必然的なヒストリー

クソムシが歴史系映像の感想を書いたり、妄想キャスティングしています。このブログは純度の高い自己満足で構築されています。

平家物語外伝「清盛家の一族」

2012-04-29 21:45:48 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

「重盛、基盛、清三郎、清四郎、みんな俺の子!文句あるか!」
この歌を聞いて何がどうなったら、清盛を「なんて恐ろしい子!」と評価できるのだ。
こんな棟梁、歌会からつまみ出せ。
ここは崇徳院や悪魔の左大臣・頼長の「ま、ま、ま、マジすか学園~~~!」みたいな反応が正しいのです。
こんな歌の意図を本気で聞き取ろうとするな!
この歌のせいで、藤原家成の面目は丸潰れ。そりゃ、成親も反平家になるってもんですよ、ダンナ!


かつて、江や天地人にも「主人公補正」による「説得力なき無条件納得」が幾度も発動されました。
江や天地人はまだ良いのですよ。最初から生ぬるい展開にする意志が十分に伝わってきましたから。
だから、何の期待もせずにただ鼻で笑っていれば良かった。
しかし、平清盛は当初、本格王道歴史ドラマを地で行くような展開にするという雰囲気が伝わってきたのです。

…いや、こう書くと人のせいにしているみたいで嫌ですね。
そうなんです。前にも書きましたが、全て琉河の見る目のなさが原因です。
山盛りコーンスターチや「王家の犬」連呼以外にも公家が透過性のある烏帽子を被っているハレンチ設定だけでも、このドラマの出鱈目さを見抜くことが出来たのです。


でもね、まだ深読みは出来るのですよ。
「家族愛に拘るあまり、清盛は非常識な行動を繰り返し、それが平家滅亡の遠因になった」
これが脚本家の壮大なる伏線だとしたら、拍手を送らざるを得ません。

あと、梅雀さんがトメだとなんだか収まりが悪いですね。
フレンチのコースでいうと
アベリティフ→アミューズ→オードブル→スープ→ポワソン→グラニテ→グラニテ→グラニテ→カフェ(終)
みたいな。「肉料理は来ないの?」みたいな感じ。
大河ドラマの登場人物クレジットはフルコースみたいなもの。華麗かつ贅沢な流れを楽しみたいものです。
安っぽいコース料理なんか大河ドラマに必要ないです。
(別に琉河はコース至上主義者ではありません。どちらかというとアラカルトから注文し自分で好きなコースメニュを作るタイプです。料理関連の批判はご遠慮願います。『か〇むら』最高!)


高次元時空ドラマ「鳥羽法皇だけ見えない」

2012-04-07 18:10:47 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

さて、裏番組の影響か11%台にまで視聴率が落ちた平清盛。いやいや、内容に比べると十分に高い視聴率ですよ。スタッフは歓喜していいレベルだと思います。
お話の内容は1147年に起きた祇園闘乱事件をモデルにしたオリジナルストーリーだったわけですが、今回はその顛末というかストーリーのオチについて考えてみたいと思います。

「矢が宝殿に当たった事件」については頼長著の「台記」によると坊主と清盛一行の小競り合いの最中に名もなき郎党が放ったとありますが、物語では清盛が当てたことになっていました。それはどうでもいいです。オリジナルストーリーを貫いているのですから、勝手にやればいいです。
問題は、鳥羽法皇の裁決です。
鳥羽法皇としては、この事件を利用して延暦寺をやりこめたかっただけだと思います。その方法が「清盛を罰金刑に留める」であり、その結果が延暦寺の強訴を退けた実績を残すことになるのです。今回利用した武士の力は、後々、朝廷を脅かす存在となるのですが、それはもう少し先のお話。
琉河としては、武力を取るか、寺院の権威を取るか、それに悩む鳥羽法皇の姿を見たかったのですが…。

鳥羽法皇がやったことは常人では理解できない一人芝居
しかも本気だ

まずは「上のたつものは自分の目で真実を見出さなければならない」という国民としては誠にありがたい思し召しのもと、神の子孫が自ら検非違使庁に向かっていく!
凄いです。歴代天皇では絶対出来ない、一歩間違えれば院の近臣が処罰されかねないことを次から次へとこの人物はやってのけます。
それもダメですが、この後がもっといけなかった!
清盛を目の前にして鳥羽法皇の思考回路が破滅します。
こんな感じで正しいか?文章に起こすと随分間の抜けたことになりますが…。

「清盛君はわざと矢を放ったのかね?朕は真実を問いただすぞ!問いただすぞ!」→
「ィヤッホー!じゃあ朕を討て!でも、真似だけでいいからね。実際に矢を放つと神の子孫とはいえ死んじゃうからね。」→
「当たった、当たった!朕しか見えない矢が当たりおったわ!おお、見よ!ワガミニスマウモノノケノチガ…云々」→
「清盛よ!君自体が、神輿に放たれた矢なんだ!荒廃する平安の御代に放たれた時代をただす矢なのだ。」
‐完‐

見たか!どんどん移りゆく話題の核心!
それでも我々は知っている!
法皇は一生懸命生きている!
上手いこと言ったつもりの鳥羽法皇カッコいい!
さすがトレンディを極めた法皇!
君の瞳を逮捕する!

律令なんか関係ねえ!理屈じゃない!感じるんだ!

…。
…いやダメだろ。
真面目なことを言ってしまうようだけど、上の立つ者がこの発言。誰がコイツについていくんだ。
ああ、謀反の芽がチラホラ…。
例えば「こうこう、こう言う理由でAという結論に至った」という思考ではなく「AだからAなんだ」という身も蓋もない思考によりたどり着いた今回のオチ。
法皇はこの後、藤原頼長に「ワガミニスマウモノノケノチガ…云々」とか「清盛は矢だ!」と捲し立てたのか。
聞いてて呆れるしかない藤原摂関家の方々。同情します。
まあ、それはともかく。大事なのは次のこと。

今回の言動により法皇様は見事「近所にいたら迷惑な“あーゆー人”」になられました。
誠におめでとうございます!
パチパチパチパチ
今後はいじられキャラとして精一杯頑張ってください!

NHKは公式HPに「今回の鳥羽法皇」とか「鳥羽法皇語録」といった特設ページを作るべき。
もっと言えば、ドラマが終わった後にテリー伊藤の解説による「本日の鳥羽法皇」とか流すべき。
今回だって祇園闘乱事件なんぞ、どうでもいい。番宣は、異様に張り切ってる坊主姿の三上さんだけ流していれば良かったんだ。
退場が刻々と迫っている鳥羽法皇。
いや、鳥羽法皇というより三上博史そのものと言った方が宜しいか!
三上博史こそが、乱れに乱れた大河ドラマを射抜いた矢そのものなのだ!

ちなみに今回、國村さんが語っていた藤原師道は38歳の若さで急死。当時、若く力が無かった息子の摂政・忠実は政治の実権を師道と協力せざるを得なかった白河法皇に事実上奪われ、院政は全盛期を迎えた。こうして藤原摂関家は没落していった

このドラマは時々、こういった琉河の琴線に触れることを言い放ってくれるのですが、如何せん、そのままスルーしてしまうのですよね