必然的なヒストリー

クソムシが歴史系映像の感想を書いたり、妄想キャスティングしています。このブログは純度の高い自己満足で構築されています。

1年間お疲れ様でしたドラマ「平清盛」とは何だったのか

2012-12-30 17:16:25 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

大河ドラマ史上、極めて異質であった「平清盛」

このドラマは一体、何を残したのでしょうか?
このドラマが残した功罪について琉河なりに考えた結論を語りたいと思います。

まずは、功績について。

これは1行で済ますことが出来そうです。
それは広告宣伝に力を入れ、新たな視聴者層を獲得したこと。
特にツイッターで楽屋ネタまで語り尽くし、これでもかとリップサービスに徹したこと。江に比べ数倍、力が入っていたと思います。
盛絵とかいう企画も、ある程度成功したのでは?
現段階では、視聴率が唯一、統計データとして信用できる材料となっていますが、将来、何だかの手段で(笑)ネットでの支持率とかを測ることが出来れば、ファンの皆様が仰るところの「視聴率は低いけど、ネットでは好意見が多い」という推論も実証出来るのでは無いかと思います。(現段階では、分母の数が不特定なので、統計としては説得力に欠けています)

続いて、罪過について。

とにかくスタッフは視聴者を舐めすぎ。
チーフプロデューサーがグダグダと言い訳をしていましたが、要はどんなに平安末期に人物描写で複雑な背景があろうと最大公約数の範囲で分かり易く描くことが出来なかった、これに尽きると思います。
あと、リアリティを追求した、という割には随分と人物デザイナーや脚本家に好き勝手やらせてましたね。透ける烏帽子とか、バカ殿様に出てきそうな幼女時代の政子とかどこがリアリティ?
あの変な砂埃がリアリティですか・・・。
普通に考えて道路に水ぐらい撒くだろ。
矛盾してます。

分かり易く描くことが出来なかった原因として、もう一つ挙げるのならば、エピソードの使い方が下手くそ
例えば、4話の忠盛、殿上の闇討ち。
ムリヤリ為義を絡ませたために、展開がぼやけた。というか、あまりに出鱈目すぎて辟易してしまいました。
普通に考えて暗殺という汚れ仕事を源氏の棟梁自ら、のこのこと出向くか?
あそこで忠盛が為義の首根っこ捕まえて鳥羽院の前に差し出していれば、平治の乱を迎えるまでもなく源氏は衰退していったはずです
何も、何が何でも史実に忠実あれ!とは思いません。
しかし、あまりにも有り得ない展開を見せられると架空エピソードに説得力が無くなって萎えるのです。
活きのいい大トロの刺身にケチャップをかけたような違和感。
エピソードを捏ね繰り回した結果、視聴者に「展開が複雑」という印象を与えたのではないでしょうか。

もう一つ例を挙げると、オカルトめいた茶羽ゴキブリみたいに繁殖するカムロ。
なんだあれ。妖怪か。
しかも、そのカムロを解散させるための装置として、兎丸を殺すという安直さ。
キャラの使い捨てにもほどがある。
兎丸こそ、壇ノ浦で奮戦して死ぬのがベストではないのですか。そう、例えば信長に登場した伝説の加納髄天の如く。
オカルトといえば、後白河の腫物からサイコロが出てきたことを暗喩する描写がありましたが、意味不明。
こういった演出が分かりにくくした原因ではないのですかね。

そうそう、エピソードどころかキャラの個性も活かしきれなかった
平家一門は何とかキャラ付けをしようと必死になっている姿が見受けられましたが、いくら登場人物にキャラの特性を言及させても肝心のエピソードが手薄なため、中途半端になってしまいました。
そして、一番不思議だったのは、最終回で頼朝が後白河院を評して言った
「日本一の大天狗と呼ばれた後白河法皇が~」
というセリフ。
確かに大天狗であることは視聴者の周知の事実だとして、(そもそも『大天狗』は後白河を指していないという説もある)、ドラマでこの人の天狗ぶりを描いたシーンなんて、ほとんど無かった気がします。
後白河さんは感情を非常にストレートに出していた方だと思いますよ(笑)。

 

というわけで、色々と罪過について語りましたが、このドラマに場当たり的というか、刹那的な展開を求めるのならば面白かったという評価も出来そうです
おい、琉河はトチ狂ったか!とお思いになった方は落ち着いてください。
そもそも琉河は一年という長丁場で場当たり的な展開を持ってくる大河を支持しません
スタッフが唯一、その手腕を発揮出来たのは、場当たり的な展開をさも伏線であったかのように扱い後々リサイクルしてストーリに反映させた点ですが、そのお陰でストーリーがあっちに行ったり、こっちに行ったりと迷い箸みたいになってしまいました。

