小山田信有、死す。享年不詳-
小山田様死亡の裏にはこんな真実があった!
という演出は良かったと思います。
制作陣は、このラストシーンありきで田辺誠一さんをキャスティングしたのかな~と思ったほどでした。
ちょっとここで、ストーリーのレビューから離れて琉河の
『風林火山』における小山田信有という人物のキャラ設定についての考察(仮)
を一つ。
小山田信有という人物について、当初の琉河のイメージでは知性派というよりは反骨心旺盛な武闘派。最大の見せ場は砥石城の戦いと上田原の戦いのみ。
演ずるならば竹内力さんとか白竜さんか、と思っていたので田辺誠一さんがこの役を演じると聞いたとき、
「何が何だかわからない」
という心境だったのです。
が、ドラマでの小山田様の位置付けを見て納得。
というのも、武闘派だと鬼美濃とか馬場となんとなく被るのですよね。
制作陣はそれを懸念して小山田信有という人物のキャラを大胆にも脚色したのではないかと。
ここで、武田家中の会議で発言権があると思われる登場人物を整理。
初期から登場する武田家家臣団で千葉真一・竜雷太という重鎮を除くと、演じる役者さんから判断して主要キャストとなるのは
金田明夫(飯富虎昌)
田辺誠一(小山田信有)
宍戸開(原虎胤)
高橋和也(馬場信春)
加藤武(諸角虎定)
の5人。
この中で小山田信有と諸角虎定いう人物は他の3人と比べて圧倒的に知名度が低いのですよね。知名度が低いということは、その人物に対するイメージ=先入観もないわけで。だからこの2人については風林火山の制作陣がいかようにも脚色してもそんなに違和感は出てこない。
結果的に
飯富虎昌-誠意大将軍
原虎胤-鬼美濃(=体育会系代表)
馬場信春-とにかく優れている(笑)。(知名度が高い人物だし、とりあえず登場させておこう的な意味もあったのだと思います)
諸角虎定-ボケ担当
小山田信有-クールな策士家
という見事に戦隊モノの5人みたいにキャラが被らない設定が出来上がった!そんなに歴史に詳しくない人でも、覚えやすい人数&キャラ設定になっている!
何と言っても、役柄的に小山田信有が一番オイシイ!
(キャラ付けの解釈は琉河が勝手に決めました。違和感を感じた方は『解釈は人それぞれ』ということで・・・。)
じゃあ、何で他にも登場しない家臣がいる中(例えば小幡虎盛)で、「小山田信有」という人物に白羽の矢を立てたのか、という話になるのですが、
多分「小山田信有」は
・武田譜代の家臣ではなく、どちらかというと盟友的な存在。発言力もある
・北条家にも顔が利き、武田一筋と言えない怪しい面もある
と制作陣が解釈したからではないでしょうか。
クールな策士家としての小山田様という設定は田辺さんのイケメンぶりとの相乗効果で、結果的に成功したキャラだったと思います。
ここで、ようやくレビューに戻りますが、小山田様がいつもとは違う様相で勘助に語ります。
「女子は恐ろしいのぉ、勘助」
「由布姫の支えとなってやれ。武田よりも由布姫を思って生きている勘助が愚かで好きじゃ。そしてワシも美瑠姫を好いておる。これほど、愚かなことはなかろう」
小山田様、見事に勘助の野望を見抜いているな~と感心したのですが(クールな策士家としての設定が生きている)、このセリフに込められた意味とはそれだけでは無かったようです。
小山田様は1552年正月、美瑠姫に刺されて敢え無く死亡。
その知らせが武田家家中にもたらされた時、明かされた事実が一つ。美瑠姫が身篭っていた子が実はダンカンの子かもしれないという事。
ボケ担当の諸角を始め家臣団が好き放題言っていましたが、勘助だけは気づいていたようです。
そう、勘助と小山田様は立場が一緒。
即ち、両者の共通点は
・実の子供ではないが、途轍もない愛情を注いでいる
・思いは一方通行かもしれないが、姫の全てを受け止める覚悟がある
勘助は小山田様と自分の立場を重ねていたんですね。
そこで、ハイ。先ほど登場したこのセリフ。
