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“鍋島焼と図案帳展”戸栗美術館(2014.1.21)

2014-01-21 19:35:47 | Weblog
 鍋島藩は江戸時代初頭、中国から輸入した陶磁器を江戸幕府に献上していた。しかし、17世紀後半、中国の内乱で陶磁器が入手困難となり、鍋島家はそれに代わる献上品として鍋島焼を創出する。それは伊万里焼の技術の粋を集めたもので、17世紀末、大川内山で本格製造が開始される(盛期鍋島)。

1 盛期以前の鍋島(17世紀後半):鍋島焼の創出期。
「色絵七宝菊文稜花皿」:初々しく、色が美しい。パイオニア的な溌剌さがある。

「色絵鳳凰文皿」:2羽の鳳凰。色遣いがみずみずしい。様式化以前の生気を感じさせる。


2 盛期鍋島(17世紀末~18世紀初):鍋島焼が幕府への献上品として完成する。
「色絵石榴竹垣文皿」:石榴が多産と子孫繁栄を象徴する。吉祥文であり、めでたい。

「色絵毘沙門亀甲文」:毘沙門天が身につける甲冑の亀甲文様に由来する。

「色絵三瓢文皿」:瓢箪は種が多く子孫繁栄を象徴。地は青海波文が埋めつくす。

「色絵壽字宝尽文八角皿」:7寸皿中第一の名作とされる。中央に「壽」字、その回りに宝珠8個、縁回りを宝尽(タカラズクシ)文で取り巻き、賑々しい。

「色絵紅葉流水文皿」:龍田川と称する和歌(古今集:在原業平朝臣作)に着想を得た文様。

「色絵蒲公英文皿」:可愛い。花弁の色は黄色でないが、一目でタンポポとわかる。


3 中期鍋島(18世紀前半):倹約と増税による財政再建を目指す享保の改革(将軍吉宗1716-45)以後、色絵は禁止、染付のみとなる。
「染付鉄線花文皿」:とてもいい。鉄線は上品でキリリとした花である。


4 後期鍋島:将軍家治が1777年「12通りのお好みの品」(梅、牡丹、萩、葡萄、金魚など)を注文して以降のもの。


 伊万里焼は、1 初期伊万里(17世紀前期)、2 古九谷様式(17世紀中期)、3 柿右衛門様式(17世紀後半)、4 金襴手(17世紀末)と変化する。

「色絵弓破魔皿」:金襴手の伊万里焼で特に富裕層向けの最高級品。破魔弓矢・結び熨斗がデザインされ、おめでたい。男児の初正月に贈る。

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