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ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ジュエリーCADは”イマジネーション”が勝負?!

2008年11月07日 | ジュエリー作品&試作品

写真の映りもよくないし、作品としてはイマイチつまんないデザインなんで、ブログアップどうしようかなー??って迷ったんですが、いちおうジュエリーCADで造形したリングの記録程度として・・・・。

これは、もともとはライノセラス4.0の新しいコマンドを試す練習用データだったので造形までしないつもりでしたが、ローランドのJWX-30が導入されたというので、”お試し切削”していただいたものです。
最初は石には爪をつけてましたが、造形してみたら、なんとなく見た目かっこわるい感じなので取ってしまい、伏せ込みにしてしまいました。

こういうぽってりした形を、”月形甲丸”リングと呼びます。横からみると上半分が半月状に見えるからでしょうか。このように、シンプルなようにみえて、真上、正面、サイドのどこから見ても左右対称(シンメトリー)に見えなければならない形というのは、手作業だと慣れていないと大変な仕事ですが、ジュエリーCADを使えばものの数分で出来てしまいます。



ただ、ジュエリーCADですと実際に原型を手に持って目で確かめることができないので、幅、高さ、厚み、腕の絞り具合などは”想像にまかせる”しかないと いう欠点もあります。CADの場合、想像力をもってしてバーチャルとリアルの両世界のギャップを補わなければならないシーンが多々あります。

実際、画面であれだけリアルに描画できて、3Dでぐるぐる回して確認できるのに、造形してみると想像してたのと違った、っていうことが起こるのが不思議です。人間の目がいかにテキトーか、ってことですよね。

私の場合は、一度、粘土で大雑把なモデリングをして全体のフィーリングを決めたり、実寸で出来上がり状態を手描きしてみてから、CADにとりかかります。

いきなりCADの画面に向かってデザインされる人もいらっしゃると思いますが、手作りでの経験が浅い私には、”プレ・モデリング”によるシュミレーションしてみないと、頭に描いたとおりスケールで原型を作ることが難しいのです。特にレディス物の場合、先に決めるリングサイズがかなり全体のスケールに影響してしまうため、CAD設計に入る前に、やはりそうした準備プロセスは欠かせないと思っています。


石は、写真ではわかりにくいのですが、
CZとしては珍しい、
”パライバトルマリン”カラーの
キュービックジルコニアです。

ジュエリーCADを採用している企業でも、手描きデザインの工程や人材が省略できない理由は、CADソフトを扱える人が必ずしも、いきなりパソコン画面だけでデザインを描き、しかも製品になるデータを作れるとは限らないからかもしれません。『手描きデザイナー=CADオペレーター』だとしても、おそらく手描きの工程は必要でしょうね。

そういえば、自動車のCMで、1/1フルスケールの粘土の車をピーラーのようなもので削り出していく、”クレイモデラー”さんが登場するシーンがありましたよね。”うはー、カッコイイ~!職人技じゃーっ。”てシビレながら見てました。CADによるモデリングが当たり前になり、どんなにリアルにレンダリングできるような時代になっても、やっぱり実物大にしてみて”フィーリング”を掴むという過程は大切なのですね。


ロンドンの雨の色?ブルートパーズのペントップ

2008年11月02日 | ジュエリー作品&試作品

大ぶりなアクセサリーが好きな私は、ついつい石を選ぶ際にも大きなものばかりに目が行ってしまいますが、当然、貴石には手が届きませんので、もっぱら半貴石にて楽しんでいます。

このペンダントトップに使われた石は、ロンドン・ブルートパーズとサファイアです。ティアドロップ型の石は、その名の通り、涙を表す形なので尖ったほうを上にして使うのが一般的ですが、私はその逆に配置するのが気に入っています。(前作のシーブルーカルセドニーのペンダントも逆涙型でした。)


全体像は下から上に末広がりになる
逆三角形のラインを描いています。
実は、この形、女性のデコルテ(鎖骨部分)を
美しく見せる効果があります。

この石は、一般的なブルートパーズよりも深みのある色で、落ち着いた佇まいを見せています。なぜ、”ロンドン”ブルートパーズって言うのでしょうね。

天然の”ブルー”のトパーズは透明に近いごくごく淡~い水色で、ロシア産の「ロシアンブルー」と呼ばれる濃い青色の天然石がありますが非常に希少でめったにお目にかかれません。近年、放射線照射と加熱によるトリートメント技術の登場によって、濃い色の青にカラーチェンジできるようになったとのことです。

その色合いも自由自在で、色合いのイメージから「スカイブルー」「スイスブルー」「ロンドンブルー」「スーパーブルー」などと名前がついています。”ロンドン”、のイメージってなんか雨が多く曇りがちで暗い感じがするから、そう呼ばれるようになったのかしら。。。海、というよりも深く澄んだ湖を彷彿とさせる色です。


太いベルベットリボンを通して、
チョーカーとして付けていただくと
クラシカルな透かし部分が引き立ちます。

トパーズのように本来値段が安い石でも、サイズが大きくなるについれてリニアに値段が上がっていくのではなく或るレベルから途端に値段が高くなるのは何故なのかな?鉱物の状態からクラックやインクルージョンのない綺麗な部分を大きく削りだすのが難しいからかな・・・。


石座のサイドにも控えめな透かしの光穴を。


リボン、コードの他、もちろんチェーン使いでも。
その場合は長めのもので、胸あたりに
トップが来る位置がオススメです。

ラヴァーグの作品展示会に出したところ、ありがたいことに即売れてしまったので、残念ながら手元にございません。気に入ってお嫁にもらってくださった方に心から感謝の気持ちで一杯です。

私の作った作品のほとんどはなんらかの形で人様の手に渡ってしまっているのですが、こうして写真が残っていればずっと思い出になるものです。ついついおっくうで撮影を忘れてしまうのですが、これからは1つ1つ愛情を込めて撮影しておこうと思います。