結局は、平清盛も江や天地人と何ら変わりがないと琉河は思います。ただ、ベクトルが少年漫画風なのか、少女漫画風なのかの違いだけだと思います。
前述のとおり、当ブログとしてはネットに迎合して「ここが面白かったです」と表現することは出来ました。
しかし、琉河は今まで天地人や江をこれでもかと叩いてきた人物です
その人物が、手のひら返して、このファンタジーは素晴らしい!と、どの口で語ることが出来るのでしょうか!
琉河は平安末期の情勢には疎いです。
ならば、せめて過去の自分の発言にブレが無いようにしたいじゃないですか。
それが情けない話、唯一のちんけなプライドなんですよ。

パスタのアルデンテのごとく細いプライドなのですが、これからもこの価値観を大事にしていきたいと思います。

また、上半期は体調が優れずまともに感想を書くことが出来ませんでしたが、それでも暖かいお言葉をかけて下さった皆様には感謝しております。
ありがとうございました。

では、皆様。
良いお年を!


最終回「万能の語り手・源頼朝の一生 これにて完結!」

2012-12-23 20:45:31 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

源頼朝無くして、この最終回は有り得なかった。ということで宜しいでしょうか。

清盛は死んでも頼朝の首を求めて西行に憑依したのですよね。

最後までオカルトかつ荒唐無稽なドラマでした。

最後に「平清盛無くして武士の世は無かった!」と頼朝が清盛を持ち上げてましたが、絶対にアンタそう思ってないだろ。
なんというか勝者の敗者に対する気遣いのようなものを感じました。

慌ただし過ぎて何が何だか分からない最終回でした。
とりあえず、あらすじは頼朝の言葉を辿っていけば理解できるはず。
それでも視聴者を置いてけぼりにした感は否めませんが、まあ45分だから仕方がない。
倍の時間は無いと描け切れない話を45分に押し込めたのだから仕方がない。
予算縮小がなせる業です。
琉河は嘘か真か知りませんが、視聴率が悪いと予算を縮小されると聞いたことがあります。

今回のエントリーは最終回の感想なので、深くは記しませんが、一年を通しての感想を求めて簡単に書きたいと思っています。

うん、平清盛ね。

最後まで予想を裏切らない変な演出。

ありがとうございました。


光栄なる最終回を迎えることが出来るのか!? 延長なし一本勝負「平清盛ファイナル!」

2012-12-23 19:27:16 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

大河ドラマの最終回で延長なし、しかも総集編が年明けの変な時間帯。

スタッフはやる気ないでしょう…。

45分で清盛絶命、平家滅亡、そして何故か義経自害シーンまで描くという、とてもタイトなスケジュールです。

これは興味がありますね。


第33話「忠度は嘘を愛しすぎてる」

2012-08-28 22:24:43 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

そろそろタイトル替えもネタ切れですかね。前回のサブタイトルとして「清盛、太政大臣やめるってよ」にしようと思ったのですが、既にたくさんの人が言ってそうなのでやめました。

今回のサブタイトルも「清盛、9.3%の宴」にしようと思いましたが、あまりにも可哀想になってきたのでやめました。もう洒落にならないでしょうに、この数字。篤姫では高視聴率を声高々に叫んできたのに、今年はこの有り様。関係者は冷や汗ものでしょう。

で、本題。
伊豆の場面(頼朝パートというべきか)では峰竜太と福田さんは登場せず。
峰竜太はあれだな。声だけ聴くと、どうしてもスーツ姿で和田アキ子の隣で司会進行している姿しか思い浮かばない。ある意味、峰さんが伊東役で良かったかもしれませんね。これが夏八木勲さん辺りだったら、軽妙さがなくなって、本当に沈んだ気持ちのままドラマが終わってしまいますし。(皮肉だよ!)
そんなこんながありまして、頼朝が呆けてました。まあそんなものでしょう。

京では清盛が名誉職であった太政大臣をわずか3か月で辞任。
この時、清盛50歳。
とても若いです。息子や弟と同世代と言われても違和感がありません。
20歳近く年下の北条時政の方が老けて見えるのもきっとスタッフの演出なのです。
決してスタッフの手落ちではないのです!
清盛を敢えて若く見せることで、モノノケの血がただ物でないことを強調しようとしているのです!
…はい、一応褒めておきましたよ。

