広大な土地・建物購入
東京・多摩 “拠点化困る”市民ら「会」
近隣に高校・大学…勧誘心配も
東京都多摩市にある物流倉庫の土地と建物を統一協会(世界平和統一家庭連合)が購入していたことが、住民の間に不安を広げています。「反社会的活動の拠点にされては困る」「住環境に関わる大問題だ」―。市民団体が中心となり、29日に「市民の会」(名称は未定)を結成する予定です。関係者は「署名活動で統一協会の活動に反対する市民の声を可視化し、市に対応を求めたい」としています。(統一協会取材班)
現場は、同市南部の幹線道路に面した面積約6300平方メートルの土地。隣は私立大学キャンパスで、道路の向かいには都立高校。ランニング中の生徒・学生が行き交います。
敷地には事務所棟と倉庫棟が隣接して立ち、倉庫棟の外周にはトラックの荷台を直接着けられる搬出入口が30以上並びます。記者が訪れた4月10日時点で人けはなく、駐車スペースには落ち葉が風で吹きだまっていました。
解雇
ここは都内の食品卸会社の本社でしたが、統一協会に売却しました。登記簿によると売買契約は昨年4月。この会社の経営者は取材に対し、「売却先を探していた時、不動産業者から(統一協会を)紹介された。当時は安倍晋三元首相銃撃事件の前で、世間も当社も問題のある団体だと認識していなかった」と説明。「うちはどの宗教団体とも信仰上のかかわりは一切ない」と強調します。
この会社の従業員だった近くに住む女性によると、昨年6月、50人前後の女性パート従業員が一斉に解雇を言い渡されたといいます。
「食品メーカーから届いた製品を倉庫で保管し、スーパーやドラッグストアなどの小売業者に向けて発送する仕事だった。長く働いたのに突然解雇され、崩れ落ちる気持ちだった。その上、統一協会に売却していたなんて」
争点
統一協会への対応が、23日投票の多摩市議選で争点の一つにもなっています。日本共産党市議団は今年3月、統一協会の解散命令を早期に請求するよう国に求める意見書案を各会派代表者会議に提出しました。しかし自民・維新系会派と公明党が反対し、本会議に上程できなかった経緯があります。
東京都議会でも、日本共産党の大山とも子都議が3月にこの土地の問題を取り上げています。
「市民の会」結成に向けて、市民団体「戦争いらない多摩市民連合」が中心になって呼びかけています。代表の永井栄俊さんは「統一協会が所有する土地の中でも有数の規模なのではないか。生徒や学生が勧誘の対象となっては困る。市議会でも党派を問わず、協力を求めていく」と話しています。
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