写真は、都内のマンションの屋上に設置されている給排気ファンを撮ったものです。このマンションは、15階建てで、内廊下タイプとなっており、このファンで廊下等共用部分の給排気を行っています。この給排気ファンが設置されている直下の部屋を購入された方の内覧会を1年ほど前に同行させて頂きました。
この方から、最近、このファンの騒音が気になる、という相談がありましたので、お部屋にお伺いしました。部屋に入ってみると、グングンとファンが回転している音が伝わってきます。夜中になれば、気になる騒音と思いました。これでは問題だ、ということで、売主に対し、対策を取るように書面を提出しました。具体的には、機器の下に防振ゴムを設置する、そしてファンの稼働時間を少なくさせる、こういう内容でした。
この方も上から騒音が来ないからという理由で最上階を購入しましたが、こういうことが起きるとは考えてもみませんでした。マンションで、最上階を購入される方は、自分の住む部屋の上に何があるのかも確認された方が良いと思います。
マンションを購入する際は、部屋から見える眺望も大事です。眺望を売りにしている高層マンションも数多くあります。でも、新築のお部屋を契約する時は、建物はまだ出来ていないことが多いので、実際にどういう眺望かは確認できません。周りを見て、こんな感じかな?と想像して部屋を決めなくてはなりません。そんなことから、売主は、CGで窓から見える眺望も紹介しています。例えば、30階の部屋からは、港、橋、街並み、こんなに素敵ですと。
でも、ここで注意をしなくてはならないのは、CGは主に昼間でしょうし、売主が作るわけですから、都合の悪いものは省くかもしれません。ですので、やはり、現地に行って、昼間の眺望だけでなく、夜の景色もチェックしておくことが大事となります。夜の景色でチェックすることは、特にネオンです。
写真のお二人は、窓の向こうに見えるネオンの看板を気にしています。契約時には、このネオンに付いて、売主に確認をしてました。その時には、売主は、CGを使って、問題ないでしょう、と説明をしていました。でも、実際に内覧会で部屋に入ってみると、リビングの真正面の位置に来てしまっています。結局、お二人は、考えた末、この部屋をキャンセルすることになりました。(63)
マンションを購入する際のパンフレットに、この建物は100年の耐久性があります、なんて書いてあります。この耐久年数は、一体、何を根拠にして言っているのでしょうか?日本建築学会では、コンクリートの耐久設計強度というのを定めています。この建物は、1)100年以上か、2)65年以上か、3)30年以上か、この3種類です。そして、それぞれについて以下の条件となっています。
1)の100年以上の場合は、コンクリートの強度は30N/mm2以上を使って下さい。
2)の65年以上の場合は、コンクリートの強度は24N/mm2以上を使って下さい。
3)の30年以上の場合は、18N/mm2以上を使って下さい。
これだけのことです。コンクリートの強度だけで、建物の耐久性を決めてしまうというのも、単純過ぎますが、他にこれだという指標もないものですから、仕方ないでしょう。それでは、1)のコンクリートを使えば何を根拠に100年の耐久性があると言えるのでしょうか。
鉄筋コンクリート構造物の骨組みは、文字通り、鉄筋とコンクリートです。コンクリートの中には多くの鉄筋が入っています。鉄筋が腐食したら、建物は寿命を迎えます。ですので、鉄筋が腐食を始めるまでの期間を耐久性と呼ぶこともできます。
写真は、コンクリートの表面に穴を開けて、鉄筋を出してみたところです。左側に黒く見えるのが鉄筋です。鉄筋は、大体、コンクリートの表面から4~5㎝程のところに入っています。若いコンクリートはアルカリ性で鉄筋を腐食させることはありません。でも、空気中の炭酸ガスにより、少しずつ、中性化されていきます。コンクリートの表面から中性化されて行って、4~5㎝程のところにある鉄筋まで届く期間を耐久性と呼んでます。コンクリートの強度が強いものほど、コンクリートの密度が高いので、中性化に時間がかかるということです。(68)
写真は都内のタワーマンションの内覧会で撮りました。写したところは、ベランダにあるエアコンの室外機の下部分です。このマンションはリビングだけエアコンが標準装備されています。
ご覧になって頂きたいのは、「防振ゴム2枚重ね」と書いてある矢印部分です。室外機の架台の下に、厚さ10㎜の防振ゴムが2枚重ねになっています。一般的には設置されていないので、これには感心しました。エアコンの室外機は、中で羽根が回転していますので、振動が出ます。この振動は、ベランダの床から家の中へと伝搬して行きます。