で、今回初登場した、清盛の末の弟である忠度。
熊野で生まれ育ったことを効果的に使ったつもりなのでしょう。それにしては登場が遅すぎる気もしますが…。
何だかポッと出の印象が強いのです。清盛一家はある程度、今のメンツで馴染んでしまっています。
その中で、また新キャラが。馴染むのに時間がかかりそう。
確かに忠度がいないと「平家物語」が物足りなく感じるのもまた事実。
都落ちのエピソードなど話題に事欠かない人物ですし。
でも、このタイミングに出すにしても、今までの説明不足の感が。
以前から少しずつ、存在くらいは仄めかしておいた方が良かった気もしますがね。しかも、ポッと出す手段を逆手にとって
「こんな弟いたか?」
と清盛に言わせるのは脚本家の逃げのような感じがします。
別に頼朝や義経みたいに戦で散り散りになったわけでもない。なのに、清盛が一門である忠度の存在を知らない!?
にわかに信じがたい。ウソつきです。
こういうところが不愉快なんだな。
都市伝説であるではないですか。
雪山で遭難した4人が山小屋にたどり着き、眠らないために四隅を順番に移動して次の人にタッチしてグルグル回るアレ。
忠度という存在はそこに突如現れる5人目みたいな感じなのです。

それでもって、松殿と九条は最初から負けフラグが立ち過ぎ。
なんだこの小悪党扱い。仮にも勢いは衰えたといえ、名門の意地があるでしょうに。
なんで清盛の生誕祭に行くのだ。しかも行く理由が嫌がらせ。
まだ若い(役者は松山さんより年上だが)とはいえ、摂関家なのに余裕なさすぎ。
清盛のキャラを立たせるために摂関家を貶めなければならないのは如何でしょうか。
特に松殿なんか数年後に直接対決するのだから、ここは敢えて「清盛の前に立ちふさがる旧時代を代表する大物」扱いにしてはどうでしょうか。
もう遅いのですが。こんな奴らだったら平家に負けて当然。


第31話「崩御後のカリスマ」

2012-08-15 00:51:28 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

に、二条帝、呆気なく崩御!

琉河的に後白河院と二条帝の対立は、他のドラマでは見ることが出来ないイベントとして楽しみにしていたのですが、頼朝初メインの回で退場ですか。
キャスティング的に近衛基実-二条帝ラインに金をかけて無さそうな感じだったので心配していましたが、そう来ましたか。
ということは必然的に『出オチ枠筆頭・藤原経宗』の復帰シーンも無くなったわけで。どうするんだ。藤原経宗って結構、重要な人物じゃないのか。
それとも後から頼朝の解説で「実は二条帝存命時に復帰していた…」という紹介で登場するんかい。

で、本編ですがOP映像が何気に変わっていましたね。ケンイチさんが舞っていましたが、これは上野樹里さんのリスペクトと取っても宜しいか。
それはどうでもいいのです。気になったのは例によってトメグループ。

北条時政:遠藤憲一
伊東祐親:峰竜太 ←←
池禅尼:和久井映見
平盛国:上川隆也

という流れだったのですが、峰竜太の位置はそこが適正なのか。福田沙紀さんの後にクレジットすればいいじゃないか。
北条時政役の遠藤さんはまだわかりますが、伊東はそんなに重要なキャラクターですかね~。例のイベントが終わっても執念深く登場するのでしょうか。まさか、竜雷太にオファーしようとして間違えた、とかそういうオチじゃなかろうね。
峰さんファンの方々には喜ばしい限りですが、琉河にとっては役柄的にも役者格(失礼とは思いますが)にも不十分な気が。

で、ドラマの内容。
頼朝周辺の描き方は普通でした。北条時政が現時点で頼朝に対して必要以上に警戒心を抱いていないところは、少し好感触です。安達盛長の使い方も現時点ではあれでOKだと思います。

さて、冒頭でも書きましたが二条帝について。
まず、描かれたのは朝廷ではいつの間にか修復不可能なところまで来ていた後白河院と二条帝の関係から。
ここまで至る経緯は詳しく描かれていないと思うのですが、どうなのでしょう。二条親政派にはあの人もあの人もいたはずなのですが、省いてくれたおかげで単なる親子喧嘩になり果てました。
その方が分かり易いのか。
それでも、時間を割いてでもここら辺は描いてほしかったです。清盛の出世街道にも大きく影響する対立だったはず。
う~む、どうなのでしょう。清盛は理由もなく帝に気に入られ、トントン拍子に出世していくイメージですね。