オリーブリーフのリング

2008年10月31日 | ジュエリー作品&試作品

Canon Kiss X2で初めて接写に試みました。なんといってもマクロレンズはとても高いので、それに手を出す前にとりあえずお手軽なクローズアップフィルターを普通のレンズの上に装着して撮ってみました。でもなかなか思うようにいきません。ピンボケ写真ばっかりで・・・。視野が狭まるので位置決めも難しい。(^^;;;

でも、いつも使っているRichoのCaprio(R3)だと、狙った被写体は全体的にピントが合い隅々まできっちりと映し出すのですが、Kissだと奥の方(たとえばリングの下裏部分)がいい感じにボケてくれるので、メリハリのある雰囲気のある写真が撮れる気がします。”ボケ感”っていうんだそうですね。最終的にはマクロレンズ、欲しいんですが、6万円くらいするのでそれならCaprio の最新機種R10買っちゃうかもな~。

今回は、ジュエリーCADで作りました地金リングです。ライノセラスの画面キャプチャはもういらないですよね。”CAD上でこうなってたのがね、実物はこうなるのよ~”、みたいのは卒業します。だって、見た目まったく一緒ですもん。(笑)




サイド部分

このリングは、オリーブの葉をモチーフにしました。真ん中にオリーブの実が1つ、葉っぱと葉っぱの連結部分にもちっちゃな”実”がついています。今年はうちのベランダのオリーブがたわわに実ったので、その豊作記念です。 (そうそう、オリーブの実は収穫して、chizさんの教えてくださったサイトを参考に塩漬けを作りました。あと2週間位で食べられるかな~。この首尾はまた別の機会に!)

サイドから見てもキマって見えるよう下までしっかり模様を作りこんでいます。是非、人差し指につけたい横顔自慢?のリングです。


人差し指にするリングは、上からだけでなく、
横から見えたときの表情も
意識して選んでくださいね

次は、同様のデザインで真ん中と葉っぱの間の実のかわりにストーンをあしらったバージョンを作ってみたいと思います。 


アメシストの花

2008年10月27日 | ジュエリー作品&試作品

作品をアップするのはかなり久しぶりですね。机は1つしかないので制作と写真撮影は同じスペースでやっていますが、制作をだらだらとやっていたため、作業台がいつまでたっても片付かなくて、写真の撮影がのびのびになっておりました。

   

こちらは、お花の形のアメシストで作ったリングです。こういう面白いカットの石をみつけると、ついつい食指が伸びてしまうんですよねぇ。石屋さんでコレだけ1点限りでポツンと陳列してあったので、試作品かサンプルだったのかもしれません。

ジュエリーCADで造ってみたかったのですが、この石は、パビリオン(後ろ側)が変則的なカットになっており、爪の位置なども含めてCADでは石座の形をとるのが難しくて、結局手作りになってしまいました。


表面がバフトップ、パビリオン側はファセットカットが施されているため、上から見ると内側から光が反射してキラキラと光をたたえ、動くたびに躍動感があってなんともいい感じです。その様子が写真ではうまく表現できないのが残念です。


横から見た感じです。この石はパビリオンがかなり深かったので、石座も高く作らざるをえず、これでもキュレットがはみでないギリギリの高さです。


光線の加減によっては、かなり深い色合いの紫色が出ます。

   

今回はデザイン的に石座に透かしを入れたくなかったので、光穴なしでも石の下側から光をよく採り込めるように、石の座り具合を工夫しました。 ちょっとした意識の差でしかないのですが、『光』の取り入れ方次第で石の表情が変わるので、石の美しさを最大限引き出せるよう、常に『光』や『輝き』を頭に入れながら造ることを心がけたいと思っています。

淡水パールのラリエット

2008年08月10日 | ジュエリー作品&試作品

先週はジュエリーCAD三昧でスパークしました。(クロスのほか、リング2点モデリングしました。UP予定です。)

激しく頭脳を使うCADの後は、コリをほぐすべく癒し系の組み物でもしてマッタリしましょうか。(^^)

というわけで、淡水パールや水晶などを使ったラリエットを作りました。
実は種明かししますとこのラリエットも、組物の講座で習ってました。すでにレシピがあります。なので、オリジナルとはいえませんね。m(_ _)m


私が一番好きなスタイル。
ネックで一巻きして、先端部分で交差させます。

120cmもあるこのラリエット、いろんなつけ方のアレンジができますのでカジュアル、ファンシーいずれのスタイルにも合います。黒のサマーセーターや、白いコットンのぱりっとしたシャツにぴったりです。
ロングネックレスが流行のこの夏おすすめのアイテムでしょう。

ラリエットは、タテのラインを強調するので私のように背の低い人がするとすらっと見せる効果があります。


淡水パール、水晶、カイヤナイト
+シルバーパーツ使用

大変気に入ってしまい、またしても一人ファッションショーをやって悦に入り、私物にする予定だったのですが、作ろうと思えばまた作れるし、思い直してちょうどこの月に誕生日を迎える私の親友のバースデープレゼントにしました。


ジュエリーCADでオリジナルクロスを作る ~その2~

2008年08月09日 | ジュエリー作品&試作品
ジュエリーCADでオリジナルクロスを作るの巻その2です。

2つのデザインのミックスチャーから派生した初版デザイン
がこれです。



私のほうから、”フラットなデザインに表情をつけてみては?”という提案をすべく、曲線的なラインを出してみました。あくまでも本人のホンネの好みを引き出すための呼び水です。



すると、最初は、”なんでもいいです。おまかせします。”と言っていた友人から、思わぬ反応があったのです。
上記のデザインを見て、まずクロスの外形線のくびれたラインをまっすぐにして欲しいということと、ミル様の装飾は、サーフェス上ではなく一段落として欲しい(つまり溝を彫ってその下に落とす)という、アグレッシブな逆提案がありました。ほんとに嬉しかったです。”ヤッター!!!”と思い心の中でガッツポーズを出していました。

お洒落にちょっとこだわりのある女の子なら誰でも、自分の理想のデザインを持っているはずです。たいていは、市販品の選択肢から一番良いと思うものを選ぶのですが、フルオーダーだとなかなかうまく好みを伝えられないと思います。でも、目の前にたたき台があれば、それに対して好みも伝えやすいので、ジュエリーCADはまさに、Rapid Prototyping Toolといわれるゆえんだと思いました。