ベランダの床スラブと部屋の中のスラブ(フローリングを支えている鉄筋コンクリートの構造体)は一体ですから、室外機の振動は、騒音として固体伝搬し室内に入って行きます。エアコンの室外機の振動を防ぐため、この2枚重ねの防振ゴムを設置したわけです。マンションのモデルルームに行きましたら、細かいことですが、このような点も確認してみて下さい。設置されていない場合には、この防振ゴムはホームセンターで売ってますので、サイズに合わせカットすれば、防振対策になります。(94)
マンションを購入する際は、バルコニーから見える眺望も大事です。眺望を売りにしている高層マンションも数多くあります。でも、契約する時には、建物はまだないケースが多いので、実際にどういう眺望かは確認できません。こんな感じかな?と想像して部屋を決めなくてはなりません。そんなことをから、売主は、契約時に、CGで窓から見える眺望も紹介しています。例えば、30階の部屋からは、港、橋、街並み、こんなに素敵です・・・と。
でも、ここで注意をしなくてはならないのは、CGでチェック出来るのは、昼間の眺望が多いという点です。窓から見える、昼間の眺望と夜の景色、これは全く異なります。一日の半分は昼、半分は夜ですので、昼間の眺望だけでなく、夜の景色も重要となります。夜の景色で確認したいのは、特にネオンです。
写真は、内覧会の時に高層マンションの部屋から撮ったものですが、素晴らしい眺めです。でも、手前には、いくつかの倉庫が並んでいます。倉庫の屋上や壁などには、ネオンの看板が据えられています。夜になりますと、これらのネオンが目立つ色で点滅します。これが、夕暮れから朝まで続きますので、気になってしまう場合もあるでしょう。夜の景色というのは、暗くなってみないと分かりません。お部屋からの眺めは明るい昼間だけでなく、夜も確認してみることをお勧めします。
ある日、内覧会に同行させて頂いた方から、メールを頂きました。メールには、「入居して1年です。1点、気になることがあり相談します。それは隣りの住戸からの音です。私が寝室として使用している洋室の壁の背面は、隣戸のお風呂、洗面室となっています。深夜、洗面室のドアを閉める音や洗面台の引き出しを閉める音で、眠りを妨げられることがしばしばあります。何か、解決策はありますか?」と書いてありました。
この部屋はタワーマンションで、部屋の戸境壁は乾式2重壁と呼ばれる作りで、鉄筋コンクリートではありません。乾式2重壁とは、軽量鉄骨の柱を立て、厚さ50㎜のグラスウールの遮音材を挟み込んで、両側から石膏ボードを2枚ずつ張り合わせたものです。壁の厚さは140mm程度です。
音の伝わり方は、空気伝播音と固体伝播音とに分かれます。人の声は空気伝播音ですが、電車の音がレールを伝わって聞こえるのは固体伝播音です。乾式2重壁の場合、空気伝播音に対しては遮音性能は良いのですが、固体伝播音に対しては、鉄筋コンクリートと比べると軽量なので、遮音性能が劣ると感じます。
タワーマンションの場合、建物の重量を減らすために、戸境壁に乾式2重壁を採用します。タワーマンションをお考えの方は、隣戸の間取りもチェックするのが良いと思います。全体の平面図は売主に言えば見せてくれるでしょう。写真の平面図は、苦情があったお部屋ではありません。この図面もタワーマンションですが、水周りの背中側も水周り、リビングや洋室の背中側も洋室など、寝室の背中側にはなるべく音が出ない空間となるように計画されています。(01)
写真は、タワーマンションの内覧会の時に、1階の外側を撮ったものです。大型のエアコンの室外機がズラリと並びます。1階には大きなロビーがあり、また喫茶なども入るので、このように大きな室外機が設置されます。ここまで室外機が並ぶと、室外機からの排気や振動音が気になってきます。
1階などに店舗が入るマンションの2階などの低層階をお買いになろうとしている方は、1階に入る店舗や集会室の室外機の位置を確認した方が良いでしょう。自分の部屋のバルコニーの真下に室外機が来る計画になっていたら、位置を変更するように売主に相談すべきです。振動音やにおいは防ぐのが困難です。コンビニ等であれば、長時間お店を開いてますので、お住まいになって、深刻な問題となることもあるでしょう。
マンションの部屋の購入契約時には、このような室外機の位置が明確ではありません。ですが、自分の部屋がこのような状態の可能性がある場合には、契約時でも、売主に,、どういうお店が入るのか、そして室外機の位置を確認しておくべきと思います。また、完成内覧会に行きましたら、既に取り付けられている場合もありますので、状況の最終確認をしておいた方が良いでしょう。そして、気になる位置であれば、売主に対策をお願いして下さい。(71)
性能 重量衝撃音 生活実感 軽量衝撃音 生活実感
5等級 LH‐50以上 ドスンと重い音が、 LL‐45以上 スプーンを落とすと、
小さく聞こえる かすかに聞こえる
聞こえる 聞こえる