と、考えていたら二条帝のお葬式(この表現が妥当)シーン。
何故か、延暦寺の皆様が登場。そして何故か坊さんが担ぐ輿から出てきた後白河。
見方によっては物凄くシュールな笑いを提供しているのですよ、このシーン。蓮華王院の関係で絡ませていると思いますが、後白河と比叡山の関係を考えると思わず琉河もニヤリとしてしまいます。
「なかなか皮肉な演出をするねえ」
と思っていたら、次がいけなかった。
坊さん達が後白河の命令でお経を唱え始めた。
面白くもなんともない。普通にやかましい。
見ているこっちも鬱陶しい。
単なる嫌がらせに来たのか。
しかも後白河さん、まさかの罵詈雑言の嵐。これを「織田信長の父・信秀の葬儀での振る舞い」と重ねる人がいたら危険信号。
この後、後白河をフォローするシーンも無かったし。

しかも退場際に
「危ない、危ない。騙されるところだった云々」
とかのたまわっていましたが、普通にこの行動の方が危ない、危ない
松殿(家電俳優の人)も近衛ももいたんだよ。
危ない目に逢ったとしても自業自得!
もう一回言います。帝、というより息子のお葬式で嫌がらせ。
凄いわ、後白河大先生!
で、当たり前のように輿に乗って帰っていくのか…。
このキャラで最終回まで突き通すのか。まあ、何というか…、ガンバレ。


第30話「地獄中年」

2012-08-06 00:58:46 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

第31話については後日。
クレジットだけ触れておくと頼朝の位置は規則性もなく反則技だと思います。松田聖子さんは自動的にトメグループ行きでしょうか。語り兼任の人物は定位置にして頂きたい。「義経」の白石さんの位置も相当見苦しいものでしたが、こちらは出演役者のグレードも下がっているだけに増々見にくくなっています。

で、30話ですが、とりあえず西行は鬱陶しい存在ですので、さっさと退場してギャルサーの主題歌でも歌ってなさい。
崇徳院の有り様については「爪も髪も伸び放題で鬼のような形相であった」というのを何かの本で読んだことがあるので、その伝承を使ったのでしょう。

結果的にいっぺん死んでみる?という決め台詞を吐いて地獄流しにするどころか、地獄のミサワにすらなれなかった崇徳院は何だかよく分からないまま崩御。
西行のお経のおかげで健やかに成仏ですか。
西行ってそんなに立派なキャラクターでしたかね?
単なる業にまみれたナルシストにしか思えません。
設定失敗キャラでしょうに。

本当に恨みを吐きたいのは、こんな意味不明な役を与えられた藤木さん本人ではないかと邪推してしまいます。

話は変わりますが低視聴率をファンの方は嘆いているようです。しかし、10~11%でも十分に高い内容ですよ。
なげく必要は全くありません!
何せ「主に泣いてます」(2.2%)の約5倍の視聴率を取っているのですから!
この内容で5倍も取れるのは奇跡です!


お茶をにごす

2012-06-28 00:41:19 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

とりあえず、前半の目玉であったはずの『保元の乱』

スケールが小さすぎて受け付けられませんでした。

予算配分がおかしいのではないか。海賊シーンで予算が底尽きたか。

平治の乱は塚地さんの素晴らしい醜態を楽しみにしています。

とりあえず、テンプレートが大変なことになったとお知らせが来たので更新いたします。

体調はずっと前からおかしかったのが、更におかしくなりました。
しかし、某オニツカさんほどではありません。
遅くなりましたが、ご心配をおかけしました。(また、心配していない方がこの文章をご覧になったのならば、単なる琉河の自意識過剰ということになりますので、ここで合わせて謝罪いたします)

後、個人的な話で申し訳ないのですが、ここ数週間、おかしいことが起こっていました。
更新もないのに、異様にアクセス数が増えたことです。

どうも塩谷瞬さん(妄想キャスティングで多数ヒット!)のせいではないようです。
意味が不明です。この記事を更新して、アクセス数が下がったら面白いので明日の結果を楽しみにしています。

コメントを頂いた皆様には、申し訳ありませんが、後日返事いたします。
少ししんどいので、なにとぞご容赦願います。
今後ともよろしくお願いします。

では、おやすみなさい。

ついでに。
後半の追加配役に中井貴一に匹敵する“大物枠”が誰もいないことに驚愕!
中村梅雀さんか。悪くないけど、なんだかねぇ・・・。


平家物語外伝「清盛家の一族」

2012-04-29 21:45:48 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

「重盛、基盛、清三郎、清四郎、みんな俺の子!文句あるか!」
この歌を聞いて何がどうなったら、清盛を「なんて恐ろしい子!」と評価できるのだ。
こんな棟梁、歌会からつまみ出せ。
ここは崇徳院や悪魔の左大臣・頼長の「ま、ま、ま、マジすか学園~~~!」みたいな反応が正しいのです。
こんな歌の意図を本気で聞き取ろうとするな!
この歌のせいで、藤原家成の面目は丸潰れ。そりゃ、成親も反平家になるってもんですよ、ダンナ!