そういうわけで、最終的にはこのようなデザインと相成りました。




この前のブログエントリーに、リアルなレンダリング機能が欲しいときが来た、という記述をしましたが、それはセンターストーンをどうしましょう?という相談に及んだ時でした。

ライノセラス単体ではジュエリーぽいレンダリングができません。ジュエリープラグインを入れてもです。これにはさすがに困った・・・。

たまたま、ご本人から黒い石がいいかな、とのご希望でしたが、やはり選択肢があったほうが楽しいに違いありません。違う色を見れば気が変わるかもしれなのです。こういうケースは今後おおいにありうるわけで、今後はやはりレンダリングソフトの購入も検討しようかなと思っています。


ジュエリーCADでオリジナルクロスを作る ~その1~

2008年08月07日 | ジュエリー作品&試作品
再びジュエリーCADのお話です。

ライノセラスは、単独ではジュエリー用のレンダリング機能はありません。本格的なレンダリングをするには同じMcNeel社の”Flamingo”というソフトが必要となります。代替手段としてジュエリー用プラグインで用意された金属テクスチャーをオブジェクトにマッピングするコマンドを使って、出来上がりの雰囲気を見ることができます。
(シルバーはそこそこですが、ゴールドがイケてないんです。黄色すぎて雰囲気が逆にわかりにくい。もっと落ち着いた色のテクスチャを提供してほしいな・・・。)

ジュエリーデザイナーが顧客にプレゼンや提案するときは、爪も留めた状態にし石も載せて、高性能のレンダリング機能を使って演出する必要がありますが、造形のためだけにジュエリーCADを利用するなら、このマッピングコマンドだけあれば十分だと思っています。

リアルにレンダリングした画像をネットで展示ということも一瞬考えましたが、レンダリングに骨を折る時間があったら、最後まで作っちゃって実物を展示したいよなあ・・・、と個人的には思ったりして、Flamingoの習得は、いつか時間に余裕ができたら(そんな時が来るのか?)と先延ばしにしています。

ところが、やっぱり自分にもレンダリング機能が欲しいなぁと思う場面がやってきてしまいました。

   

友人のために、クロスのペンダントを作ることになりました。しかし、いかんせん、相手は素人さんです。デザインの希望を聞いたのですが、最初は、「何でもいい。おまかせしまーす!」と言われて困ってしまいました。でも、人の好みは千差万別、その人の好みじゃないものを押し付けるわけにもいきません。

でも、だいたいの人のスタート地点は皆同じで、”おまかせします”からはじまるんです。たいていの人は、ハートだのクロスだの、好みのモチーフまでは決まっても、そこから先のデザインを自分で描くのは難しいことです。

私の場合は、”おまかせします”と言われても、最初から提案をしません。まず、すでに存在するもので気に入ったデザインを選んでもらいます。前のエントリーでも触れましたが、過去のデザインや既存の製品をベースに、それに本人の好みを付け加えていくというビルドアップをしていくことになります。住宅展示場でモデルハウスを見て気に入ったスタイルを選んで、細かいところを施主の好みに足し引きしていくのに似ています。

アプローチとしては、以前はジュエリー雑誌を何冊か見せて好きなジュエリーをいくつでも選んでもらい、その人の好みの傾向を掴みます。今はネット時代ですから、楽天とかYahooショッピングのジュエリーカテゴリーを見て好きなデザインを教えてもらいます。

  

その友人にも、「ネットで紹介されているクロスで、気に入ったのがあったら、それを教えて。」、という”宿題”を出させてもらいました。しばらくして、彼女がネットで見つけてきたお気に入りは、2パターンあり、1つが人気ブランド、”アガット”のもので、超シンプルなプレート状のクロスです。(ちなみにアガットのコンテンポラリーなジュエリースタイルは私も大好きです。)


Agete 2008 Autumn Collection より。
超ちっちゃい!これをペントップに??
引き輪部分につけるチャームならわかるけど・・・

もうひとつは、ミルっぽい装飾が施され、先端に飾りがついた可愛いデザインのクロスでした。AHKAHというブランドだそうです。
こちらも個性的で、個人的にそのショップのコンセプトにとても共感しました。

 

しかし、コピーはいけません。私も、クリエーターの端くれとしてプライドが許しませんから~。(笑)

それなら、2つのクロスのおいしいとこ取りをして、さらにオリジナルの味付けをしちゃいましょう!ということになり、彼女と共同でのデザイン作戦が始まりました。

今回は、最初からジュエリーCADソフトをお絵描きツールのかわりに使いました。まさに鉛筆の代わりです。左右対称に書いてくれますので手で書くより効率的です。あくまでこの段階では、”絵”でいいわけですから、作りこまずに大雑把に描画し、プロトタイピングと微調整をしていきます。

その第一弾のデザインがこれです。
ここからオリジナルクロスづくりのスタートです。



画像上ではエッジがきついですが、実際にはアガットのクロスのように、仕上げの段階で軽くアールをつける想定なので、最終的にはソフト感じになるかと・・・。しかし、そういう都合のよい想像はクライアントにはできないので、ほんとうはちゃんとエッジを丸めた状態にすべきなのですが、そのためにはちゃんとソリッドモデルに作りこむ必要があり、そこで時間をとられたくないので省略してしまいました。(^^;

アガッタのクロスは極小のチャームで、最初はこのサイズで希望されたのですが、ミルや飾りや石を配置するために全体のサイズを大きくする方向で妥協してもらいました。

~つづく~

ピンクの淡水パール・ネックレス

2008年07月01日 | ジュエリー作品&試作品

ねこに小判、豚に真珠いや、『ねねに真珠』です。(ねねさん、久しぶりのブログ登場ですね。)

いよいよデコルテ見せの季節となりました。
今年は、存在感のあるロングのネックレスやストール使いの女性が目立ちますよね。これらは”タテ”のラインを強調するので、スラっと背が高く見えますね。今日も電車の中で、洋服の色の一部とロングネックレスの石の色をコーディネートした素敵な人を見つけ、お洒落上級クラスだなあ・・・と感心しました。


スラっと見える?

