写真は中古マンションの内覧会で撮りました。この部屋の購入を考えた人は、現在の住まいから近かったこと、1階で小さな庭があったこと、値段も手ごろであったことです。条件は自分の考えに合ったのですが、専門家から見てどうだろう?ということで、私に検査を依頼してきました。
私が中古マンションを検査する場合は、特に、構造的な状態を確認します。内装や設備はリフォームをすれば、専有部に関しては、ほとんどが更新出来ます。でも、マンションの場合、構造的な欠陥は、ほとんどが共用部で鉄筋コンクリ―になりますので、補修するのが不可能に近いと言えましょう。
このマンションの構造体も鉄筋コンクリートで作られています。写真の部屋は、洋室ですが、天井の斜め方向にクロスが破れています。クロスが破れている原因は、クロスの内側の床スラブ(床を支えている鉄筋コンクリート)にひび割れが生じているからです。この天井はクロスの直貼りです。つまり、二重天井ではなく、鉄筋コンクリートの床スラブの底面に直接クロスを貼っています。床スラブはこの上の階に住む人、そして生活に必要な品々の重さを支える構造体です。そこにこのようなひび割れが入っては、構造体としての性能は相当に落ちてしまいます。私は、この部屋を購入すべきではない、と伝えました。(36)
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