天井や壁の仕上げには、ビニールクロスが貼られます。ビニールクロスとは、塩化ビニール樹脂のシートに紙を裏打ちしたものです。色やデザインが豊富で、掃除もしやすい(水拭きができる)のが大きな特徴です。ビニールクロスは、90㎝巾のロールになっていて、必要な長さ分を切り取って、裏に糊付けし、貼って行きます。ですので、必ず、クロスの継ぎ目は生じます。
それでは、内覧会に行って、どのように、このクロスをチェックすれば良いのでしょうか? まず、クロスの不具合の種類ですが、汚れ、破れ、こすれ、フクレ、しわ、下地不良によるブツ、継ぎ目の開き、端部の接着不良、などがあります。ですので、天井、壁、クロスの貼られているところは、全て、このような不具合がないか、確認することになります。一般に、リビングなどは明るくてチェックし易いのですが、北側の洋室などは、昼間でも薄暗いので、内覧会には懐中電灯を持参されると良いでしょう。懐中電灯の光を上からでなく、横から当てると、クロスの不具合が分かりやすくなります。
部屋の中には、写真のように角のように出ている出隅と、入っている入隅とがあります。入隅は傷が付きにくく、出隅は工事中の人の出入りなどで、どうしても表面にこすりキズ(写真の矢印部分)が付きやすいです。また、生活が始まっても、出隅部分は損耗しやすいと言えます。玄関、リビングなどの出隅部分のクロスに、このようなキズがないか、内覧会では特によく観察して下さい。(78)
写真は、モデルルームでキッチンで高さを確認するため、実際に立ってみているところです。モデルルームに行った際のチェックポイントをご紹介致します。
1.空間を感じる
パンフレットの図面は2次元で平面しか描けません。3次元の部屋としての空間を感じ取るのはモデルルームです。モデルルームでは、生活する上での間取りと空間を同時に意識することがまず大事となります。オプション類に気を取られず、飾りのない素顔の部屋を見抜かねばなりません。
2.担当者に何でも聞く、大事な点はメモしておく
通常、売主の担当者が、一緒に回って説明してくれます。ここでは、不明な点は残さないように何でも聞いてみる、そして、後々の為に大事な点はメモしておくと良いでしょう。ただ、担当者も良いことしか言いませんし、専門的な事は意外と知らないこともあるので、確認すべき大事な点は後日回答してもらう。
3.無料のオプション類は、そこでイメージを掴む
フローリングやクロスの色、ドアや取っ手の種類、キッチンや洗面台の高さ、無料オプションがある場合があります。モデルルームでそれらの感じを体験しましょう。これらを後で変更するには、多くのお金がかかります。
4.要所の寸法や面積を測っておく
間取り図に大事なところの寸法を書き込んでおくと良いでしょう。例えば、廊下の内法、冷蔵庫や洗濯機置場の奥行きと幅、バルコニーの奥行き等。また、収納率だけでなく、それぞれの収納の実容積を確認しておくことも大事です。
5.設備機器の種類を確認
トイレ、システムキッチン、洗面台、レンジフード、バスルーム、物干し金物、これらの設備の仕様と使い勝手を確認しメモしておくと良いでしょう。例えば、システムキッチンの幅、トイレやバスルームの手すりの有無等です。
6.細かい箇所は、スマホやデジカメで撮っておく
その他細かいところは、記憶も曖昧になりやすいので、内覧会で問題となる場合が多いです。何でも細かい箇所も写真に撮っておくと良いです。(7930)
写真は戸建の建築中のもので、写っているのは1階の天井裏です。ご覧頂きたいのは矢印部分の断熱材を天井裏に敷きこんだ部分です。手前の天井裏には、断熱材は入っていませんが、これから敷きこんでいきます。
一般に、屋根裏、外壁、床下には断熱材を敷きこみますが、写真のような1階の天井裏や部屋の間仕切り壁の中には、入れ込まない場合が多いです。この住宅の設計も、元々は1階の天井裏には断熱材を敷きこまないことになっていました。そこを途中で変更して、1階の天井裏にも、厚さ55㎜のロックウール断熱材(グラスウール断熱材でも良い)を敷きこむように指示をしました。
戸建住宅の設計で最も注意が必要となるのが断熱と遮音だと思います。外からの断熱と遮音だけでなく、家の中でも独立性を高めたいものです。例えば、1階の天井裏、部屋と部屋の間仕切壁、水周りの壁、このようなところの断熱性と遮音性を高めることは大事なことでしょう。断熱材は遮音材としても使えますので、断熱材を入れ込むことは、遮音性も高まります。また、断熱材は建築基準法上は不燃材料ですから、火事の際など、1階から2階への延焼時間が少し長くなることも考えられます。