よく聞こえる わかる
2等級以下は通常はありませんので省略します。以上のような基準がありますので、分譲会社もLL45という数字にこだわります。軽量衝撃音であるLLよりも重量衝撃音のLHの数値が大事と思いますが、この数値は表記していないことが多いです。
床の遮音については、建築基準法で何も規定されていませんので、上階の音がいくら大きく聞こえても、法律に照らし合わせて、欠陥だ、と主張する事は出来ません。裁判になっても、我慢できる範囲か、そうでないか、というあいまいな感覚で争うことになります。マンション生活で最も気になる音の問題ですが、現状は発展途上の状況です。消費者が望んでいるのは、この床の全体的な遮音性能はこうです、と分かる基準で明確に表してもらうことですが、残念ながら、そこまでになっていません。(810)
写真は、58階建てタワーマンションの23階の部屋です。写真を撮った時刻は午後2時、廊下の向こうの南向きのリビングの窓には、太陽がサンサンと輝いています。でも、ドアが開いている手前右側の洋室は、窓があるのですが、ほとんど夜のように暗いです。この洋室に入ってみますと、昼間でも暗くて、電気を点けなければほとんど見えません。
タワーマンションの場合は、ほとんどが内廊下となります。内廊下側の上の屋根は空いているのですが、高層のため、下の方の階では、廊下側の部屋までは、ほとんど太陽の光が差し込んできません。廊下側の洋室は、子供部屋になることが多いと思います。昼でも夜のように暗い部屋は、子供には、ちょっとカワイソウな気もします。
パンフレットでもモデルルームでも、このような状況はなかなか把握出来ないと思います。内廊下型のターマンションでは、下層階の廊下側の部屋の採光につきましては、注意が必要となります。このような暗い部屋を作らないために、採光を考えて設計しているタワーマンションもあります。(7103)
(約24.24坪:坪数を出すには0.303を掛ける)
ポーチ面積(アルコーブ) 4.00平方メートル
バルコニー面積・・・・・・・・ 20.00平方メートル
MB(メーターボックス)面積 1.00平方メートル
室外機置場面積・・・・・・・・ 1.00平方メートル
まず、住居専有面積ですが、部屋の壁の中心線で囲まれた面積となります。壁の中心線ですから、壁の厚みも半分入っています。これを壁芯面積(かべしん)と呼びます。もう一つ内法面積と呼ばれるものがあります。これは壁の内側部分だけを床面積とする計算方法です。この場合、壁の面積は入りませんので、「壁芯面積」より数平方メートル少なくなります。建築基準法に基づくのは「壁芯面積」、不動産登記法では「内法面積」で登記されます。一般的に部屋の広さを言う場合は、建築基準法上に基づきますので、壁芯間の面積となります。
アルコーブやバルコニーも壁芯面積で表示されます。従い、壁の中心線からの面積となります。アルコーブは3方は壁の中心、1方は廊下までとなります。通常、写真のように、アルコーブと廊下は異なる色のシートで分かるようにします。アルコーブは共用部ですが専用使用権があるからです。この使用権も売値に含まれています。また、バルコニーも3方は壁の中心、1方は先端の手すりの中心までとなります。パンフレットにそれぞれの箇所の面積表示がされますが、どういう根拠で算出したのか、また、ちゃんとあるのか、例えばバルコニーの長さだけでも内覧会で実測してみるのも大事です。この広さがあなたの大切な財産ですから。(866)
マンションの購入、これは人生の一大事です。家族がいれば、尚更、いろんなことを考えなければなりません。場所、買い物、学校、広さや間取り、向き、何階にしようか、決めるべきことが次から次です。
ここでは、マンション購入、何階が良い?について考えてみます。マンションの場合、同じ間取りでも、高層階の方が割高となります。㎡単価でみますと、1層ごとに5千円~1万円、建物によっては、それ以上高くなる場合もあります。理由は、高い階ほど眺望が良くなるからです。眺望の価値をどう考えるか、ここで決まります。
眺望を考えた場合、1階が最も安価になります。ただ、専用庭が付いたり、子供の騒音が響かないなどメリットもあります。そして、最上階は最も高価になりますが、眺望に加え、上からの音が来ないなどの良い点があります。
何階が良いかは、いろいろな要素が絡むので難しいのですが、経済的な観点から選ぶのであれば、私は、2階部分が良いと思います。理由は、1階は地下と接しているので、冷えるし結露しやすい、最上階は夏は暑いからです。それに、眺望と言う価値観は住んでしまうと変わるものと思います。(83)
