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琉球弧の島々を飛ぶ (35) - 与那国島・祖内、ナンタ浜

2009-09-09 | 沖縄
祖納(そない)は、与那国島の中心地で、赤瓦の家並みが残る古い集落。
祖納には、3銘柄の泡盛の酒造所があり、日本で唯一アルコール度数60度の泡盛「花酒」製造が許されている(崎元酒造「与那国」、入波平酒造「舞冨名」国泉酒造「どなん」)。

花酒とは泡盛の蒸留行程で最初に出てくるアルコール度数の高い泡盛のことで、最初にでてくる酒なので「ハナサキ(最初という意味)」という名前になったといわれている。
花酒はおもに冠婚葬祭に使われる酒であり、結婚式の際には、三三九度の酒として使われ、葬儀の際には、天寿を全うした方の葬儀のみ振る舞われる酒だという。薬としての役割もあり、医療設備のない時代、発熱や傷の処置など万能薬として大切に使われていた。
この島にとって花酒は「特別」な酒で、こういった歴史的背景や儀礼的な使用の習慣が認められ、アルコール度数60度の花酒は与那国でのみ製造する事が認められた。

昔は、この酒を作るのに、若い女性に米を噛ませて、それを吐き出させ、樽の中にいれて発酵させて酒をつくったのだとか...

祖納集落の前方、祖納港のある白砂が美しい浜が「ナンタ浜(波多浜)」。
与那国随一の港であったが湾口が北向きのため季節風の影響を受けて入港には困難を伴った。

「なんた浜うりてぃむちゃる盃(さかじき)や 涙(みなだ)あわむらし飲みぬならぬ」

民謡「ドゥナン・スンカニ」(「スンカニ」とは恋と別離の情をうたいこんだ歌)

琉球王朝時代、税を取りにくる役人をこの浜で迎え入れた島の娘たちの秘話が伝えられている。