必然的なヒストリー

クソムシが歴史系映像の感想を書いたり、妄想キャスティングしています。このブログは純度の高い自己満足で構築されています。

【篤姫レビュー】無血開城

2008-11-30 20:52:49 | 大河ドラマレビュー《篤姫》
今回を入れて残り3回となった「篤姫」
とうとう最後の大イベント、無血開城の刻がやって参りました。
この「篤姫」。視聴率的にも中盤で弛むことなく突っ走ってきましたが、このまま完走ゴールする勢いです。
こりゃ、来年の「天地人」の関係者はやりづらいでしょうなぁ。
特に主役の妻夫木さん。

で、本題。
江戸城が窮地に追い込まれる中、勝安房守が西郷に江戸城総攻撃を取りやめるよう説得する為に動き出します。
そんな中、前回復活した幾島が京に戻ります。最後に彼女は天璋院に西郷説得のヒントを与えていきました。
それにしても、これで本当の退場でしょうか。最終回あたりにひょっこり出てきそうな感がありますが。

そして、運命の3月14日。(細かい話だけど13日も会談しています)
勝と西郷が会談。
交渉決裂の気配が濃厚となるや、勝は「切り札」を出します。
「切り札」は亡き島津斉彬が篤姫に宛てた手紙でした。内容は篤姫への謝罪と薩摩と幕府間での決裂の懸念。この手紙を読んだ西郷は、斉彬に仕えてきた日々を回顧。
「病人を生かす道を考えます」
これが江戸城総攻撃中止の決め手となりました。
なかなか良い演出だったと思います。全てのキャラクターを立てた、今まで描かれた中で一番気の利いた演出だったと思います。

そして江戸城明け渡しの時が来ました。
勝は滝山に嘘をつかせますが、天璋院はこれを簡単に見破ります。
彼女は素直に城を出ることを決意。
と、ここに家定の姿が!
大河ドラマ伝統の幽霊シーン!キャスト名に“幻影”が付かなかった(平清盛には付いていた)家定が再登場!
物凄く胸に残る言葉を姫に送った家定。そりゃ、泣けるだろう。普通にここは泣くシーンなんだろうな~と。おそらくここが、今回の要なのでしょう。歴史的意義が高い勝・西郷会談イベントですら、数分で済ましてしまった『篤姫』。どこまでも篤姫イズムを貫き通しましたか。
そして天璋院は皆の前で大奥解体を表明。
こうして春日局が造りし大奥は終焉を迎えました。

一方、京では。
勝ち組となった小松を幾島が訪れます。
幾島との会話で篤姫に会う事が楽しみになった小松帯刀。

大奥では退去の準備が進められていきます。
どうにも引越し下手な連中が多そうです。
そんな荷物、新居のどこに置けばいいというのだ。
寄る辺の無い者は、篤姫の斡旋があるとはいえネカフェ難民みたいな状態になるというのに。実のところ、雨宮処凛が取り上げる題材になりそうな「新時代を迎える上での格差社会」をじっくりと描いて欲しかったのですが。桃源郷ドラマである「篤姫」にそれを期待することは無理なようですね~。歴史の闇は描かれず…。


次回、大奥を去る天璋院ら一行。
そして天璋院と再会した小松帯刀が永き想いを告白。

【篤姫レビュー】大奥の使者

2008-11-23 20:59:12 | 大河ドラマレビュー《篤姫》

幾島、再登場。
記録によると当時、彼女は病の身であったと伝えられていますが松坂さんは元気そのものでしたね。

で、本題。
大奥では本寿院が酔っ払いコントを始めてました。一瞬、志村けんが出てくるのかと思いました。(ついでに柄本明も)
そして唐橋が近衛家への使者として抜擢。中嶋朋子さんの影に隠れて存在感がイマイチであった高橋由美子さんですが、ここに来てようやくスポットが!
ところが京の近衛家では異変が起こっていました。近衛家ではアレな元妻のお陰ですっかり具合が悪くなった小朝師匠に替わって息子の忠房が家中を取り仕切っていました。が、どうにもこの御方は天璋院に協力的ではない様子。
ここに現れたのが、急遽、出演依頼された幾島さん。彼女は動き出します。