ねねは、かなり我慢して撮影につきあってくれたんですが、実はすごい嫌がってまして、そのうち引っ張ったり、パールをガジガジとかじり始めたので、撮影中止です。



おふざけはこれくらいにしとかんと、動物虐待になってしまうね・・・。ネネ、ごめんなさいね。
  

というわけで、今日は、組みモノの話題です。

オールノット”という方法で淡水パールでロングネックレスを組んでみました。
初オールノット!! (でも、糸や針が不得手なROSEには、2m近くある糸の扱いに難渋して、途中でこんがらがってしまったり、変なところで結び目が出来たりして悪戦苦闘でした。)



オールノットとは、All Knot (全部、結び目)。「まんまやんけ」なのですが、玉と玉の間に結び目を作りながら糸を通していく方法です。万一、糸が切れてしまっても、切れた箇所の結び目で止まるので、玉がバラバラっと地面に散らばる悲惨な事態にはなりません。高級なパールや天然石の製品はこうした繋ぎ方が用いられます。また、結び目が玉と玉の間の”クッション”の役目をすることで石に傷がつくことも防げます。

今回使用した石は、上品なピンク色の淡水パールで、真球に近くてテリも良く、一人で悦に入っています。



ネックレスの端は、開閉ができるジョイントバチカン、もう片方の端のパールは、Tピンでめがね留めにしたものをつけています。

両端で接続して一番長くした状態が、ベーシックな着け方です。クラスプ金具ではないので、ジョイント部分を前に持って来て(上のねねの写真参照)先端のパールをペンダントトップぽく見せることもできます。ジョイント部を前にするなら、先端をパールの代わりに何かシルバーでモティーフ・チャームを作ってつけてもかわいいですよね。

ジョイントバチカンの位置はどこでも自由につけかえられますので、いろんなスタイルが楽しめます。背中の開いたトップスやワンピには、ネックレスをチョーカー風にして余った部分を後ろに垂らしたり、(もちろん髪はアップ!)Y字を前にもってきてロザリオ風にしてもOKです。

白のコットンシャツ、黒のサマーセーター、どちらにもピッタリ!

 

今回は60cmの長さなのでY字止まりですが、80cm以上あると二連使いもできますので、次は超ロングに挑戦したいと思います!

  

さて話変わりますが、いま私が一番欲しいもの、それは、”トルソー”です。

撮影時に、ペンダント、ネックレス系は接写すると全景を写せないので、平置きの状態だと雰囲気が良く分からないですよね。着用したイメージが想像しにくいというか。

・・かといって、自分がモデルになるちゅうのもはばかられる。実は自分で着用した写真もあるのですがあえて掲載しませんでした。実際、顔を写さない首から下だけのヒトの構図ってなんだかダサい。デパートの通販カタログみたいなイケてない写真になっちゃいます。なんででしょうね。(^^;;; 

静止画像の場合はかえってリアルでないほうがよいのかもしれません。
無機質的なトルソー(無地の白または黒や麻布張り)が、人々の想像力をかきたて、ほどよい”距離感”を作ってくれ、よりジュエリーの質感・雰囲気が伝わるような演出ができるように思います。 

でも、トルソー、撮影以外使わないわけだから、普段はかなり邪魔そうだし。超欲しいけど、買おうかどうしようか、かなり悩み中です。

  


ブルー・ジルコンのクロスペンダント

2008年06月29日 | ジュエリー作品&試作品

皆さん、『ジルコン』っていう石をご存知ですか?キュービック・ジルコニアとは違いますよ。インド・スリランカ・ミャンマーなど限定した地域でしか採れない天然石です。ブルーのジルコンは、加熱処理によるエンハンスメントです。ダイヤモンドさながらの強い反射と照りがあり、屈折率が高く、また光が分散するため、力強い光を放ちます。

初めて見たときは、その強い輝きに驚いて、”この石、なんじゃ!?”という感じのインパクトがありました。静止画像だとその様子がうまく伝わらなくて残念です。(私のリコーCaprio君は、強い光が苦手です。)天然石という意味では、こんな綺麗な石がなぜ安いのか首をかしげます。

ここに掲載したものは、”作品”ではなく、技法を試すための習作、練習、実験台、でして、衆人環視にさらすのはあまりにイタイしろものですが、このブログは、”奮闘記”と銘打っているだけあって、いろいろなゲテモノが登場するということでごカンベン下さい。



これは何をしでかしたかというと、洋彫りの留めの工程をワックスで再現してみようという実験企画でした。

2年前に私が見た洋彫りでの石留めのプロセスをざっとご説明しますと、地金はまっさらの状態から始まります。

1)下穴をドリルで開け、石座となる部分をラウンドバーで削って作ります。
  石座と石座の間があく場合はコーンカッターで石座間に溝をつけます。
2)オブジェクトのエッジから0.5mm残して溝を彫ります。(溝を切る、という言 い方をしておられました)
3)爪を起して留め、ナナコで丸めます。
4)石の周囲の地金を根気良く彫りながら取り除いていきます。”ほじりとる”というのかな?

プロセス的には和彫りとほぼ同じかと思いますが、道具が異なり、”グレーバー”という、丸い柄つきの彫刻刀に近い長いツールを握って、親指で押しながら刃を手前から向こう側に押し進める感じで彫ります。

しかも、恐ろしいことに彫刻台バイスやピッチボールなどの固定台は使わず、3cm径くらいの木の棒の先にヒートフォームで作品を接着し、左手に棒を持って、机のへりで支えながら右手で彫るという、なんとも不安定な姿勢を強いられます。

もちろん一度で地金を彫り取るのは無理なので、何度か同じところを彫る作業を繰り返します。気が遠くなるような作業です。

某スクールで洋彫りによるストーンセッティングの体験講座を受講してみたのですが、『とてもじゃないけど私には無理だ!!』と思いました。(その時、生徒15人くらいいたけど一人も出来てなかった。)イタリアから臨時でやって来たその先生は、毎日朝から晩までこればっかり練習して3~4年くらい修業してようやく商品をとめさせてもらえるようになる、とのたまっており、『本場の彫り留めやパヴェセッティングができるようになりたいというのは、10年前に言え!』という感じでした。新入りの生徒は、タガネ(グレーバー)に慣れるまで、約1ヶ月間、ただ銅版に彫り傷をつける作業を延々やるんだそうです。不器用な私なんか、どんだけかかるやら・・・。 m(= =;)m

