ようやくピークアウトの兆しが見えてきたのか。東京都の新型コロナウイルス新規感染者数が、2日連続で前週の同じ曜日を下回った。24日は4220人で、前週(17日)に比べて157人の減少。一昨日も前週(16日)より515人少なかった。直近1週間平均の対前週比も102.4%と、一時より落ち着いている。
ワクチン接種を完了した人の割合が全人口の4割に達した直後だ。「1回目のワクチン接種が国民全体の約4割になると感染者数が減り始める」と繰り返してきた菅首相は久々にニヤついているかもしれないが、さりとて気を抜くには程遠い。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏はこう言う。
「都内の感染状況はピークアウトに向かっているとみています。外来の現場からは先週あたりから発熱を訴える患者が減ってきた、と聞いている。昨夏の感染拡大のピークは8月10日でした。今夏は感染力の強いデルタ株の影響で後ろ倒しになっていますが、8月末、あるいは9月頭にはピークに達するでしょう」
99.27%の国民が感染爆発下
一方、地方の感染状況は依然として深刻だ。24日の新規感染者数は8府県で過去最多を更新。直近1週間の人口10万人当たりの感染者数がステージ4の目安となる25人以上なのは44都道府県に広がり、国民の99.27%が感染爆発下におかれている。
「第5波が東京から地方へ伝播したと考えれば、ピークアウトへ向かうプロセスにもタイムラグが生じるでしょう。もっとも、新規感染者数の増減で一喜一憂するのは危険です。感染者が発生し続ける限り、一定数は中等症や重症になる。新型コロナは夏と冬に感染拡大期を迎えるため、冬場にはさらに大きな感染爆発が懸念されます。重症化を防ぐためのワクチン普及はもちろんですが、中等症以上を隔離する病床の確保が急務です。欧米はそうした医療資源が充実しているから、行動制限の緩和に舵を切れた。医療提供体制を拡充しなければ、日本はいつまでたっても自粛議論から逃れられません」(上昌広氏)
菅政権は25日、現在、13都府県が対象となっている緊急事態宣言の発令を北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島へ拡大することを決定。期限は従来通り、来月12日までとする見通しだが、今度こそ「最後」になるのかどうか。
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