代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

TPPを取るかダムを取るか? ―野田首相への提案

2011年10月11日 | 政治経済(日本)
  前の記事の続きを若干。10月10日、群馬県の大沢知事が野田首相と会って「八ッ場ダム早期着工」と「TPP参加は時期尚早」という二つの要請をした。ここで野田首相に提案。大沢知事に以下のように提案したら如何だろう? 「私も地方の声と財界の声とで板挟みになって、できるだけ皆さんの声を聞き届けたいのですが、全部というわけにはいきません。二つの要望のうち、より重要と思われる一つのみ選んで、一つは妥協してくれませんか。どちらか一つなら何とかします」と。

 こう打診されたら、大沢知事は、「八ッ場建設」と「TPP参加見送り」との二つの選択肢のうちどちらを選ぶだろう? これで「八ッ場」を選べばよほどの確信犯だ。およそ為政者として失格である。

 八ッ場建設費など予算の半分以上は東京のゼネコンに持ってかれて、群馬に落ちるのは半分以下だろう。その半分のなけなしの金だって一時のカンフル剤にすぎない。効果はすぐに切れる。それに対してTPP参加は、群馬経済を焼け野原に追い込んでいくだろう。もちろんより群馬のためになるのは、八ッ場建設ではなくTPP不参加だ。賢明な知事であれば、八ッ場建設はあきらめてTPP参加を見送ってもらうことを政府に要請することを選ぶだろう。

 野田総理も考えてほしい。八ッ場ダム中止はマニフェストにあり、TPP参加はマニフェストにない。どちらを選ぶべきだろうか。大沢知事に対し「八ッ場をあきらめて下さい。TPPは不参加にしますから」と説得するのが、国民との契約を果たすことにもつながるのだ。
 これは大沢知事にとっても野田総理にとっても双方が獲得するものが大きい、まさにwin-winな状況であるといえる。

 他の道府県でもダム検証が進められている。ダム建設を抱える他の知事にも聞いてみるべきだろう。「ダムを取るかTPP不参加を取るか」と。まともな見識のある知事だったら大概は「TPP不参加」を選ぶはずだ。ダムを中止に追い込めれば、復興予算は2000億円以上転がり込んでくる。復興増税の前に、まずは不要不急の予算を震災復興と原発事故の処理費用に転用するというのは、野田総理の考えと合致する。できるだけダムに頼らないという民主党のマニフェストにも合致するのだ。


 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。