Tenkuu Cafe - a view from above

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道南の空を飛ぶ (13) -北海道 駒ケ岳

2009-09-27 | 北海道


「カルボナード火山島が、いま爆発したら、この気候を変えるくらいの炭酸ガスを噴くでしょうか。」
「それは僕も計算した。あれがいま爆発すれば、ガスはすぐ大循環の上層の風にまじって地球ぜんたいを包むだろう。そして下層の空気や地表からの熱の放散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろうと思う。」
「先生、あれを今すぐ噴かせられないでしょうか。」
「それはできるだろう。けれども、その仕事に行ったもののうち、最後の一人はどうしても逃げられないのでね。」
(宮沢賢治著『グスコーブドリの伝記』1932年 より)


1929年6月に、北海道駒ケ岳が大噴火をしてから、今年でちょうど80年になる。

桜島の大正噴火(1914年)とならび20世紀に国内で起こったものの中でも最大級の規模であった。
宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』は、1929年の駒ケ岳噴火にヒントを得て書かれたといわれている。


北海道駒ヶ岳は、北海道森町、鹿部町、七飯町にまたがる活火山で、標高1,131m。
大沼方面からみると、横に長く、なだらかで優美な女性的印象を与えるが、森町方面や鹿部方面からみると一変し、荒々しい山肌と傾斜が目に付く男性的な激しい姿を見せる。

駒ケ岳は、江戸時代以降、巨大な噴火を3回発生させおり、このうち最大規模と考えられているのは、1640年の大噴火である。
1640年7月31日、大噴火とともに、駒ケ岳の山体が大崩壊を起こし、東側と南側に向かって崩れ落ちた。このうち、東斜面を流下した大量の土石は、大規模な岩屑なだれとなって内浦湾(噴火湾)に流入し、大津波を発生させた。多数の人家や船舶が流失し、昆布を採取していた100隻あまりが津波に呑まれるなど、沿岸一帯で700人以上が犠牲になった。
一方、南斜面を流下した岩屑なだれは、川を堰止めていくつかの湖を生んだ。

現在、観光地になっている大沼、小沼、ジュンサイ沼などは、このときの大崩壊によって生じたものなのだ。