代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

兼業農家が日本を救う (ゼミの卒論発表会より)

2014年02月04日 | 教育
 大学は試験も終わり、3年生はすっかりリクルートスーツに身を固めて就活モード。4年生は卒論も書き終わって就職するまでのつかの間のバカンスモード。
 そんな中、昨日は私の担当するゼミの卒業論文発表会だった。今年の4年生は16人。朝10時から夕方6時までかけて一挙に16人の発表を終えた。

 本年度の当ゼミのMVP受賞論文を紹介したい。

 Yくんの卒論テーマは「兼業農家の可能性」。Yくんの実家は1.5haの水田と少しばかりの畑を持つ都市近郊の兼業農家。Yくんは3年生の頃は「日本農業の生きる道は規模拡大と経営の効率化である」という政府と財界とマスコミの宣伝を信じて疑わず、北海道の大規模専業農家の家庭に宿泊して農業実習を行った経験を持つ。

 Yくんが北海道で実感したのは、規模を拡大しても拡大しても、大変な労力が必要になる割に、必ずしも経営状態の好転にはつながらず、後継者不足に苦しみ、TPPなど導入されれば一発で淘汰されると不安にかられている大規模専業農家(主業農家)の姿だった。

 そして実家の小規模兼業農業(副業的農家)の方が経営も安定するし持続可能性も高いと考えるようになった。彼の家の水田はいま祖父が経営しているが、お父さんが退職後は経営を引き継ぐ予定であり、4月からサラリーマンの彼も自分が退職するころには農業やってもいいんじゃないかなあと考えている。この形態の方が経営も安定し、持続可能性も高いのではないか、と。

 Yくんの結論は伝統的な兼業農家はその経営を維持しつつ、新規就農希望者のために半農半X戦略を強化するというものであった。この戦略は、お年寄りのボケ防止にもなり、日本全体で介護費用、医療費支出を削減でき、既存の農村社会の文化と環境と景観も維持できるという副次的効果も大きいのである。

 昨日の彼のプレゼン資料を3枚貼り付けておく。彼が何を言わんとしているかわかるであろう。






 
 

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