野党第1党の立憲民主党は、この通常国会で成立した安全保障に関する重要法案や条約案に与党とともに軒並み賛成した。裏金問題で自民の支持率が低迷する中、政権交代の可能性を見据え、安定感の演出やほかの野党との連携を重視した。ただ、対決法案とならなかったことで、短い審議時間で成立し、十分な議論が尽くされたとは言えない。
◆政権交代しても「外交の混乱はない」
立民の泉健太代表は21日、衆院解散・総選挙に向けて国民に訴えたいことを記者団に問われ、「外交や防衛政策は継続性を大事にする。立民の政権をイメージしたときに外交が混乱することはないと思ってもらいたい」と強調した。
政府間機関「GIGO(ジャイゴ)」設立に関する条約承認案は、日英伊3カ国が共同開発する次期戦闘機の輸出を前提としたもので、紛争助長につながる恐れもあるが「戦闘機の共同開発は必要」として、賛成に回った。
「統合作戦司令部」の創設を柱にした防衛省設置法などの改正法も、自衛隊と米軍の指揮統制の枠組みがそろうことで、日本の指揮権の独立性が損なわれる懸念があるが、賛成した。
経済安保上の機密情報の管理を厳格化するため、政府による身辺調査対象を、民間人に大幅に広げる経済安保情報保護法は、人権侵害への懸念を表明したが、賛成に回った。
◆「チェック機能果たしているか疑問」
こうした動きについて、立民議員は「反対したら政権交代したときにどうするんだ、という問題が出る」と説明する。別の議員は、衆院選の小選挙区で勝つため「安保政策に何でも反対ではダメ。支持層のウイングを広げないと」と語る。
法政大の白鳥浩教授(現代政治分析)は「平和国家としての国のあり方に関わる問題なのに審議が短すぎる。法律の問題点をあぶり出すなど野党第1党としてのチェック機能を果たしているか疑問だ」と指摘した。(川田篤志)
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