写真は、マンションの内覧会で畳を上げてみたところです。畳の下には、厚さ2㎜程の青いクッションシートが敷かれています。シートの下には、床のコンクリートが見えます。このコンクリートの部分を床スラブと呼びます。この床スラブの厚さは21㎝で、内部には鉄筋が入っています。このように、床の仕上げ材である畳やフローリングを、直接床スラブに載せる方法を直床と呼びます。
もう一つの床の作り方は二重床です。二重床とは、鉄筋コンクリートの床スラブの上に短い束を立て、その上に下地を敷き並べ、畳やフローリングで仕上げます。コンピュターのアクセスフロアと同様に、フロアと床スラブの間を空ける作り方です。
写真の直床のスラブは21㎝と書きましたが、その内の20㎝は骨組みとしての床で、1㎝は仕上げのモルタルとなっています。この1㎝の仕上げモルタルはセルフレべリングと呼ばれるもので作られます。セルフレべりング、即ち、自分で平らになります、という事です。これは、モルタルに油のようなものを混ぜ、ドロッとした状態にして、床の上に流しておけば、次の日には、水平で硬くなっているわけです。このように物理的に床の表面を水平にしてしまうので、ビー球を置いても、転がってはいきません。
また、床スラブの上に置かれている畳は、化学畳と言われるもので、畳表は樹脂(い草や和紙の場合もある)、畳床は発泡スチロール、底にはシートが貼ってあります。直床の場合には、木材のフローリングの上を歩くと床スラブにぶつかって音がしてしまうので、防音のため、フローリングの底面は、5㎜程のクッション材が貼られています。その為、このような床材の場合は、どうしても、上を歩くと、フワフワ感があります。マンションを購入する際には、床の構造が、直床なのか、二重床なのか、確認すべきです。総合的な性能としては、二重床の方が上と思います。(7811)
写真はマンションの内覧会で撮りました。キッチンから、ドアを開いたところを写しています。ここで、ご覧になって頂きたいのは、ドアが開いたまま固定されているのと、内側に付いているプリーツ網戸です。
このように、キッチンの横にドアがあって開けることができれば、風も抜けるし、明るいです。写真の場合は、ドアは開けたまま固定できますが、固定できない場合もあります。一般的に、網戸があればドアは固定できるようになっているし、網戸がない場合には、固定できないと考えれば良いでしょう。
マンションをお買いになって、写真のようにキッチンの奥にドアがある場合、ドアが固定できるのか、購入時に確認した方が良いでしょう。(17)
マンションを購入する際に、気になるのは場所、価格、そして部屋の広さでしょう。部屋の広さは不動産用語では住居専有面積と呼ばれます。それでは、住居専有面積が80㎡と記載されている場合、どこをどのように測った広さを指しているのでしょうか?
一般的なマンションの部屋では、四隅に柱があって、その真ん中に戸の境となる壁があります。この壁を戸境壁(こざかいへき)と呼びます。この壁の中心線で囲まれた面積が部屋の広さとなります。壁の中心線ですから、壁の厚みも半分入っています。これを壁芯(かべしん)面積と呼びます。戸境壁の厚さが20㎝であれば、10㎝分は壁で使えない部分だけど、部屋の広さに入っているわけです。
建物というのは、下の階に行くほど上の階の重さが加わってきます。例えば、20階のマンションであれば、20階の上には何もないので、20階の骨組みは屋根だけを支えていますが、1階は2階以上の19階分を支えなければなりません。そうなると、20階と1階との骨組みの大きさは変わってきます。柱の場合、大体、5階分で5㎝ほど太くなります。20階の柱の大きさが縦横60㎝とすると、1階では80㎝になるということです。戸境壁も20階の厚さが18㎝、1階は22㎝こんな感じになります。
こうなると、同じ間取りの縦系列の部屋であっても、20階と1階とでは、専有面積は同じですが、実際に使える面積(内法面積:うちのりめんせき)は異なります。20階の方が、僅かですが、1階よりも広くなるわけです。本来なら、内法面積で広さを表した方が現実的なのですが、こうなると計算が非常に困難で複雑になってしまいます。ですので、建築の図面では、壁心間の長さや面積の表示が使われます。(72)
写真はマンションの内覧会で撮りました。ご覧になって頂きたいのは、ベランダの手すり壁に取り付けられた3本の物干し金物です。一般的には、物干し金物は2本です。手前側の2本の物干し金物は普通の長さで、奥の1本は少し短めとなっています。
多くのマンションの内覧会に立ち会ってきましたが、ベランダに3本の物干し金物があるのを初めて見ました。でも、これなら便利でグッドアイデアと思います。特に小さなお子さんがいる場合には、洗濯物を干すところが多いのは助かります。使わない場合には、折っておけばそれ程邪魔にはなりません。ベランダは共用部になりますので、勝手に物干し金物を付けることは出来ません。マンション全体で、最初からこうなっていれば、問題はありません。(57)