一方、江戸では。
榎本武揚が初登場。一人だけ髪形が違っていたので目立ちました。逆に目立たなかったのが、志村東吾さん演じる松平容保。やはり松平容保はイカみたいな形をした黒帽子を被っていないとらしくありませんね。
残念ながら、両者とも見事なまでに勝安房守の引き立て役になっていました。視点が違うと歴史的な知名度と関係なく、長州勢と同様こうも扱いがぞんざいになるのですね。

と語っている間に江戸へやって来た幾島
登場の演出がおかしい。
ここでツッコミを入れたら負けですが、我慢できるか。
なんで雷鳴が轟くのだ?

ともかく、彼女の使命は西郷へ天璋院の思いを届けること。
西郷はこの時、東征大総督府参謀。参謀には他に大村益次郎(長州系)、林玖十郎(宇和島系)らが、そして西郷の上には名前がメルヘンチックな総督・有栖川宮(乙女系)いましたが、実質的には西郷が中心人物となっていました。
幾島は西郷に対面。新政府黎明を背負って立つ西郷と旧勢力を守ろうとする幾島とでは立場が違いすぎました。幾島の涙の嘆願は西郷の心を揺さぶる事は出来たものの、総攻撃中止を決断させるまでには至りませんでした。
西郷は江戸城総攻撃の日を3月14日としました。

幾島は面目ないと天璋院に詫びますが、当の天璋院は「勝がいる」と語りました。こうして彼女の最後の願いは勝海舟に委ねられる事になりました。
天璋院の前向きさは幾島は当然ながら、本寿院の心をも動かした様子。そして、彼女の前向きさはドラマの中だけではなく現実の世界にも希望を与えている事でしょう。そう、3,000万で保釈された元大物音楽プロデューサーの奥様もきっとこのシーンで涙しているはず(このドラマに元気付けられていると週刊誌に書いてありました。どうでも良すぎて逆に印象に残りました)


次回、無血開城。
西郷は何に吃驚していたのでしょうか。
そして天璋院の許にあの方が・・・。


【篤姫レビュー】慶喜救出

2008-11-16 20:46:11 | 大河ドラマレビュー《篤姫》

徳川慶喜が錦の御旗を見るやいなや、何もかもを放り出して大坂城を脱出した今回。
徳川軍は総大将を失って右往左往する羽目に。水戸家出身の慶喜からすれば、いくら形式上といえども朝廷を御輿に担いだ薩摩には逆らうわけにはいかないわけで。慶喜が取った行為というのは客観的に見れば部下を盾にして一人だけ逃げたヘタレ上司ですが、二代藩主・水戸光圀に繋がる彼の血族を考えると逃げ出さざるを得なかった悲しい性に哀れむ他はありません。
ところで、日曜8時になると何もかもを放り出して、PCの前に齧りつきTVを見ながらひたすら文字を打ち込んでいる姿というのは客観的に見てどうなのでしょうか?

で、本題。
鳥羽伏見の戦いが始まりました。そう、ここで出てくるのは薩摩神拳奥義・錦の御旗!
慶喜は単身、江戸へ逃亡。このシーンではサプライズゲストとして新門辰五郎を出して欲しかったところです。
で、逃げ帰ってきた慶喜は勝に協力を求めますが、勝は「天璋院を頼れ」と一言告げたのみ。
ところが、当の天璋院は唐橋から言われてようやく慶喜を再評価し始める始末。水戸家の家風を理解していない彼女に驚きました。斉昭を懐柔する為に得た知識は全く役に立っていないところが何とも。アレは江守を躾けるた為に片手間で身に着けた知識だったみたいです。
あ、そうそう。本寿院。この人は何もかもが間違っているので放置しておきましょう。