かつて、江や天地人にも「主人公補正」による「説得力なき無条件納得」が幾度も発動されました。
江や天地人はまだ良いのですよ。最初から生ぬるい展開にする意志が十分に伝わってきましたから。
だから、何の期待もせずにただ鼻で笑っていれば良かった。
しかし、平清盛は当初、本格王道歴史ドラマを地で行くような展開にするという雰囲気が伝わってきたのです。

…いや、こう書くと人のせいにしているみたいで嫌ですね。
そうなんです。前にも書きましたが、全て琉河の見る目のなさが原因です。
山盛りコーンスターチや「王家の犬」連呼以外にも公家が透過性のある烏帽子を被っているハレンチ設定だけでも、このドラマの出鱈目さを見抜くことが出来たのです。


でもね、まだ深読みは出来るのですよ。
「家族愛に拘るあまり、清盛は非常識な行動を繰り返し、それが平家滅亡の遠因になった」
これが脚本家の壮大なる伏線だとしたら、拍手を送らざるを得ません。

あと、梅雀さんがトメだとなんだか収まりが悪いですね。
フレンチのコースでいうと
アベリティフ→アミューズ→オードブル→スープ→ポワソン→グラニテ→グラニテ→グラニテ→カフェ(終)
みたいな。「肉料理は来ないの?」みたいな感じ。
大河ドラマの登場人物クレジットはフルコースみたいなもの。華麗かつ贅沢な流れを楽しみたいものです。
安っぽいコース料理なんか大河ドラマに必要ないです。
(別に琉河はコース至上主義者ではありません。どちらかというとアラカルトから注文し自分で好きなコースメニュを作るタイプです。料理関連の批判はご遠慮願います。『か〇むら』最高!)


高次元時空ドラマ「鳥羽法皇だけ見えない」

2012-04-07 18:10:47 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

さて、裏番組の影響か11%台にまで視聴率が落ちた平清盛。いやいや、内容に比べると十分に高い視聴率ですよ。スタッフは歓喜していいレベルだと思います。
お話の内容は1147年に起きた祇園闘乱事件をモデルにしたオリジナルストーリーだったわけですが、今回はその顛末というかストーリーのオチについて考えてみたいと思います。

「矢が宝殿に当たった事件」については頼長著の「台記」によると坊主と清盛一行の小競り合いの最中に名もなき郎党が放ったとありますが、物語では清盛が当てたことになっていました。それはどうでもいいです。オリジナルストーリーを貫いているのですから、勝手にやればいいです。
問題は、鳥羽法皇の裁決です。
鳥羽法皇としては、この事件を利用して延暦寺をやりこめたかっただけだと思います。その方法が「清盛を罰金刑に留める」であり、その結果が延暦寺の強訴を退けた実績を残すことになるのです。今回利用した武士の力は、後々、朝廷を脅かす存在となるのですが、それはもう少し先のお話。
琉河としては、武力を取るか、寺院の権威を取るか、それに悩む鳥羽法皇の姿を見たかったのですが…。

鳥羽法皇がやったことは常人では理解できない一人芝居
しかも本気だ

まずは「上のたつものは自分の目で真実を見出さなければならない」という国民としては誠にありがたい思し召しのもと、神の子孫が自ら検非違使庁に向かっていく!
凄いです。歴代天皇では絶対出来ない、一歩間違えれば院の近臣が処罰されかねないことを次から次へとこの人物はやってのけます。
それもダメですが、この後がもっといけなかった!
清盛を目の前にして鳥羽法皇の思考回路が破滅します。
こんな感じで正しいか?文章に起こすと随分間の抜けたことになりますが…。

「清盛君はわざと矢を放ったのかね?朕は真実を問いただすぞ!問いただすぞ!」→
「ィヤッホー!じゃあ朕を討て!でも、真似だけでいいからね。実際に矢を放つと神の子孫とはいえ死んじゃうからね。」→
「当たった、当たった!朕しか見えない矢が当たりおったわ!おお、見よ!ワガミニスマウモノノケノチガ…云々」→
「清盛よ!君自体が、神輿に放たれた矢なんだ!荒廃する平安の御代に放たれた時代をただす矢なのだ。」
‐完‐

見たか!どんどん移りゆく話題の核心!
それでも我々は知っている!
法皇は一生懸命生きている!
上手いこと言ったつもりの鳥羽法皇カッコいい!
さすがトレンディを極めた法皇!
君の瞳を逮捕する!

律令なんか関係ねえ!理屈じゃない!感じるんだ!