1階の天井裏、間仕切壁の中、このようなところに断熱材を入れるように設計変更しても、金額は僅かのアップで済みます。断熱材を並べたり、入れたりするだけですから、材料費と工事費込みで、4~5千円/坪程度です。但し、天井や壁を張ってしまった後では、厄介なので、契約時、上棟時など、壁や天井を張る張る前に、なるべく早い段階で要望しなければなりません。(64)
写真は、一戸建ての内覧会で、玄関周りを撮ったものです。ご覧頂きたいのは、玄関ポーチとフェンスブロック塀との隙間です(赤の矢印部分)。塀とポーチを一体に作ることは出来ませんので、このような隙間があるわけです。
ここで気になるのは、この隙間に何かを落し込んでしまった場合です。玄関ですからカギを出します。その時にカギがすべって、この隙間に転がりこんでしまうこともあるでしょう。また子供の遊び道具や枯葉やゴミなども入るでしょう。そういう時に、この隙間には手が入りませんので、拾い上げたり、掃除するのが厄介になります。
それでは、どうすれば良いのでしょうか?玄関ポーチが出来上がる前であれば、目地モルタルなどを隙間に打ち込んでもらえば良いでしょう。出来上がってしまった後では、目地モルタルなどを打ち込むのは難しいでしょうから、隙間の寸法に合ったゴム系の板などを詰め込むのが良いと思います。(755)
写真は、マンションの内覧会で撮りました。まだ誰も住んでませんので、きれいなバルコニーです。ご覧になって頂きたいのは、正面に写っている赤い矢印部分の避難口です。この板には「非常の際には、ここを破って隣戸へ避難出来ます」と書いてあります。この部屋で火災が起きた場合には、この板を破って、隣りの部屋へと避難するわけです。建物は、2方向避難としなければなりませんので、玄関から避難出来なければ、バルコニーから避難することになります。
この隣戸との境目に張ってある板を隔て板(へだていた)と言います。普段は目隠しですが、緊急の場合には破ることになります。ですので頑丈なもので作るわけにはいきません。隔て板は、厚さ5mm程、材質は珪酸カルシウム板(略称:ケイカル板)と呼ばれるものです。ケイカル板は、消石灰、珪藻土、ロックウール等に、水を加え練り合わせて作られます。火事で燃えてしまっては困るので、不燃材です。
さて、緊急時の場合には、これを破って、隣へ避難しなければなりません。その破り方なのですが、手や足で破るのではなくて、顔をこちらに向けて、隔て板にお尻を当てて、両手は壁やベランダの手すりで支えて、お尻でドンと破るのが安全で効果的です。ケイカル板は、衝撃を与えるとおせんべいのように鋭角に割れますので、素手や素足で破る場合には、怪我をする恐れもあります。(06)
以前、戸建の内覧会をさせて頂いた方から、メールが来ました。その内容は、「キッチンカウンターの下に置こうと思って、棚を買ってきました。床からカウンター下までの寸法にぴったりの高さの棚がありました。家に帰って、早速、置いてみました。ところが、カウンターの左側に寄せると入るのですが、右側に寄せると入りません。それで、床から、カウンターまでの高さを測ったら、右側の方が1㎝低くなっているのです。本来は、右側に置きたいのですが…」、というものでした。
これは困りますね。カウンターについての水平度の定義はありません。ご参考までに、床の水平度の許容値は、3/1000以下です。つまり、1000mm(1m)行って、3mm以内の上下であれば問題ありません。全く水平が理想ですが、人間が作るもの、そうはいきません。このカウンターの長さは約3m、3000mmですから、3/1000以下とすると、9mmの誤差は良いので、約、1㎝程度であれば、床の水平度としては問題がないことになります。
でも、これは、床ではなく、カウンターです。このように下に棚をおくこともあるわけです。出来れば高さぴったりの棚を置きたくなるので、左側には置けるけど、右側には置けない、これではイヤですね。内覧会では、キッチンカウンターがしっかりと固定されているか、また、床から左右のカウンターまでの寸法を確認してみましょう。床からの左右の高さが1㎝以上異なる場合には、売主に指摘すべきです。
写真は、タワーマンションの内覧会の時に、1階の外側を撮ったものです。大型のエアコンの室外機がズラリと並びます。1階には大きなロビーがあり、また喫茶なども入るので、このように大きな室外機が設置されます。ここまで室外機が並ぶと、室外機からの排気や振動音が気になってきます。
1階などに店舗が入るマンションの2階などの低層階をお買いになろうとしている方は、1階に入る店舗や集会室の室外機の位置を確認した方が良いでしょう。自分の部屋のバルコニーの真下に室外機が来る計画になっていたら、位置を変更するように売主に相談すべきです。振動音やにおいは防ぐのが困難です。コンビニ等であれば、長時間お店を開いてますので、お住まいになって、深刻な問題となることもあるでしょう。