そして遂に訪れた、天璋院VS慶喜!
天璋院は慶喜の為に大奥にやって来たのに、いまや考えの違いから対立する事になった両者。
完全自●マニュアルを片手に大奥にやって来た慶喜に天璋院は
「一人だけ、滅びの美学に酔いしれるな!生きて恥を晒しなさい」
と命令を下します。
そして何とこの言葉で慶喜はアッサリ天璋院に『恭順』。あれだけ怪しい雰囲気を醸し出していた慶喜は、意外にも流されやすい人物である事が発覚した瞬間でした
でも、それよりも気になったのがこのシーンの慶喜に当たっているライトがひたすら暗い事。見事なまでに闇のキャラに仕立て上げられています。しかし、天璋院に『恭順』の意を示した後の慶喜には何故か闇ライトが当てられなくなりました!分かり易い演出に感謝です。
後の流れは、茶番にしか受け止められなかったので、言うべきことは何もありません。

その頃、薩摩では小松帯刀が京へ出立。
しかし京では薩長軍が今にも江戸へなだれ込もうとしているところ。
大奥では、勝がこの江戸総攻めには必勝法がある!と天璋院に宣言。
果たして、勝安房守の必勝法とは?
そして天璋院ら、徳川の女性たちの運命やいかに!?(煽りすぎですかね)


次回、松阪慶子さん大プッシュ!!


【篤姫レビュー】母からの文

2008-11-09 20:47:37 | 大河ドラマレビュー《篤姫》

「篤姫」の展開よりも、「龍馬伝」で福山雅治さんが坂本龍馬を演じるという事実に興味が惹かれている今日この頃です。

で、本題。
大政奉還を宣言し一大名となった徳川慶喜ですが、石高では当然ながら徳川宗家が日本でトップ。それを良しとしない西郷・大久保らは慶喜とその仲間達を追い詰める強攻策に出ます。
重野は天璋院に小松帯刀を通じて何らかの策を立てるように献言しますが、天璋院は小松の立場を考えて却下。
しかし天璋院は薩摩の情勢を知りませんでした。というのも、小松の立場は薩摩では微妙なものになっていたのです。
病気が理由で薩摩にて待機させられることになった藩家老・小松帯刀。提案した西郷・大久保は表面上は小松を立てていましたが、彼らは単に目の上のたんこぶを窓際に追いやりたいだけの様子。この時点で彼は藩内での発言権は無くなりました。
こうして徳川への武力討伐を願う西郷・大久保が事実上の指導者となり、徳川家VS薩長・反幕派公家連合軍の合戦実現化が絵空事ではなくなってきました。

一方、やることが無くなった小松は天璋院を救う為に奔走。
天璋院の母に彼女を薩摩へ帰るように説得させます。しかし、当の本人は薩摩に帰る気は毛頭無く。というか、何気に城を枕に討ち死にするつもりでいる天璋院。すでに『負け』を覚悟しているような感じすらします。その負のオーラは周辺にも広まり、大奥はすっかり堀を埋められて丸裸になった大坂城状態
BGMも何となく沈んだものになっているし、皆は泣き出す始末。
どう考えても
「薩長が押し寄せてきたら、なす術も無くそれまでです。徳川軍は勝てません」
と言っている様なもの。軽くネタバレですか(笑)
今回、気になったのが高橋由美子さん演じる唐橋。キャラがショムニの時と同じ感じになってきたような。唐突に発言し始める辺りが何とも。

そして、なりふり構わぬ薩長軍は江戸で放火・強盗を繰り返し、徳川軍を挑発。ケンカはいつの時代でも先に手を出した方が悪いということで。この策は当たり、我慢できなくなった徳川軍は薩摩藩邸を襲います。
そして遂に出てきた錦の御旗(しかも薩摩・岩倉による手作りだ!)

武力討伐の名目を薩長軍に与えてしまった徳川家。いよいよクライマックスですか。


次回、慶喜救出。
ドラマではひたすら不気味なキャラを保ってきた徳川慶喜。
彼も運命に抗う事は出来ずに父親同様に『篤姫の洗礼』を受ける事になりそうです。


【篤姫レビュー】龍馬死すとも

2008-11-02 21:19:26 | 大河ドラマレビュー《篤姫》

今回は坂本龍馬暗殺、庭田の死、大政奉還と盛り沢山の内容でした。
前回、慶喜が15代将軍に就任したと思ったら、もう大政奉還ですか。何回も言ってますが、この展開の早さは何なのでしょうか?