そんなこんなで、見た目だけでも”彫り留め風”、”パヴェ風”であればいいから、とジュエリーCADのお世話になろうと考えて、ラヴァーグの門を叩いた次第です。いわゆるハイジュエリーは目指してないので、まあそこそこでいいかと・・・。(笑) 

でも、なんでも自分でやって確かめてみないと気がすまない物好きなROSEとしては、上記の、1)、2)、4)をワックスの段階で手でやったのがコレです。
でも、ジュエリーCADにおける、”なんちゃってパヴェ”(爪留めの応用編)でも結局、手順は似たようなものかと・・・。

これは最後まで仕上げるつもりもなかったのですが、ジルコンがもったいなかった(はずすのが面倒くさかった)ので、バチカンまでつけていちおうペンダントにはしました。石の数と径に合わせて無理矢理クロスを作ったので、バランスを取ろうとしたら余白部分が多くなってしまい、結果として彫った部分が悪目立ちしております。やはり、ホンモノの彫りのようなキラキラ感がありませんよね。”あはは、やっぱりなー”って感じです。

それでも、ジルコンが放つ光がキラキラと強いため、遠目だとアラは隠せて誤魔化せてます。(^^;



恒例・着せ替えシリーズ。
われながらほんとに駄作でゴメンナサイ。(恥)


工具屋さんに学べ!

2008年06月28日 | ジュエリー作品&試作品
今日のお題は、「情報」についてとりとめもなく・・・・。

宝飾業界で若い頃から修練を積んでいない、あるいは現在宝飾業界に身をおいてない、まさに私のような人々にとっては、この業界は趣味から一歩先に踏み込もうとすると、非常に厳しい世界に感じられます。というか、かなり閉鎖的・排他的な雰囲気すらあります。

なぜ閉鎖的かというと、情報が流通していないからなのです。たとえば、宝飾業界とは真逆の、急速に成長し続けるIT業界では情報公開が基本です。誰かが開発したソフトウエアやそのソースコードが無料で公開され誰でもそれが使えたり、ネットでの技術情報の交換も盛んです。情報を共有することでみんなで切磋琢磨して技術が高まっていき、IT業界全体が成長しているといえます。

若い人たちはどんどん新しい技術をそうした情報から吸収して、ひとりでプロになっていきます。困ったときはネット上の仲間が助けてくれます。そういう環境が整っているので、この世界では熟練した先輩職人が口移しで教えるような文化はありません。なので、まったく違う業界からSEやプログラマーやWebデザイナーに転身する人や、起業してSOHOで稼いでいる人も非常に多いし、異業種の企業がどんどんIT業界に参入することもできるのです。ヒルズ族とか、IT長者と呼ばれる若者が次々出現しているのも、IT業界ならではの特徴です。
AppleやMicrosoft、Googleといった今をときめく会社も最初は数人で始めた会社ですものね。

一方、遠目で垣間見る宝飾業界とは、みんなが稼ごうと必死にもがいているのに、誰もがあまり儲かっていない、なんとなく冴えない感じにみえます。(間違ってますでしょうか?あくまで印象なのですが・・・)御徒町の”ジュエリータウン”を歩いてみても、他の問屋街と違ってなんか敷居が高いというか、一種独特の排他感からか活気がないというか陰気臭い感じがあります。成熟した、を超えて、枯れちゃった?という雰囲気さえあります。

この2つの対照的な業界の決定的な違いは、業界全体が情報に対して、”オープン”か、”クローズド”か、にあると私は思います。



幸い、現在わたしがお世話になっている学校の先生はとてもオープンマインドで、親身になってさまざまな情報を開示してくださいますが、学校によってはそうではないという話を良く聞きます。たとえば、ある学校では、先生が個人で普段使っているキャスト屋さんを聞いたのに教えてくれなかったそうです。学校の出入り業者とのしがらみがあるんでしょうね。

学校ですらこうした体質では、生徒さんは卒業しても路頭に迷ってしまうのではないでしょうか?

  

しかし、何でも相談できる先生がいる恵まれた環境にある私ですら、学校を離れたらまた元通り”ひとりぼっち”になってしまいます。
ひとりで独学していた頃を思い出すと、うら寂しくなります。
そういえば、独学していた時は、制作過程で疑問に思ったことを工具屋さんに行ったついでに店員さんにいろいろと質問していました。

工具屋さんには、ジュエリー制作に関するいろいろな情報の宝庫です。メーカーや卸売り店や、エンドユーザであるプロの職人さんや、同業者の横のつながりで、宝飾技術に関するいろんな情報が集まってくるのです。それに自分のお店のものを売りたいですから、一生懸命親切に教えてくれます。業界の横のつながりが強いので、自分のところで取り扱っていないものやサービスは、他の店を紹介してくれたりもしてくれます。

彼らにとって出して不利になるような情報はないといってもいいでしょう。店のスタッフの方々は、自分では造りはやらなくても、職人さんからいろいろ情報を得て耳年増になっていることが多く、いろいろな”ソリューション”を提示してくれます。

私は工具屋さんで見たこともないいろんな工具を眺めるのが大好きで、つい長居をするのですが、向こうもこちらの存在が気になるのか、”わからないことがあったらなんでも聞いてくださいね”のひとことに、これ幸いと怒涛のごとく、「コレは何?」「コレは何するもの?」と聞きまくります。”へぇ、こんな便利な工具もあるんだ”、と今まで知らなかった工具のバリエーションを増やしていくことができます。

ジュエリーの制作過程で困ったことの多くは工具で解決できることが多く、とりあえず困ったら相談してみることです。ダメモトですから。店員さんもわからないともっと分かる人に取り次いでくれたりします。これはネットショップでも同様ですね。返事が遅いと思ったら、知り合いの職人さんに聞きまわってくれていた、ということがありました。
そんなわけで、工具屋さんは、わたしにとっては、唯一の開かれた場所であり、”第二の師匠”といってもいいかもしれません。
御徒町の中でも、一見さんにも優しいのは工具屋さんくらいですしね。(^^;;;

