Reiko's Travel 記事と現在の英国事情

在英51年、2020年7月未亡人になって以来、現在英国事情と過去の旅行の思い出を記載。

キャンプ旅行 アグデスのカスバー

2012-01-16 09:30:01 | モロッコキャンピング 2012年

 



3泊もしたこのアグデズのキャンプサイトはその名もカスバー・デ・パルメライ(ナツメヤシ林のカスバー)という。
カスバーとはオアシスの中に高い城砦を持つ家屋で、砂漠の遊牧民が水のあるオアシスに落ち着き、強力な部族がこのような城砦を築いたもの。サハラ砂漠にはオアシスごとこのようなカスバーがある。
ここのキャンプサイトはカスバーの庭を開放して造られたもので、カスバー内をガイドツアーで見学できる。
ガイドはキャンプサイトに働いている若いドイツ人の女性で、4ヶ月間このサイトで働きながらアラビア語の研修をしていて、昔6年間英国にも住んでいたことから完璧な英語を話し、フランス語、ドイツ語、そしてアラビア語も話せる素敵な人だった。

 

 

このカスバーは本家が隣にあり数百年経っているが、私たちの訪れたカスバーは新しくてまだ180年しか経っていない。入り口からすぐに回廊を持つ広い中庭があり、ここは昔は22本のオレンジの木が茂って、夏の40度以上にもなる暑さを和らげていたが1980年代に10年も雨が降らなかったため枯れてしまったそうだ。

中庭の周囲は客室用宿泊施設になっていて、狭いながらも清潔な居心地よい設備になっている。昔はカスバーは一族250人にも上る人たちが共同生活していたところで、長老以下家族や奴隷まで住んでいたから大家族だった。今ではこのカスバー内は旅行者の宿泊に利用されている。

 

 

一階には窓がなく天井から明かりを取り入れていた。屋内の柱や天井の梁などは全部椰子の木を使っており、壁はすべて日干し煉瓦を使っているが、このカスバーは比較的新しいため、主要な柱にコンクリートを使い、外塀にはわらを混ぜ込んだ土壁を塗りこんでいる。

 

 



二階,三階には家族が集まるメインの部屋から周囲に小部屋が多く、新婚の夫婦だけには鍵つきの部屋が与えられた。四階くらいには一夫多妻であったから妻たちが憩えるきれいな部屋や窓から中庭が見下ろせ、昔は中庭での客を招いた宴会(男だけの)をそっと覗きみていたであろう。
ナツメヤシ(デイツとよぶ)を乾かしている小部屋があった。この国のデイツは国内で消費され、輸出されることはないという。デイツはこの国の主要炭水化物で日本人の米、イギリス人のジャガイモにあたる。

  

このきれいなタイルはポルトガル産だがアラブ模様を取り入れている。暑い国ではタイルを利用することで暑さを和らげるが、冬や夜の寒さも又格別で厚地のカーペットなども必需品だ。昨日一日青空だったが風が異常に冷たく、又アトラス山脈に雪が積もったかも知れない。テレビニュースでは隣国のアルジェリアで雪が降ったと伝えていた。昼と夜の気温差が激しく20度を越える。昨夜はマイナスまで下がった。



隣の巨大な建物もこのオーナーの従兄弟に当たるカスバーでここが本家、このカスバーは中を美術館、博物館のようにしているが、この地方で撮影された映画、アラビアのロレンスの舞台に一部使われたという。このカスバーのほうが巨大で奥はメインテナンスが行き届かず、前方だけが宿泊施設になっているらしい。



この本家のカスバーの隣の建築物は半壊しているがここは昔の村だったそうで狭い迷路が続いていて、今も住んでいる人が居るという。このような土の建築物はいったん雨が降ると簡単に崩れ落ちてしまうため、常時手入れが必要だが、それをする人が居ないという。

 

 

 

  

ガイドのイーナに拠ればこのカスバーは毎年3月ドイツからこのような建築物を保存する大学教授と学生たちがやってきて、ボランティアに保存技術を学び、修理修復しているという。日干し煉瓦が積み上げてあり、これはなんと脆そうなレンガだこと。

  

屋上からの眺めは素晴らしく、遠くの山すそに次のオアシスとカスバーが見える。

 

 

キャンプサイトのレセプション付近にはきれいな水を湛える小さなプールがあり、オアシスは水不足のイメージがあるのに、このオアシス周辺は地下水が通っていて、井戸水をポンプでくみ上げている。キャンパーの周りにパンくずを求めてやってくる鳥は雀に似ているが雀より小さく色が濃い。モロッコ一帯に見られる小鳥だ。

コメント
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