で、本題。
大奥では何かのイベントが始まってました。本寿院が雑用をさせられて文句をたれてましたが、実に相応しい仕事だと思いました。この人は自分が大奥に置いてもらえるだけでもアリガタイと思わなければいけないほど役に立たない人材なのだから。

続いて、西郷・大久保・岩倉による倒幕会議のシーン。
今回はこのシーンだけで満足です
これぞ、幕末ドラマ。腐敗した幕府を叩き潰す為に模索する人達。新しい夜明けが近づいていることをヒシヒシと感じさせるシーンです。
で、ここで来るのが後出しジャンケンの土佐一族が打ち出した『大政奉還』策。
ドラマでは小松帯刀が武力討伐を目指す薩摩藩の中で一人『大政奉還』策を支持。小松さん、ここまで派手にやっておいてよく(西郷と大久保に)暗殺されなかったな、と感嘆するばかりです。意外に世渡りが上手な彼に驚きです。
そして幕府は二条城にて大政を奉還することを表明。これにより、徳川幕府は消滅。名を捨て身を取った徳川慶喜。幕府はすんでのところで真の将軍を得た、ということでしょうが、ここからが薩長の正念場。まさに文字通り「殿様政治」を行っている旧時代を代表する生きた屍・徳川一派には滅んでいただかなければなりますまい。

そんな中、庭田嗣子が没。
「しっかりしてくれ、庭田!」と静寛院が叫んでいましたが、まさにその通りだと思いました。そうですね、あのセリフを聞いて、真っ先に出てくるのはこのセリフでしょう。哀しみの前に焦燥感が出てくる辺りがリアリティでした。
こうしてお迎えの幻影を見た後、庭田はあの世へ旅立ちました。
何というか、ここ2~3回で中途半端なキャラ(どうせだったら本寿院ぐらいブッ飛んだキャラにして欲しかった)になってしまったのが残念でしたが、宮さんへの忠誠心だけはよく伝わった人物でした。

一方、京では。
坂本龍馬が凶弾に倒れました。
「ワシは役人は性に合わん。・・・世界の海援隊でもやりますかのぅ」
暗殺される前に小松に語ったセリフ。
ここは一つ
小松「ほう、坂本さんは参議に就かれますか」
坂本「そうじゃのう、後藤だけには任せられんからの。ワシが新政府の舵取りをしてやれねばならぬ。慶喜も薩長もワシの手の上で踊るがじゃき」
といったやり取りが欲しかったところです。今まで大胆な解釈でドラマを展開させてきた「篤姫」なのですから、ここは“創られた”龍馬のキャラを壊して欲しかった。ええじゃないか、どうせ再来年にイヤというほど虚構に塗れた坂本龍馬を見ることが出来るのだから!
龍馬が作成した新政府の人事に彼の名前があったこと、ある資料で確認出来ます。なので、ここはその説を採って欲しかったですね。
個人的な意見として坂本龍馬が残念であったことは薩長と幕府の共和制実現を望んだ事。幕府から疑念の目を向けられ「やらねば、やられる」という状況に陥った薩摩、そして現時点で未だに朝敵となっている長州。この両藩が救われるには徳川一派の実質的な瓦解しかない(慶喜は『錦の御旗』が出てくるまで薩長に妥協するつもりは無かったように見受けられます。あくまで大政奉還は形だけ)、ということが龍馬には気付けなかった、とは到底思えません。確信犯的にやったと思えるのですよね。ある意味、本当に政治家向きであった坂本龍馬。龍馬は確かに明治政府にとっては無くてはならない人物でした。暗殺を企てた黒幕どんには、もう少し自重して欲しかったところです。
まあ生き残って龍馬が新政府の重要職に就てしまったら、ここまで後世の評判は上がらなかったでしょうから、ここで死んでおいて正解だったかもしれません。

で、大奥。
ようやく大政奉還の真意を理解した篤姫。
さあ、彼女の役に立ったのか立たなかったのかよく分からない根回し工作が始まります!
ここ数回、ドラマのケチ付けレビューしか書いていませんが、まあ一人ぐらいそういうのが居ても良いと思います。

次回、篤姫と和宮の聖戦が始まります。