地酒屋のロックンロール日記

酒好き・音楽好きの仕事がらみと個人事をつらづらと・・・

平成18年5月8日(月) 曇  酒税法

2006-05-08 00:05:54 | 日本酒

日本酒酒税法改正について

ちょっと難しい話になりますが、説明させて頂きます。
これまで蔵元が支払う酒税は、度数が1度上がるごとに上がっていました。
15度の清酒だと       1.8リットルで252.9円
18度の清酒原酒だと  1.8リットルで303.5円
約50円ほどの差がありました。 
それが度数関係なく一律となり1.8リットルで216円の酒税負担に変更で
15度の清酒で約37円の減税となりました。

これを聞くと「何だ税金が安くなるんだから小売り下げられるのでは?」
と思ってしまいます。
しかし石数が少ない蔵(200KL以下)に対して行われていた
酒税の特別軽減措置が平成19年10月1日より廃止となり
(一般人の納税の時の住宅控除みたいなものかな)
蔵元の納税の負担は逆に増えてしまいます。

それに原料、資材の高騰 特に原油価格の変動が大きく
※東京のガソリン5月の時点で132円 この1ヶ月で10円は高くなっています。
  先日価格表示のない「JOMO」で入れたら152円 高過ぎ!!  

それに酒質を上げるための設備投資、原料米のグレードアップを
小売り価格据え置きでやって来た経緯もあります。

市町村合併による住所変更と、
ほぼ毎年増える、ラベルでの表示義務の項目追加
(製造物責任法:PL法)
にともなうラベルの変更
一アイテム○万枚刷る場合もあるのでここでもロスとコストが発生します。

ですので下げられない理由も蔵元にはあるのです。
このようなことを総合的に見て
何卒皆様のご理解を頂ければと思います。
蔵元はきっと税金分は酒質で返してくれるはずです!!!

「酒税以外の改正点」

減税、増税の影に隠れるように「三倍増醸法」が撤廃
2年後にはいわゆる「三増酒」は「清酒」としてのカテゴリーからはずれ
その製法を受け継ぐなら「その他の雑種」のカテゴリーに入ってしまいます。
しかし改正後法律案の中におかしな一文があります。

七:清酒

イ:米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの  
※うむうむ、これは私たちが今まで口にしてきた「日本酒」です。

ロ:米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を
   原料として発酵させてこしたもの
(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米{米こうじ含む}の
重量の百分の五十を超えないものに限る。)

これは乱暴な言い方をすれば100のお酒の中に
米エキスが50以上入っていれば
残りの50はアルコール、糖類、酸味料等
添加物として認められたものなら入れてもいいと言うことになります。

三増酒が清酒から消えても「日本酒もどき」は残ると言うことです。

今回は発泡酒に対しての増税が取りざたされています。
マスコミも一番庶民に影響のあるところに目が行きがちです。
しかしここはきちんとご案内したいと思い
造り手の立場を考えて代弁させて頂きました。

最後までお読み頂きありがとうございました。

     文責  はりきり企画部  印丸