ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ジュエリーCADでオリジナルクロスを作る ~その1~

2008年08月07日 | ジュエリー作品&試作品
再びジュエリーCADのお話です。

ライノセラスは、単独ではジュエリー用のレンダリング機能はありません。本格的なレンダリングをするには同じMcNeel社の”Flamingo”というソフトが必要となります。代替手段としてジュエリー用プラグインで用意された金属テクスチャーをオブジェクトにマッピングするコマンドを使って、出来上がりの雰囲気を見ることができます。
(シルバーはそこそこですが、ゴールドがイケてないんです。黄色すぎて雰囲気が逆にわかりにくい。もっと落ち着いた色のテクスチャを提供してほしいな・・・。)

ジュエリーデザイナーが顧客にプレゼンや提案するときは、爪も留めた状態にし石も載せて、高性能のレンダリング機能を使って演出する必要がありますが、造形のためだけにジュエリーCADを利用するなら、このマッピングコマンドだけあれば十分だと思っています。

リアルにレンダリングした画像をネットで展示ということも一瞬考えましたが、レンダリングに骨を折る時間があったら、最後まで作っちゃって実物を展示したいよなあ・・・、と個人的には思ったりして、Flamingoの習得は、いつか時間に余裕ができたら(そんな時が来るのか?)と先延ばしにしています。

ところが、やっぱり自分にもレンダリング機能が欲しいなぁと思う場面がやってきてしまいました。

   

友人のために、クロスのペンダントを作ることになりました。しかし、いかんせん、相手は素人さんです。デザインの希望を聞いたのですが、最初は、「何でもいい。おまかせしまーす!」と言われて困ってしまいました。でも、人の好みは千差万別、その人の好みじゃないものを押し付けるわけにもいきません。

でも、だいたいの人のスタート地点は皆同じで、”おまかせします”からはじまるんです。たいていの人は、ハートだのクロスだの、好みのモチーフまでは決まっても、そこから先のデザインを自分で描くのは難しいことです。

私の場合は、”おまかせします”と言われても、最初から提案をしません。まず、すでに存在するもので気に入ったデザインを選んでもらいます。前のエントリーでも触れましたが、過去のデザインや既存の製品をベースに、それに本人の好みを付け加えていくというビルドアップをしていくことになります。住宅展示場でモデルハウスを見て気に入ったスタイルを選んで、細かいところを施主の好みに足し引きしていくのに似ています。

アプローチとしては、以前はジュエリー雑誌を何冊か見せて好きなジュエリーをいくつでも選んでもらい、その人の好みの傾向を掴みます。今はネット時代ですから、楽天とかYahooショッピングのジュエリーカテゴリーを見て好きなデザインを教えてもらいます。

  

その友人にも、「ネットで紹介されているクロスで、気に入ったのがあったら、それを教えて。」、という”宿題”を出させてもらいました。しばらくして、彼女がネットで見つけてきたお気に入りは、2パターンあり、1つが人気ブランド、”アガット”のもので、超シンプルなプレート状のクロスです。(ちなみにアガットのコンテンポラリーなジュエリースタイルは私も大好きです。)


Agete 2008 Autumn Collection より。
超ちっちゃい!これをペントップに??
引き輪部分につけるチャームならわかるけど・・・

もうひとつは、ミルっぽい装飾が施され、先端に飾りがついた可愛いデザインのクロスでした。AHKAHというブランドだそうです。
こちらも個性的で、個人的にそのショップのコンセプトにとても共感しました。

 

しかし、コピーはいけません。私も、クリエーターの端くれとしてプライドが許しませんから~。(笑)

それなら、2つのクロスのおいしいとこ取りをして、さらにオリジナルの味付けをしちゃいましょう!ということになり、彼女と共同でのデザイン作戦が始まりました。

今回は、最初からジュエリーCADソフトをお絵描きツールのかわりに使いました。まさに鉛筆の代わりです。左右対称に書いてくれますので手で書くより効率的です。あくまでこの段階では、”絵”でいいわけですから、作りこまずに大雑把に描画し、プロトタイピングと微調整をしていきます。

その第一弾のデザインがこれです。
ここからオリジナルクロスづくりのスタートです。



画像上ではエッジがきついですが、実際にはアガットのクロスのように、仕上げの段階で軽くアールをつける想定なので、最終的にはソフト感じになるかと・・・。しかし、そういう都合のよい想像はクライアントにはできないので、ほんとうはちゃんとエッジを丸めた状態にすべきなのですが、そのためにはちゃんとソリッドモデルに作りこむ必要があり、そこで時間をとられたくないので省略してしまいました。(^^;

アガッタのクロスは極小のチャームで、最初はこのサイズで希望されたのですが、ミルや飾りや石を配置するために全体のサイズを大きくする方向で妥協してもらいました。

~つづく~


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