「由布姫の支えとなってやれ。武田よりも由布姫を思って生きている勘助が愚かで好きじゃ。そしてワシも美瑠姫を好いておる。これほど、愚かなことはなかろう」
見事にリンクしました。
この小山田様の回想セリフシーンが流れた時、不覚にも涙。
もう、何と言うか小山田様、悟りすぎ!それでもって愛が深すぎ。
同衾中に寝首を掻かれるなんて、小山田様ほどの武将なら有り得ないことだと思うのですが、琉河はわざと刺されたのではないかと思うわけで。
根拠はたった一つ。美瑠姫の最期の言葉。
「仇の者を好きになってしまった私を許して」
小山田様は姫のその苦悩を知っていたから、そのまま討たれたと。
深すぎる愛→名誉の討ち死に。
キレイすぎるけれども、『風林火山』で田辺誠一が演じた小山田信有という人物に限ってはこれでいいと思います。
で、美瑠姫についてですが、
「どう考えてもダンカンより田辺誠一と幸せに暮らしたほうがいいだろ。」
ってそんな風に割り切れる人物ではなかったのですね。
だからといって小山田信有ひとり討ち取ったところで、武田家に致命傷を与えたというわけでもないのですが、せめて一矢報いたいという気持ちがあったのでしょうか。
それにしても思考が飛びすぎ。思い込みの激しい電波な女性だなと思ってしまいました。良い風に取れば義理堅く真面目な女性といったところでしょうか。
でも、電波な思考ながらも
「いつまでも一緒にいる」
という小山田様の言葉でさらに小山田様を好きになっている自分に気づき、これ以上仇の者を好きになってはいけない、だから小山田様を亡き者とし、自分も後を追わなければ!という強迫観念にも似た苦悩は少しは伝わりました。(姫の動機はこういう解釈でいいのかな?)
そんなこんなでホラーなイベントを起こして自害。悲しすぎる・・・。
琉河の理想型としては、
「小山田様を始め、武田方は敵だけれども、それに捕らわれていては幸せになれないから自分の気持ちに素直に生きます。ダンカン、そしてVシネによく出てくる菅田俊(美瑠姫の父上)、許してね。だって、どう考えてもあんた等よりも小山田様の方が魅力的だから。これも戦国のならいなんです。仕方がないでしょうが!」
と割り切って小山田様と共に生きて欲しかったところ。
とにかく、印象に残ったのが
クールな策士なのに美瑠姫を大事に思う心境を素直に語る小山田様のキャラとのギャップ。そして、その直後の死。
何度も言います。
あのセリフの直後に小山田様の死、勘助のセリフは、もう反則。
史実を捻じ曲げてでも、“そういう死に方”を与えた演出に涙。もう感情移入しまくり。
イヤらしい言い方をするとオイシイ役柄でオイシイ退場をした小山田様。でも、それはそれで琉河的にはOK!
歴史の捻じ曲げは北条時宗や花の乱でイヤというほど見てきましたが、今回ばかりは文句は言いますまい。だって、もうこれは大成功。
「合戦での傷が悪化して死にました」
という退場の仕方はクールな策士家としての小山田様には似合わない。
普段クールな態度を取っていたからこそ活きた、今回の小山田様の退場の仕方。
お見事!
で、他のシーンの感想をサラッと。
まずは於琴姫。
話が早い。自分が置かれている状況をしっかりと理解してらっしゃる。好感度ランキングが高そうなお姫様です。
今川三人衆が久しぶりに登場。
ダーティなキャラは健在です。
しかし、この3人、つくづく部屋の隅が好きなんですね。
別に悪だくみをしているわけではないのだから、大広間で堂々と会議をすればいいのに。
でもいろいろ『対武田計画』を立てていたのに駒井一人の機転にコロリと騙されている辺りが、何とも。典型的なヤラレ悪役。
『風林火山』なのに勘助とはそんなに関係が深くない寿桂尼がトメというのも、何だかな~。風吹ジュンにトメをあげてもいい様な気がしますが。やはり役者のキャリアがそのままクレジットに反映している様で。
次週、勘助に語った大井夫人の最後の言葉とは!?