…。
…いやダメだろ。
真面目なことを言ってしまうようだけど、上の立つ者がこの発言。誰がコイツについていくんだ。
ああ、謀反の芽がチラホラ…。
例えば「こうこう、こう言う理由でAという結論に至った」という思考ではなく「AだからAなんだ」という身も蓋もない思考によりたどり着いた今回のオチ。
法皇はこの後、藤原頼長に「ワガミニスマウモノノケノチガ…云々」とか「清盛は矢だ!」と捲し立てたのか。
聞いてて呆れるしかない藤原摂関家の方々。同情します。
まあ、それはともかく。大事なのは次のこと。

今回の言動により法皇様は見事「近所にいたら迷惑な“あーゆー人”」になられました。
誠におめでとうございます!
パチパチパチパチ
今後はいじられキャラとして精一杯頑張ってください!

NHKは公式HPに「今回の鳥羽法皇」とか「鳥羽法皇語録」といった特設ページを作るべき。
もっと言えば、ドラマが終わった後にテリー伊藤の解説による「本日の鳥羽法皇」とか流すべき。
今回だって祇園闘乱事件なんぞ、どうでもいい。番宣は、異様に張り切ってる坊主姿の三上さんだけ流していれば良かったんだ。
退場が刻々と迫っている鳥羽法皇。
いや、鳥羽法皇というより三上博史そのものと言った方が宜しいか!
三上博史こそが、乱れに乱れた大河ドラマを射抜いた矢そのものなのだ!

ちなみに今回、國村さんが語っていた藤原師道は38歳の若さで急死。当時、若く力が無かった息子の摂政・忠実は政治の実権を師道と協力せざるを得なかった白河法皇に事実上奪われ、院政は全盛期を迎えた。こうして藤原摂関家は没落していった

このドラマは時々、こういった琉河の琴線に触れることを言い放ってくれるのですが、如何せん、そのままスルーしてしまうのですよね


「遊びをせんとや生まれけむ」=「思うが儘に生きてみよ!」→完成したのは失敗作

2012-03-20 00:29:44 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

遊びをせんとや生まれけむ
戯れせんとや生まれけん
遊ぶ子供の声聞けば
我が身さへこそ揺るがるれ

言うまでもなく平清盛によく出てくるフレーズですね。
どうやら、この2102年度の大河ドラマ「平清盛」。
この歌の意味のごとく『子供の元気な声を聴いていると、何だか体がウズウズして遊びたくなってくるわい!
とドラマ関係者が意気込んだ結果、生まれた作品がよもや彼岸の域に達していようとは誰が予想したことでしょうか。

いや最初から懐疑的に見ていた人は「王家」という言葉や「溢れ出るコーンスターチ」を見た時点でピンと来たのかもしれませんが、不肖、この琉河はまんまとこの作品に期待し勝手に絶望することと相成りました。
一般的にいう源平合戦よりも一世代前のあまり馴染のない時代だから、描きようによっては面白くなると思ったのですが・・・。
ここまで通説を無視して異説に走ってくれると、こちらが何を言っても空しくなるばかりですね。琉河はまず王道的な通説を基にした物語があって、初めてそこから派生する異説が生きてくると思うのですよね。忠臣蔵で例えると、「吉良上野介を悪」とした展開を『通説』とすると、ここ最近、放映されるようになった『浅野長矩、神経衰弱による乱心。吉良上野介はとばっちり』という展開が『異説』になるわけです。
『異説』は広範囲に広がっていて、例えば深作欣二の八犬伝(鎌田敏夫・原作)のような滝沢馬琴の設定を借りただけの面白ハッタリ展開も『異説』に含まれてもいいと思います。

まさにここ「ドラマ清盛」は第一話から深作欣二の八犬伝ばりのハッタリ展開がバシバシでてきます。
前述のとおりそれはそれで、面白いのです。
どのくらい面白いかというと、ヤングジャンプあたりで連載していたら全巻そろえてしまうぐらいの面白さです。(それがどのレベルかというのはご想像にお任せします)
あっ、今、深作監督の八犬伝を引き合いに出してしまいましたが、勿論、完成度は清盛より八犬伝の方が数百倍は上です。

「ドラマ清盛」は琉河的には漫画的なハッタリ展開ばかりだと思うのですが、別にハッタリ展開をバカにしているのわけではありません。堅苦しい歴史イベントばかり並べたてても知識欲は満たされるものの、続きを見たいと自発的に思えなくなってしまうし、再現ドキュメンタリーみたいなドラマになってしまう。要は、ハッタリ展開の塩梅が重要なわけで、「ドラマ清盛」は明らかにこの分量を間違えているのです。
視聴者を退屈させまいとして、毎回これでもかと『異説』を語り続け、不必要な設定をこさえて無駄な伏線を貼りまくった(※1:皮肉なことに『通説』を知っている人でないと伏線と分かりにくく、知らない人は単なる荒唐無稽な展開にしか成り得ない)のでしょうが、全部裏目で出ていますね。視聴率の推移を見れば明らかです。

