思議な曲だよ"
そういって何度も同じ曲を弾きます。
少年の心はしだいに明るくなって、リズムに合わせて口ずさむように・・。
"ある人が言ったんだ。
この街に泣き声とともに生まれて。
ここでなにかをつかんでいくんだと。
いろんなことがおとずれて。それはけっして楽しいことやハッピーなことばかりじゃないけれど、生きるには希望を持って・・。
あの星が愛を与えてくれるから、僕たちはここでなにかをつかんでいけるんだと。
そのための人生。つらくも悲しくもあるけれど、けっしてそれだけではない。
喜びは自分で見いだしていけるもの。この体でこの頭で街のいろんな出来事の中で喜びや楽しさを見つけ出していける。
星が導いてくれる。この街で自分の笑顔がたくさん生まれるように・・。"
街灯に照らされてアコーディオンが輝いて見えます。まるで頭上の星々のように。
少年のはにかんだ笑顔。橋を渡る人もひとりまたひとりと足をとめます。
みんな惹かれているのです。この曲に含まれている明るみに。
"この唄のリズムにあわせて。さぁ、自分で生きる道だ。笑っていなよ。これからの希望をカタチにしていくために♪"