  

それにしても、私が社会人を対象にしたスクールに今後期待したいこととしては、”サロン”の機能を持っていただきたいのです。ジュエリーCADは日々進歩しているので、カリキュラムが終わったら、はいサヨナラ、ではなく、最新のアップデート情報を得られるような、そんなサポートの場を提供していただきたいと願っています。

たとえば、ソフトのバージョンが上がったら、新機能を使ったデモ説明会だとかチュートリアルなどのスポット講座をぜひ開催してほしいです。遠方からはるばる通っていた生徒さんのために、メルマガ会員サービスで情報提供というアイデアもいいかもしれません。もちろん、タダとはいいません。”情報=金なり”、ですから。

「うちの生徒である間は教えるけど、卒業したら知らない」、では、せっかく学んだ人たちも、”ついていけない”といずれ離れていってしまい、結局ジュエリーCADは業界に根付かなくなってしまうと思います。ネット時代の今の若い人は移り気だし、情報が共有できないクローズドな世界を嫌いますから・・・。

一般的にソフトウエアテクノロジーの世界では、新しい技術が根付くためには、最初に学んだ”勇敢な”人たちがさらに継続的に最新の技術レベルを保ちながらガンガン使いたおせる環境が必要であり、学校やメーカーがこれらの”先陣部隊”を懇ろにサポートすればよく、あとはこの先陣部隊の人たちが”伝道師(エバンジェリスト)”としてこれから学ぶ後発の人たちにどんどんネットで情報を送って援助し、底上げしてくれるので、早く裾野が広がって定着していきます。オープンな世界では、最初はマイナーな技術も、こうして大きく成長していきます。

そんなわけで、ジュエリーCADは立派な”IT”ですから、開発メーカーもスクールも、むしろ”俺達はIT業界なんだ!”的な気持ちをもっていただいて、「オープン・マインド」で、最新情報とサポートを惜しみなく提供していっていただきたいものです。
わたしたちも、後から学ぶ人たちのお役に立てるよう頑張りますので、どうかよろしくお願いします。

ただし、”よしよし流行ってきたぞ。自分達だけが儲かるようにしよう”などと情報を囲い込んでいると、やっぱりいつか廃れる時が来ると思います。そうならないことを祈ります。

以上、またしてもROSEの意見でした。えらそうにすいません。

マリンブルーなティアドロップ・ペンダント

2008年06月22日 | ジュエリー作品&試作品

久々の”石モノ”です。今回は、お知り合いの方からのフルオーダーです。

カジュアルなシルバーのペンダントをご所望とのことでしたが、とくにきまったデザインというのはないとのことで、いろいろお話をうかがいながらお好みのデザインを絞り込んでいきました。

石がはいっているものがほしいとのことで、私のストーン・コレクションも見ていただき、非常にお気に召していただけたのが、ティアドロップ型の『シーブルー・カルセドニー』でした。



シーブルー Sea Blue、の名のとおり、南国リゾートの海を思わせるような、爽やかでエギゾチックな色味の石です。これは、ドイツのある宝石加工企業が、天然カルセドニーを特殊な技術でカラートリートメントしたもので、市場にはあまり出回っていないので、展示会などで出会うたびに少しずつ集めている、ROSE的には注目の石なのです。オーダー主さまと趣味が合ってとても嬉しい反面、コレクションから消えていく寂しさも感じたほどです。

このティアドロップ型の石を前提として描いたいくつかのデザインの中から選んでいただき、ご希望を反映した微調整をしたうえで制作したのが今回の作品です。

 

普段からカジュアルでスポーティなスタイルでお勤めとのことで、お会いしたときに、お召しになっておられたパリっとした白いコットンのブラウスに合うイメージでおつくりしました。

ご本人のご希望で、チェーンではなくナチュラルな革紐で、長さはロングで仕立ててほしい、とのことでした。無染色の2mmの革紐を使っています。バチカンなどのぶらさげ金具はあえて作りませんでしたが、細いチェーンなら輪の前後に通してご利用になれます。

右側の写真に映ってますが、革紐のジョイント部分に小さなハートのプレートチャームをアクセントにつけました。革紐は、ジョイント部分を左右にスライドすると長さを簡単に調節できるような仕様になっています。

沖縄の海岸で拾ったサンゴやら貝やらと一緒に記念撮影♪
 

サイドは、2mmのキュービックジルコニアを留めてあります。最初、ブルートパーズのメレをご提案しましたが、”無色透明がいい!”とのことで、CZに落ち着きました。

こうして写真でみると、シーブルー・カルセドニーはトルコ石に似ていますが、実際は半透明でして、光線の加減で、”シラー”のような幻想的な不思議な色相がフワっとあらわれます。



なんか、ずっと眺めていると吸い込まれていきそうです。私は南国といえば、沖縄とグアムしか行ったことがありませんが、この色のイメージとしては、”カリブ海”とか、”エーゲ海”がお似合いのような・・・。

最長寸3.5cmとかなりボリュームがあるので、しっかり裏抜きして軽くし、肌馴染みをよくするために裏張りをしてあります。



ご要望はナチュラルテイストの革紐とのことでしたが、つやのあるオフホワイトの細い平革紐と、ブルーのスェードのリボンをサービスでおつけしました。紐を二重にしてチョーカー丈も楽しんでいただけますので、カジュアルだけでなくいろんなTPOでお使いいただけるかと思います。




今日、直接お引渡しさせていただきましたが、オーダ主さまは、この日のために夏物のコットンのシャツを着てきてくださいまして、まさにペンダントとぴったりの組み合わせでした。とっても気に入っていただけたときの内面からホコホコと湧き上がる満面の笑顔を拝見する瞬間ほど嬉しいことはありません。今回の作品は、”お客様とのコラボ”デザインといっても過言ではなく、お礼をいっていただくのが恐縮で、私こそが感謝の気持ちでいっぱいです。

