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漫画家・村田順子の
美食と薔薇 華麗なものが
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アンという名の少女

2020年04月29日 | お気に入り

長丁場の仕事が終わりました~

この籠っていた2~3ヶ月の間、コロナは世界中を駆け巡り、外出自粛、テレワーク、緊急事態宣言が発令され、来る日も来る日もコロナウィルスの情報バラエティやニュースをシャワーのように浴びながら机に向かっていました。

飲み会や会食がすべてキャンセルになった夫が、週に2回ほど出社してもすぐに帰って来るので、外食もほぼなし。外に出るのは週に1回あるかないか。施設に入っている母の見舞いもできなくなったので、本当にずっ~~っと家にいて最初の頃はあまりの実感のなさに、このコロナ禍なるものは「世界規模で誰かが仕掛けているドッキリなんじゃないか??」と思ったほど。

有名人の死のニュースが出て来たあたりで、やっと現実であることを思い知りました。

飲食店をはじめ営業自粛に追い込まれているすべての皆様のご苦労を思うと、ただ途方にくれるばかりです。

 

原稿がUPすると、いつもならイベントや会食に飛び回るのですが、コンサートも舞台もすべて中止になり、とにかくステイホーム!人と会うな!!なので、これを機にずっと読みたかった本を読んだり、見たかったアニメや海外ドラマシリーズを心置きなく観まくることにしました!!

まずは『鬼滅の刃』をアニメで一気見しましたよ

以前見たアニメがすごく面白かったので(シーズン2がなかなか始まらないし~)『約束のネバーランド』のコミックスを、今出てる18巻まで大人買いしちゃいました。

そして、最もハマってしまったのがNetflixオリジナルドラマ『アンという名の少女』シーズン1~3。

そうです『赤毛のアン』です。

未だかつてこれほどまでイメージ通りのアンがいたでしょうか??

でこっぱちでソバカスだらけ、長身の痩せっポチ。わりとカッコのいい鼻と宝石のように青く大きな瞳。ちょこっとかぶった麦わら帽子も茶色のワンピースも、演出家は日本のアニメの『赤毛のアン』を参考にしたんじゃないか?と思うほど。

オープニングの映像は本当に美しくて、ラファエル前派のJ.W.ウォーターハウスの絵みたい。

白いエプロンと白いストッキングと茶色いブーツが激萌えです

このアンの物語は、アニメや映画では今まで描かなかった(原作にはない?)思春期の少女のエピソードを赤裸々に盛り込んでいます。孤児であることで、グリーンゲイブルズにもらわれた後も、学校や村で激しい差別を受けるし、いじめや過去の悲惨な体験がしばしばフラッシュバックし、過酷な現実のダークな部分をリアルに見せているのが新しい。

生まれ育ち、貧困、人種、ジェンダー問題まで(やり過ぎなほど)てんこ盛り。

惜しまれながらシーズン3で打ち切りになってしまったけど、たぶん先住民族の問題(インディアン寄宿学校問題)をカナダ政府としては扱って欲しくなかったんじゃないかな?? 絶対触れられたくない黒歴史だもんね。たとえシーズン4が作られたとしても、アンが一人で太刀打ちできる問題ではないし、どうにもならないことだから。

結局、いくつかの問題を回収しないまま駆け足で物語をたたんでしまったので、それまでずっと丁寧に描いてきたドラマだっただけにとてもとても残念。

大学に行くことを反対され、フィニッシングスクールに行くことが決まっていたダイアナが、なぜ突然大学に行くことを許されたのか??のあたりが呆れるほど雑で、描きたかったのはわかるけど→いっそ先住民族のエピソードをカットして再編集して欲しかった。最終話以外は1話1話の完成度がとても高い感動的なドラマです。

主演のアン役=エイミーベス・マクナルティも逸材だけど、マリラ役=ジェラルディン・ジェームズの凛とした気高さがとにかくステキ

どこかで見たことあると思ったら、劇場版『ダウントン・アビー』でジョージ5世の妻メアリー王妃を演じておられました。

実は私、アン・シャーリーという少女がず~っと好きじゃなかった。

原作は未読なので、高畑勲(敬称略)が演出したアニメ(1979年度-世界名作劇場『赤毛のアン』)のせいです。

アニメのアンは、赤毛やソバカスや「見てくれ」のことばかりをヒステリックに気にしてる「つまらない子(私見)」。懇願してやっとグリーンゲイブルズに置いてもらえるようになったというのに、隣のおばさんから「赤毛で器量が悪い」と言われただけで癇癪を起して大騒ぎする。そんなことくらい過去にいくらでも言われたでしょうに。たとえ申し分のない美人に生まれたとしても、コンプレックスに対して傷ついたことのない子供なんていないはず!

