出る出ない、公開か否かで開催までモメた衆院政治倫理審査会(政倫審)。呼ばれてもいない岸田首相が出席を申し出て、ようやくフルオープンでの開催が決まったが、この騒動の間、まったく機能していなかったのが茂木幹事長だ。
自民党内では、「党の危機に幹事長は何をしているのか」という不満の声が上がっている。
「国会の膠着状態を打開するために総理自らが乗り出すなんて、みっともない話です。自民党派閥の問題なのだから、本来なら、ナンバー2の茂木幹事長が党内の調整に動かなければいけない。政倫審に出たくないとゴネる議員がいたら、『しっかり説明しろ』と出席させるのが党務を預かる幹事長の仕事でしょう。当初予定されていた2月28日の政倫審が見送られて、総理が困っているのが分かりながら、何もしないなんて幹事長失格です」(自民党閣僚経験者)
連立を組む公明党も苦言
2月29日の政倫審でも、開催決定までやたら時間がかかり二転三転した自民党のガバナンス欠如を野党が問題視。フルオープンで出席し、説明責任を果たすよう党幹部から指示や働きかけはあったのかという質問に対し、二階派事務総長の武田元総務相は「働きかけ、連絡は一切なかった」と明かしていた。
連立を組む公明党の北側副代表も辛辣だ。29日の会見で、「総理がリーダーシップを発揮する前に、しかるべき人が党内をしっかりまとめてもらいたい」と苦言を呈した。「実際に汗をかいたのが見えるのは森山総務会長ではないか」とも言っていたから、汗をかかない茂木幹事長を念頭に置いた発言なのは明白だ。
岸田政権は、岸田派・茂木派・麻生派の主流3派で支えてきたため、岸田首相と茂木幹事長、麻生副総裁の「3頭体制」と呼ばれていた。しかし岸田は内心、「ポスト岸田」の意欲を隠さずスタンドプレーに走りがちな茂木幹事長を警戒していたとされる。
「もともと関係が微妙だったところへ、総理が唐突に派閥の解散を打ち出したことで完全に溝が深まった。茂木さんにとって、派閥会長であることが総理総裁を狙う命綱ですから、事前の相談もなく派閥解散を言い出した総理に不信感を募らせたのは当然です。2人の関係が冷え込んでいることも、党内のガバナンスが利かない原因かもしれません」(茂木派関係者)
茂木派は政策集団として存続することを決めたが、退会者が相次ぎ壊滅状態。存在感ゼロの茂木幹事長には、ポスト岸田どころか、早期の幹事長交代論まで出始めている。
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