さてさて、ハンドクラフトの次のお題は、ジュエリーCADを使った作品とすることにしましょう。


漆黒の夜に咲く桜  (ジュエリーCADと樹脂のコラボ作品)

2008年05月28日 | ジュエリー作品&試作品

前の投稿でもちらっとご紹介しましたが、エポキシ樹脂の実験用に、ジュエリーCADで作ったリングが完成しました。

いろいろな着色素材を皆様からご紹介いただきましたが、まずは先に購入したエポキシ樹脂(商品名:Genus)でやってみました。いろんな色がありましたが、あえてブラックをセレクト。『桜ならピンクだろーが?』、と思いますでしょ?でも、桜模様は地金側。なので、模様を引きたたせるためににバックカラーは黒にしました。

途中経過はこんな感じ。左から、CADデザイン→ワックス原型→鋳造後 です。
  
なにぶん、”仕上げ”の実験ゆえ、前工程はあまり時間をかけたくないので単純なデザインにした次第です。

初めての樹脂加工は、かなり”修羅場”だったので、制作の様子を撮影する余裕がありませんでした。(^^;; 



今回使った樹脂は固まるまで常温・自然放置で5~6時間かかります。(気温が高いほど早く固まるそうです)テクスチャはかなりユルユル(ほとんど水状)。一度の塗布では凹面は埋まりません。ゆるいからこそ、細かい部分まで樹脂がムラなく入ってくれるのですけどね。
横着して一度に多めに塗ろうとすると、硬化する前にダラダラ下にたれてきてしまいます。



ここで、ちょっとした”事件がありました。夜塗って机に横において置いたのですが、朝見てみたら、たれた樹脂でリングが机に貼りついてとれなくなりました。全身の体重をかけてウンウン引っ張っても取れないのです。ケガキの先をリングの際の部分に突き刺し、テコの要領で押し上げて強引にひっぺ剥がしましたが、木製机の板材がゴソっとはがれてしまいました。はがれた木片はリング側にくっついてます・・・。(^^; 

そう、エポキシ樹脂は、もともと大変強力な接着剤なのです。何かにくっついたまま硬化したら最後、マジで取れません。木の机だったので幸いでしたが、スチール机の上だったらえらいことになっていたかもです。2度目の塗りからは、かまぼこ板の上で硬化させることで”被害”を最小化できました。



硬化後の樹脂表面は何もしなくてもツヤツヤですので、凹部分の底面が着色できればそのまま完成でもよいのですが、今回は地金と面一にした象嵌風にしたいので、地金が見えなくなるまで樹脂を盛ってからヤスリで削りました。

耐水ペーパーで丁寧に磨いて、最後に樹脂用の液体研磨剤で仕上げると、見事な漆黒の艶が出ました。まるで漆塗りのようです。突然、ピカーッと樹脂に艶が出てきたときにゃぁ、そりゃあ嬉しかったですね~。(^^)
ちなみに、サンドペーパーと液体研磨剤だけで地金部分も十分ピカピカになってしまったので、バフはかけてないんです。

自分の手にはめて記念写真です。 (醜い手でスミマセン。)
メンズリングにしてもいい感じかもです♪ 



いやはや、ホビー用とはいえ、思ったより扱いづらくて大変でした。コツさえ掴めば次回からはもっと要領よくできるかと思います。いずれにしてもわかったことは、象嵌風にするのは大変手間がかかるので、量産には向きません・・・。まさに、漆塗りとか蒔絵とか、その世界に近いものがあります。

Cool Stylishなペアリング 【ジュエリーCAD vs ハンドクラフト】 Vol.2

2008年05月19日 | ジュエリー作品&試作品

Cool Stylishなペアリングの話Vol.2です。(Vol.1はこちら

ジュエリーCADなら簡単に出来るかもしれないけど、あえてハンドクラフトで作ったリングです。

裏はしっかり抜いたのですがやはり、デザイン的に重量が出てしまいまして、メンズ・レディース用ともにずっしりしています。



角ばっていてエッジだらけのデザインですので、そのままでは自分にも人にも危害を加えそうですし、洋服にもひっかかりそうです。鋳造してから、すべてのエッジや角を自分の指先で触りながら、ひっかかりやざらつきがなくなるまで何度も調整しました。幅広のリングですので、とくにリング内径の部分は内甲丸にして、スルっと気持ちよく指どおり滑らかになるようにしています。
 
指定どおりの形や寸法でジュエリーCADで簡単に作れたとしても、快適な着用性を実現するために、最終的には人の手による介在が必要でしょう。

余談ですが、ある年配の職人さんの工房を見学する機会がありました。デスクの隅に女性物のニットとかレースのついた服とかパンティストッキングとかが丸めて置いてあって、撮影に使うのかな?と不思議に思って聞いたところ、

『仕上げが終わったら、自分の顔の上で上下左右に擦ってみて痛くなかったら、次にニットとかレースとかパンティストッキングとかにブツを擦ったり揉んでみて、どう乱暴に扱っても全くひっかかりがなかったらオレ的にはOKなんだよ。』

と教えてくださいました。なんと細やかな心配りなんでしょうと言うと、その職人さん、『うちのカカアに指輪作ってやったらさ、セーターにひっかかるってゴチャゴチャうるせえもんだからよう。』と照れてましたが、今も私はその”師匠”の教えを守っています。

たしかにジュエリーが服に引っかかたり、髪の毛にからまったり、ってありますよね。女性を”かっこわるい目にあわせない”ためにも、大切な気配りだと思います。



メンズリングだけなら徹底的にカッチリ作ってハードに決めてもよかったのですが、依頼主の女性がとても可愛くて、おしゃれでチャーミングなのです。華奢な彼女の普段のファッションはアクセサリーも含めて、フェミニン。このリングの印象のような”ハードでボーイッシュ”な感じではないので、正直このデザインがあのか細い指に合うのだろうかと思いましたが、彼女は彼氏がデザインしたリングを全面的に受け入れる姿勢だったので何も言いませんでした。

本音を言うと、彼女のリングは幅をもっと細くして、上面のクロスの部分にメレ石をいれるとかしたかったなぁ・・・。

   

お二人さん、はい、チーズ!