さて、では琉河が思う裏目に出たと思われる設定やストーリー展開を語ってみましょうか。(例によって批評という名のストレス発散ですよ

さて、1番目は「王家の奴ら」 
こいつらは全員どこかしらダメ。何で、行動パターンがいちいち家庭サスペンスとかご近所の悪い噂みたいになっているのだ。ぶっちゃけ琉河はこの手の話は大好物です。特に三上法皇はわざわざ自分から地雷を踏みに行くという凡人では耐え難い苦行に挑んでいる。毎回毎回、律儀に自爆していく様は見ていて面白い。しかし、王家にまつわる肝心な話は全て事後なんだよね。お子様に聞かれたら親はどうやって答えるのだ。
というわけで琉河的には好みでも、絶対に家族でまったり見たい層には支持されない。

他にもダメ人間はいるぞ。三上法皇と共依存に陥っている待賢門院様だ!
この御方は何というかダメとしか言いようがない。一見控え目でおとなしめなのは好印象なんです。しかし、空気の読めなさは異常。相手が言葉で攻められるのが大好きな三上法皇でなければ、とっくの昔に流罪になっていてもおかしくないレベルです。で、挙句の果てに「私の心は空っぽなんです~」だと!どこの猛禽だ!
でもね、残念なことにこの手のタイプは琉河の経験から行くと、たいていタチ悪い奴に引っかかってヒモと化した男性を養うことになる羽目に陥るのです。しかも、この手のタイプに寄りかかっている男性は対象の女性から拒絶されるとストーカー化することもあります。そういえば、「ドラマ清盛」にもまさに似たようなタイプがいたな…。
で、清盛のライバルとなる予定の雅仁親王。一見、バカな振る舞いも計算です!といった風情だが、それならば何で清盛とのすごろく勝負で、たかだか幼子に邪魔されたぐらいでそんなに怒れるのだ。単なるキレやすい若者じゃないか。「腹に一物抱える大天狗」ならば、そこは豪快に笑い飛ばしてほしかった。
そして、最後はベンジャミン法皇。全てが不快。
設定の上でも王家は失敗している。崇徳帝が白河法皇の息子という噂を真実として取り扱っていること。いくら何でもやり過ぎです。その伏線の回収が11話の崇徳帝による鳥羽院への反旗だとしたら、そこまでの設定は要りません。まさしく(※1)の事象に当てはまると考えます。せいぜい、神経が摩耗し始めた三上さんが懐疑的になるぐらいで十分。
この設定のために王家全体が生々しい大人の世界になっているような気がします。どこまでいってもベンジャミンと待賢門院のあのねっとりとしたやり取りがちらつくのです。どこまでいっても黄昏流星群。はっきり言って気持ち悪いです。

2番目は「元海賊の奴ら」
賑やかし要員として必要なのはわかるけど、とにかく汚い。
そんなに汚くして誰が喜ぶのだ
他に言うことなし。はい、次!

3番目は「藤原摂関家」
このお歯黒軍団は國村さん以外はまともな部類。特に頼長は役人として結構、正しいことを言っているぞ。密貿易のことにしても、王家は乱れている発言にしても、待賢門院に対する義清の罪を求める際にしても、どこまで行っても正しい。なのに、ドラマでは何だかダークサイド扱い。勧善懲悪の凄まじい転倒なのではないか!まるでデビルマンじゃないか!保元の乱後に頼長のちぎれた上半身が清盛の隣で横たわっていても不自然ではない。(まさかその伏線じゃなかろうな…)
後、異様に気になるのが、國村さんのクレジットの位置。単なる偶然だと思うのですが、やけに目立つ位置にクレジットされています(松雪さんも時々この位置にクレジットされます)。トメでも何でもないのに中井貴一さんより目立っています。何だか微調整している臭いんだよな~。表示時間というかクレジットされる時間の間隔がその都度違うし。う~む、小癪だ!