マンションの部屋の購入契約時には、このような室外機の位置が明確ではありません。ですが、自分の部屋がこのような状態の可能性がある場合には、契約時でも、売主に,、どういうお店が入るのか、そして室外機の位置を確認しておくべきと思います。また、完成内覧会に行きましたら、既に取り付けられている場合もありますので、状況の最終確認をしておいた方が良いでしょう。そして、気になる位置であれば、売主に対策をお願いして下さい。(71)
写真は、ドライヤーで蚊に刺されてかゆい腕の部分を熱しているところです。かゆくなると、どうしても強く掻いてしまいます。かゆみがなくならないのもいやですし、何度も掻いてしまうと、刺されたところの皮膚が痛みます。蚊やダニなどに刺されてかゆいと思ったら、ドライヤーの使用をお勧めします。
使い方は、極めて簡単、写真のように、かゆいところに向かって、ドライヤーを5㎝程離して、少し熱さを感じるくらいまで、ドライヤーの熱風をかけるだけです。そうしますと、かゆみは一瞬にして引いていきます。カユミがなくなれば、皮膚を掻かなくて済みますので、皮膚はいたみません。ドライヤーをかけてから、数十分経ちますと、再度、かゆくなる時もありますが、その場合は、同じ動作を繰り返せばかゆみは取れていきます。
なんで、ドライヤーの熱を与えるとカユミが引くのか、理由は分かりませんが、恐らくカユミを起こしているものを熱で殺してしまうからだと思います。結構、このドライヤー、蚊やダニに刺された場合以外にも、水虫など皮膚がかゆいと思ったら、効果があると思いますので、ためしてみて下さい。(484)
写真はマンションの内覧会で撮りました。ここでご覧頂きたいのは、白い矢印で先のところです。分かりにくいのですが、木製のドアの表面が、かすかにふくらんでいます。ふくらんだ原因は、上に付いているスライド式のドアの丁番をビスで留める際に、ビスの打ち方が悪く、表面がふくれてしまったのです。
この丁番には、ドアの開閉の際に大きな力が加わるので、しっかりとドアに固定されなければなりません。このようにドア側に支障が出てはだめです。内覧会の際には、細かいところですが、このような箇所も確認して下さい。(209)
マイホーム、使い勝手がよく、素敵な空間にしたい、誰でもこう思うことでしょう。フロアコーティング、水周りの防カビ、窓ガラスのフィルム、白木のワックスなど、オプションにもいろいろあります。私は、費用対効果が明確でないものには、お金をかけない主義です。
そんな中で、これはオプションで頼んでも良いな、と思うのは、絵等を吊るすピクチャーレールです。このピクチャーレールには、デザインも取り付け方もいろいろあります。取り付け方には、壁の上部に付けるのと、天井の端に付ける方法とがあます。天井に付けた方が、レールが横から見えるので、その分レールの見える部分が少なくなります。また、天井に付ける場合にも2通りあります。
上の写真は、天井に付けたピクチャーレールですが、後付けと言いまして、天井を張った後に取り付けたものです。ご覧のように、天井の下に、ピクチャーレールが出てきてしまいます。
下の写真は、先付けと言いまして、天井を張る前にピクチャーレールを天井面に入れ込んでしまったものです。先付けの方が、天井面にピクチャーレールが隠れて、見栄えはすっきりと良くなります。但し、オプションで依頼する時は、先付けして下さい、と確認が要ることになります。天井を張った後では、先付けの方法は無理となります。(1.12)
写真は戸建の内覧会で撮りました。写したところは、2階の天井にある点検口のカバーを開けて、2階の天井裏です。ここでご覧頂きたいのは、中央に横たわっている金属製の排気用のダクトです。このダクトの真ん中がつぶれてしまっています。つぶれてしまった原因は、建設時に作業員が、このダクトの上を踏んだからです。これでは排気の役に立ちません。見えないところだから良いだろう、こういうのは腹が立ちます。
このダクトは、お風呂の上にある浴室乾燥機から中の空気を外に排気するものです。ですので、つぶれてしまったら、十分な排気が出来なくなります。一戸建ての内覧会では、普段見ないところ、例えば屋根裏、天井裏、床下、このようなところも点検口から覗いてみて下さい。(31.22)
性能 重量衝撃音 生活実感 軽量衝撃音 生活実感
5等級 LH‐50以上 ドスンと重い音が、 LL‐45以上 スプーンを落とすと、
小さく聞こえる かすかに聞こえる
聞こえる 聞こえる
よく聞こえる わかる