なんで、今ごろ”桜”なんだって?
実をいうと、先月にはとりあえず鋳造まで出来てましたので、仮磨きして慌てて写真をとっておいたのです。お二人に渡すための記念の写真として、2008年の今年に咲く桜と同じ時期に生まれたリングをどうしても一緒に撮りたくて・・・。

この桜、たまたま近所の公園で遅咲きのものを見つけて失敬したのですが、花の色が普通のソメイヨシノよりも濃いピンクでラブリーですよね

制作期間は短かったのですが、なかなかお互い忙しくてスケジュールが会わず、そのままになっておりました。ようやく今週お約束が取れたので磨き直しをして完成しました。

お二人がいつまでも仲良くラブラブでありますように!

Cool Stylishなペアリング 【ジュエリーCAD vs ハンドクラフト】 Vol.1

2008年05月18日 | ジュエリー作品&試作品
ペアリングの制作の依頼をいただいておりましたが、ご本人様からご許可をいただけたので、掲載させていただきます。

カップルの男性の方がご希望のデザインをAdobe Illustratorで、寸法入りの見事に精巧な”見取り図”を作ってきてくださいました。(この方はジュエリー業界とは無関係のお仕事です。)このデザインに行き着くまでに、いろいろとお二人で話し合われいくつも案を出されたようです。

こうしたカッチリしたシンメトリックなデザインは、まさにジュエリーCADのお得意分野でしょう!練習のつもりで作ってみたものです。デザインは多少ROSEの好みのバランスに調整しています。(ブログのネタにしたかっただけで、これをクライアントに提示するわけではありません。)



何か工業製品みたいですね。(^^;






(※これはラフモデリングです。実際に光造形する場合は
裏抜き、リング内径のエッジのフィレットなど、あといくつかの作業必要でしょう。)

当然CADで造形だ!・・・と思ったのですが、しばしROSEは考えました。

実際のところ、ジュエリー制作のことを全く知らない人が相手の場合、『ご指定どおりに造りましたよ。文句ないでしょう!』というわけにはいかないことが多いことを思い出しました。

以前、絵の上手い女性から頼まれたデザイン画(上と横から見たところのみ)にしたがって、その通りに正確にWAXで作ったのですが、ワックスだとイメージが湧かないのか、『なんか、違う・・・。』といわれ、こちらからすると”それ、原画と違うやん”というような大幅な修正依頼が出てしまったことがあります。立体の絵が描けない人は、頭の中で3Dに肉付きされた様子をイメージすることが難しいようです。

もっとも泣けるのが、WAX原型の段階で試着もしてもらってOKだったのに地金になってから、『もっと細い方が良かったなー・・・。』といわれ、ゴリゴリ削ったことも。重さが出るとまた感じが違ってくるのですよね。

私自身もジュエリーCADを学びながら何度か経験していますが、描画上でのサイズ(大きさ・太さ・厚み)の感覚と、実物とでは”何か”が違うんですよね。寸法通りなはずなのに造形してみたら、自分の思ったイメージと違う・・・、ということはよくあります。

CADはもちろん微調整が得意ですが、あくまで画面上でのことであり、コスト的な問題で、試行錯誤のために何度も造形するわけにいきません。一発でOKが出ない場合、ボツになった造形代は???(クライアントが、『かかった費用はいくらでも出す』、とおっしゃる人なら話は違いますが・・・。)

最終的に判断して、初めて注文を受ける人ということもあって、一発勝負が怖い私としては、もちろんCADの正確さには程遠いですが、結局ハンドクラフトにすることにしました。(チキン~♪)

  
(つづく)


モエキャラ新登場! 手作りワックスとジュエリーCADで再現してみました

2008年05月16日 | ジュエリー作品&試作品
今、『ねこび~ん』というキャラクターがIT業界で話題を呼んでいるそうです。(ニュースソース:”ネコジルシ”3月14日号


(”ねこび~ん”は、カネウチカズコさんの作品です)

『コンピュータのソフトウエアを開発するためのソフト』(なんかややこしいですね)に、”NetBeans(ねっとびーん)”というフリーのソフトウエアがあり、その製品のロゴマークはブルーのキューブなのだそうです。(こんな感じ)世の中には面白い人がいるもので、カネウチカズコさんというイラストレータさんがこのロゴを元に新しいキャラクター”ねこび~ん”を誕生させたのだそうです。NetBeansの日本語サイトで堂々と公認マスコットとなり、”ねこび~ん”の紹介ページまでもが出来ました。(百面相がすごいカワイイのでのぞいてみてください)

ねこフェチの私としましては、この”ねこび~ん”ちゃんにホェ~、モェ~と一目惚れ。つい出来心でその辺のワックス片でちょちょっとチャームをつくっちゃいました。





キューブの部分は8mm角です。(冒頭の写真のとおり、指先に乗るサイズ)耳・手足・しっぽは、別にパーツを削りだして後から本体にくっつけました。不器用なワタシにはハンドメイドではこの大きさが限界でした。(^^;





ついでに、ジュエリーCADでも作っちゃいましたー。 といっても、ジュエリーのプラグイン機能は使う場所がなく、ライノセラスの機能だけで作ってますが、ライノ4.0の新機能の勉強にもなりました。



イラストからは、ねこみみは膨らんでいるのかへっこんでいるのかよくわからないので、手作りのほうは、普通のネコっぽく前面をゆるい凹面にし、CADでは逆に凸面にしてみました。

市販のオモチャとか、携帯マスコットも、こんなふうにしてペーパーデザイナーさんの絵をモデラーさんがCADで作っているのかなー??私もしばし、モデラー気分。

ちなみにブールはちゃんと成功しました!(^^)V エラーのない完全なソリッドです。



 
 

ついでに、オリジナルねこび~んらしい、ライトブルーで。





こういうのはジュエリーとは言わんでしょうが、なんとなく煮詰まっている時って、突如こうしたバカバカしい遊びもやってみたくなるものです。遊びの中からも多くの発見がありましたしね。