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カレー好きの役は鬼美濃ですか?
於琴姫は天然ちゃんみたいですが、フグ晴信と
どんな会話をしてるんでしょうね~。
青:馬場(Vの字穴掘り)
黄:諸角(ボケ)
桃:リツ(可愛い)
緑:小山田(クイズ出しそう…)
…それはそうと、
>勘助は小山田様と自分の立場を重ねていたんですね
なるほどそうだったんですね。
勘助の涙も見事にリンクしました。
さらに、
>これ以上仇の者を好きになってはいけないという
うぉー、琉河さん、流石です。
干物女壁女なのに女心をシッカリと判ってらっしゃる…。
今日のレビューは読んでて感動しました。
>カレー好きの役は鬼美濃ですか?
おっ!伝説のイエロー神話ですか。勿論、マッチョ鬼美濃さんにその役をお任せしたいと思います。諸角さんのアクションシーンはいろいろな意味でハラハラしそうですよ!
>於琴姫は天然ちゃんみたいですが、フグ晴信とどんな会話をしてるんでしょうね~。
フグも於琴姫のペースに巻き込まれて『天然モノ』になり高価なフグになるに違いありません(笑)
>桃:リツ(可愛い)
実際に前田亜季さんには戦隊モノに挑戦してもらいたいです。昔から可愛い子(ぶっちゃけお姉さんより可愛い)だと思っていたので。
>干物女壁女なのに女心をシッカリと判ってらっしゃる
いやいや、ありがとうございます!
お褒めの言葉を頂けるとは思ってもみませんでした。嬉しいです。
干物女・琉河は今年の猛暑でさらに干からびましたが、何とか美瑠姫の心情を推し量ってやろうと努めてみました。
でも女心はIKKOさんの方がよほど判ってらっしゃるので、見習いたいと思います。(笑)
意を決して、初めて投稿させていただきました
今回の小山田様の意味有り気な笑み、琉河さんの
洞察力で理解しました^^
役柄として、知的でクールながら己の行動と心情に、
「なにやってんだか」という小山田様。
素敵でした^^
知的でクールという設定とは云えど、無骨な人だと
私は感じ入りました。
大久保利世?:大和田伸也
伊地知正治?:三宅弘城
奈良原喜左衛門?:平山広行
有村次左衛門?:遠藤雄弥
有村雄助?:田上晃吉
薩摩藩家老(役柄不明)?:梅野泰靖
僧侶(月照?)?:麿赤兒
篤姫の妹?:高松いく
他に、春風亭小朝さんが松坂慶子さんと共に撮影すると仰っていたようです。観行院役か、或いは明治天皇生母の中山慶子役だと勝手に妄想してます。松坂さんと同じ名前なので、後者の方が可能性は高そうです。そろそろ堀北さんを含めた3次発表があるのでその時明らかになると思われます。
小山田&美瑠姫は共に亡くなったことで、美しくも哀しい話で終わりましたが、勘助の画策はどこまでどう進んでいくのか、まだ序章と言う感じですが・・ハラハラします。
>毎回楽しく読ませてもらっております^^
嬉しいお言葉を頂き、大変光栄です。これからもよろしくお願いします!
>知的でクールという設定とは云えど、無骨な人だと私は感じ入りました。
美瑠姫とのやり取りや軍議のシーンを振り返って見ると無骨さが良い意味で目立っていましたよね。
>春風亭小朝さんが松坂慶子さんと共に撮影すると仰っていたようです
松阪慶子さん出演は、ほぼ確定の様ですね。観行院役かな~と思っていましたが、小朝さんとの絡みのシーンがあるということは天津風さんの仰るとおり、中山慶子役という線もありそうですね。
>僧侶(月照?)?:麿赤兒
強面の麿さんが演じる月照は結構興味があります。
>ノベライズ版には「心ならずも、どこかしら安堵した微笑が走り抜けた。その刹那の微笑を、美瑠姫は見逃さなかった」と書かれて
ということは美瑠姫の小山田様殺害の動機は『信じていたのに裏切られた』という思いが頂点に達しての行動と見てもいいようですね。
教えて頂いて、ありがとうございます!