袖がふくらんでいなかったという理由で、せっかくマリラが作ってくれた新しいワンピースを感謝する前に絶望するし、マリラが大切にしていたブローチがなくなった時も、それを心配するよりも「ピクニックに行ってアイスクリームを食べること」の方が重要で、行かせてもらうためなら嘘もつく。

「にんじん」と言われ髪を引っ張られただけで、その瞬間石板で男の子(ギルバート)の頭を叩き割り、彼が何度謝っても絶対に許さない。せっかく学校に行けるチャンスを無にして(赤毛をバカにされただけなのに!)「もう一生学校には行かない!」と言い張る。

もう意味がわからない

ダイアナには会ってすぐに、一生の心の友になりましょうと誓いを立てさせ、常に夢見がち(意味不明の妄想をわめき散らす)で、自分の欲望に忠実で、そのために言いつけも守らず、やっていたことも途中で放り投げる。(特にアン役の声優・山田栄子の発狂演技がイライラする)

なんなの?この子。

メンヘラなの?ADHDなの? 原作もこんな子なの???

アニメ公開時、1話目で私は挫折しました

その後何度トライしても7話あたりで、アンの性格に耐えられなくなってしまうのですが、あのアニメはとにかく!とにかく!高評価なんですよね。

たしかに宮崎駿の場面設定・画面構成は40年経った今でもすさまじく素晴らしくて、背景や小物などの描写の細かさやこだわりは芸術だと思う。

みんなの感想を読んでみたら、多くの人がアンの性格に挫折しかかっていて笑いました(笑)。でも、それを乗り越えるとその成長を見守ることで、母のような目線になり最後は大感動で号泣必至…。少しずつまともになって行く過程を寂しく感じるマリラの心情こそがこの作品の真髄らしいのです。

「そうか、これは修行なんだ!!」

その境地にたどり着くまで耐えなければならないのだと、やっと決心をしてAmazonアニメで18話まで見ました。

今のところまだなかなか辛いですが、修行が(50話全部見)終わったらまた感想を書きますね。

今から10年ほど前、『赤毛のアン』誕生100周年、アニメ放映30周年を記念して、『こんにちはアン~Before Green Gables』(日本アニメーション-全39話)というアニメがBSフジでOAされました。

これはカナダの女性児童文学作家バッジ・ウィルソンが2008年に発表した、アンが孤児となりグリーンゲイブルズに引き取られて行くまでの11年間を描いた小説が原作。L.M.モンゴメリーが作り上げた世界を忠実に、きっとこうだったんじゃないか??と思える日々を、別の作家があらためて書いたスピンオフ作品です。

『アンという名の少女』ではじめてアンに萌えた私は、引き続きこのアニメ全39話を一気見しました。

アンがたびたび語る昔の話を実にうまくパズルのように構築したこの物語を見て、ケイティ・モーリスや山彦のヴィオレッタ、どうしてアンが自分の名前を「e~のつくAnne」にこだわったのか? なぜろくに学校にも行ってないのに、あんなに賢く語彙が豊富なのか?などなどの理由がわかってとても面白かった。

両親の死後、家で雇われていた家政婦(トーマス家)に引き取られたアンが、貧しい生活の中、小さい頃から働かされて辛い思いをしている描写はとても切ないんだけど、そんな中でもアンという特異な少女は、なんだかんだ言って周囲の人々から愛されていたんだ…ということに、胸が熱くなって心から泣けました。

ずっと私の中で、生き方の規範になる少女小説の最高峰は『小公女セーラ』と『少女パレアナ』だったけど、その2作品の要素が全部盛り込まれておつりが来た ああ~この年でこんな作品に出会えるなんて、な~んて素晴らしいの?!(アン・シャーリー風)

ときおり気の強さは炸裂するけど、とにかく幼いころの夢見るアンがけなげで可愛くてたまらんのです

最終話でプリンスエドワード島に向うアンの姿は、高畑勲版『赤毛のアン』と同じ格好をしていて、40年前のアニメにつながって行く~とういう演出も粋で素晴らしかった

さっそく小説も取り寄せました

今のところ本編のアンよりスピンオフのアンの方が何倍も好きですが、アニメを最後まで見終わった時、私の気持ちがどう変わっているか楽しみです

 


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3 コメント

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anneまみれ (murajun)
2020-04-30 15:39:39
くすおさん💛💛💛お久しぶりです~!!
そうそう、特にアニメは動きがあるので、パンの食べ方とかがなってないんですよね(>_<)。。
背景は素晴らしいんだけど。

TOKYO MXでタイムリーに『赤毛のアン』の再放送が始まったけど、もう毎週待ってられなくて、Amazonアニメの30日間無料期間で一気見しはじめました。


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(すいません) (もりいくすお)
2020-04-30 14:06:30
食事のシーンとか日ラ!<食事のシーンとかにチラ!
…の、誤記でした。
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アニメ (もりいくすお)
2020-04-30 14:04:42
センセは吸収が止まらなくって、ホント素敵!
アニメの「アン」は、最近観ていて「ああ…日本人が作ってる」感が食事のシーンとか日ラ!っと感じて、さめることがございました。
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