2等級以下は通常はありませんので省略します。以上のような基準がありますので、分譲会社もLL45という数字にこだわります。軽量衝撃音であるLLよりも重量衝撃音のLHの数値が大事と思いますが、この数値は表記していないことが多いです。
床の遮音については、建築基準法で何も規定されていませんので、上階の音がいくら大きく聞こえても、法律に照らし合わせて、欠陥だ、と主張する事は出来ません。裁判になっても、我慢できる範囲か、そうでないか、というあいまいな感覚で争うことになります。マンション生活で最も気になる音の問題ですが、現状は発展途上の状況です。消費者が望んでいるのは、この床の全体的な遮音性能はこうです、と分かる基準で明確に表してもらうことですが、残念ながら、そこまでになっていません。(810)
そこで、内覧会の時に、このガスメーターの位置では車をぶつける可能性があるので、家の正面側に移設して欲しい、という要望を出しました。移設工事は大変なので、最初は業者も渋っていましたが、どうにか説得して、最終的には、無償で移設することを了解してくれました。
移設することを無償で了解してくれましたが、このような設計上の問題は、計画の段階でチェックしておく方が手間がかかりません。ガスメーターは月に一度は検針に来ます。ですから、人が入れない位置に置くことは出来ません。検針も問題なく出来て、危険性もないところ、設計の段階で吟味して、適切な位置に置かれるべきです。(76)
写真はマンションの内覧会で撮りました。部屋の外にはきれいなお花の庭が見えて、その向こうは青い海が望めます。そんな景色を楽しむため、手すり壁もガラス製にしています。オプションでベランダにウッドデッキを設置してみました。ウッドデッキと言いますが、写真は木材のように見える硬質の樹脂製です。ベランダは環境の厳しいところですから、樹脂製の方が丈夫です。
リビングとデッキとを同じ高さにしたので、ベランダに出やすくなりました。また、リビングの床と一体感が出てきますので、広がりを感じます。ウッドデッキを置いただけで、部屋の趣は随分と変わるものです。このように景色が良いお部屋であれば、ベランダにウッドデッキを設置したくもなります。
ただ、ベランダは環境的には極めて厳しいところです。強い日差し、雨、風、このような過酷な気象条件の中で、長い間、ウッドデッキは耐えなくてはなりません。年月の経過と共に、デッキが反って来る、色が落ちてくる、そうなると、返って汚くもなってしまいます。また、デッキ間に隙間も出ますので、物を落としたらどうする、掃除をどうする、なども考えておかねばならないでしょう。
また、ベランダは共用部ですのでマンション住民全員の資産となります。ただ、専用使用権という、ここに住む人だけが使用する権利が与えられています。ですので、取り外しが出来るようにしておかなければなりません。(8718)
写真は、戸建の洗面室の天井に付けたパイプを撮りました(赤い矢印部分)。左側が洗面台、右側がバスルームとなっています。戸建の場合、洗面室にはバスタオル掛けが付いていない、ということが結構あります。お風呂の後に使ったバスタオルを掛けるものがないのです。売主は、使うのなら、自分で付けて、という考えなのでしょう。
自分で付けてと言われても、どこでも好きなところに付けるわけにはいきません。なぜなら、パイプを取り付ける位置には、壁に下地が入っていないとしっかりと支持金物を取り付けることが出来ないからです。
後から下地を入れることは大変なので、既にある柱や間柱に取り付けることになります。柱や間柱の位置を知るのは、簡単ではありません。ですので、こういう位置にパイプを取り付ける際には、施工業者にお願いするのが良いでしょう。施工業者はどこに柱や間柱が入っているのか知っているからです。 ただ、施工業者にお願いしても、「それでは3万円頂きます」などと言ってくる場合もあります。そんなお金はもったいないので、ホームセンターに行って、パイプを買ってきて、自分で取り付けることも出来ます。その場合、付けたい位置に下地があるかを業者に確認して下さい。そして、その位置の内法を測って、その長さのマイナス1㎝でパイプを切ってもらえば良いでしょう。例えば内法が160㎝ならば、マイナス1㎝で159㎝で切ってもらうわけです。金額は、パイプの受けと合わして2,000円ほどです。
マンションの場合には、まず、バスタオル掛けは付いていますが、通常、1本分だけです。家族が多い時はこれでは足りません。その場合、洗面所にこのようなパイプを後から付けると便利です。洗面所であればお風呂にも洗濯機にも近いので、干すもの楽です。パイプを付ける際には、長めのビスで、下地のあるところに付けて下さい。(03)