4番目「主人公周辺のバ〇野郎ども(平清盛、源為義、佐藤義清)」
全部だめ。何がダメって全部だめ。
まずキング・オブ・ダメおやじの称号を得た源為義。第4話の忠盛闇討ち事件。棟梁自ら、一人でのこのこ暗殺に行くって絶対に有り得ない。しかも、どう見ても格好からして中井貴一の勝ちです。棟梁なのに何故か雑兵みたいな恰好をしている為義。
なんだ、お前。
それしか服を持っていないのか。しかも、どさくさに紛れて「これが息子にしてやれる唯一のことだ!」とか抜かしやがったな。思わず騙されるところだったわ。それは自分が処刑されるときまで取っておけよ。ここで持ってくるなんて、随分と安い命だな。
琉河は以前、この為義のキャラ設定を通説を覆した眼から鱗と評したが、やはりまずは通説通り狼藉者の為義を見たかった。この場合、小日向さんではミスキャストになってしまいますが。

で、次は清盛。ロックです!グレイトです!激動の時代を生きています!愛しさと、切なさと、心強さを持ってます!お父さんの威光を利用してます!以上!
…妻が死んだときに僧に蹴り飛ばしていましたが、これが祇園闘乱事件の伏線だとしたら絶対に清盛を支持しない。まさに(※1)に該当し、下らない伏線。
この時、平家の良心であった盛国が「極論を言えば、法皇のせいで北の方様は死んだのです」とかほざいていましたね。んなバカな。ひたすらみじめな設定になっている三上さんに合掌。ついでに三上さんのクレジット位置が悪すぎるのにも合掌。

最後に佐藤義清
いやはや、このバ〇にはすっかり騙されましたよ
最初こそ、「ちょっとナルシストだけど、知勇兼備の頼りになる奴」みたいなキャラでしたが、第10話で見事に転落。
「何で(美しい)僕を認めてくれないんだよう。(俺はあのダメ上皇より下だというのか!)」
という逆切れで待賢門院の首を絞め、挙句の果てにムシャクシャして娘をキック。見事なまでの虐待行為。しかも、誠意を込めた謝罪もせずに一人逃亡。
誰が共感するんだ、こんなキャラ。地雷震に出てくる小佐野ヒロキかよ!
ネタ的には面白いけど、主人公サイドにこんな人物を置いて物語的に大丈夫なのか。
ええ、確かに義清というか西行は出家を止めようとする娘を蹴り飛ばす逸話は残っていますよ。でも、明らかに使いどころを間違っているでしょう。
一事が万事とは言いませんが、この先、どんなに義清が素晴らしいことを言っても色眼鏡で見られることは間違いないですよ。
しかも、自分の限界を知って自暴自棄。ヒモまっしぐらじゃないですか。
この先、どこまで行ってもネタキャラ扱い。せいぜい、物語のツッコまれ役として頑張ってください。

あと、失敗だと思ったのは頼朝のナレーション。頼朝である必要性が全くない。もう少し、源氏に肩入れした言い方にしたり、敢えて雅仁親王を目の上のたんこぶ的な扱いで語ってくれた方が頼朝らしい気がする。
そして一番小癪なのは、理屈的な説明がなされているように見せて、単なるオーバーな演出の勢いだけで乗り切ろうとするところ。
龍馬伝の時からの悪い癖です。
いくつかあるのでパッとは出てきませんが、直近のもので言えば、崇徳帝が譲位にあたり悶絶するシーン。
「皇太弟だと…、おとうと、おとうと…、違う、違う・・・、おのれ得子。朕を騙したな!」
どうやらARATAさんは松雪さんに騙されたようなのですが、何がどう騙されたのか分からない人には分からないと思います。ARATAさんの立場ではとにかく“息子”ではなく“弟”に帝位を譲るのではマズいらしいです。
きちんと説明して欲しいところなんですけどね。仮にも情報を与える側の人間が「分かる人だけ分ければいい」という姿勢を取るのはどうしたもんですかね。これが「無駄金使って自己満足なドラマを作りました。見たければ見て良いよ」という姿勢なら何も言うことはありませんよ。いっそ、そう宣言した方が楽じゃないですかね。

「もしドラ」を放映していた局なのに、顧客満足を考えないのもどうなのかな。スタッフにとって一番の顧客はコーンスターチ業者なのかな。
何にしても、この時代を取り扱うこと自体に心意気を感じた、あの期待膨らませてくれた思いを、もう一回味あわせてはくれないでしょうか。

最後になりますが、琉河が2話以降、感想を書いていない理由を述べます。
一番の理由は体調の問題です。これは厄介で、原稿の推敲すらまともにしていません。見苦しい文章について、この場を借りてお詫びします。
2番目の理由はこれも簡単な理由で、ドラマを見ながら琉河の脳内でオリジナルストーリーを妄想しているからです。当然キャストもキャラ設定も違う所が出ています。ドラマは本編の進捗具合と妄想ストーリーを照合させるためだけに見ています。特にドラマに求めるものが無いと毎週、感想は書けないものです。ある意味、こういう視聴方法もアリだな、と最近では考えています。