新居に住んでみると、新たな不具合が出てきたり、元々の不良箇所に気が付いたりします。このような場合は、どうすれば良いのでしょうか?建物の引渡しを受けますと、買主はアフターサービスと瑕疵担保責任という保証に従って、不具合の補修等の請求をすることになります。
アフターサービスは法律で定められたものではありません。売主がサービスとして行っています。サービスと言えども、勿論、この予想金額は販売価格の中に含まれています。通常、売主から買主にアフターサービス規準が渡されますので、それに従って、買主は補修を要請していくことになります。
一方、瑕疵担保責任というのは、法律で定められたものです。住宅の瑕疵担保保証には3種類の法律が絡んできます。それは、民法、宅地建物取引業法(宅建業法)、並びに住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)です。それでは、どのように瑕疵の担保について規定しているのでしょうか?
①民法:買主が瑕疵を発見した時から1年以内
②宅建業法:物件の引渡しの日から2年以上
③住宅品確法:構造上(地盤を含む)及び雨水の浸入の瑕疵については10年間、但し20年まで伸長可能
以上のように定めています。つまり、法律上の瑕疵担保責任は、引渡しの日から2年以内、構造及び雨水による漏水については10年間、但し、瑕疵に気づいたらなるべく早く言う、と認識しておけば宜しいと思います。尚、瑕疵の担保には、瑕疵修補請求権、損害賠償請求権、契約の解除権などがあります。以上の取り決めにつきましては、マンションも一戸建も基本的には同じです。(72)
写真は、一戸建ての内覧会で洗面台横のタオル掛けに実際にタオルを掛けてみたところです。このタオル掛けは洗面台の上から60㎝の位置に取り付けられています。タオルの長さは80㎝程が多いです。それを二つに折ると40㎝になります。従い、40㎝以下では、タオルを掛けた時に、タオルの端が洗面台に接してしまうことになります。洗面台の上は濡れたり、石鹸を置いたり、また、タオルを使えばずれたりもします。
そんなことを考えますと、タオル掛けの高さは、洗面台から60㎝以上が良いでしょう。一戸建ての場合には、内覧会の時点では、タオル掛けが付けられていない場合があります。その場合には、60㎝以上の高さに付けるのが良いと思います。(419)
写真は、マンションの内覧会時に、洗面所に貼られたソフト幅木の接着不良の箇所を撮ったものです。ソフト幅木の取り付けは、接着剤を塗りつけてから幅木をあてて、ローラーで押しつけて接着させます。一般に、真ん中部分はしっかり付いていることが多いのですが、端部がこのように接着が充分でない場合がよくあります。
チェックの仕方は、ソフト幅木の上端部を、指の先で触れて、軽く浮かせてみます。そして、固く接着していて浮いてこなければ良いでしょう。浮いてくるようであれば、しっかりと接着させるように指摘して下さい。幅木は壁の最下部に付けられます。その目的は、壁と床との境目のラインを引き締めること、そして、掃除機や足からの衝撃から壁を守ることです。幅木の材質には、木材や石、タイル、塩化ビニールなどです。
幅木は床の一部とも考えられるので、使われる材質は床に合わせます。石幅木は床に石が貼られる玄関、木幅木はフローリング床仕上げのリビングや洋室、そして洗面所やトイレなどには、写真のような塩化ビニール製の幅木(ソフト幅木と言います)が使われることが多いです。値段は、ソフト幅木→木幅木→石幅木と上がっていきます。(766)
写真は、マンションの内覧会でクローゼットを撮りました。このようなクローゼットは、マンションでも戸建でも、よく見受けられます。クローゼットの中には、上下に棚板があって、上の棚板の下にはハンガーパイプがある、こういうタイプが一般的です。この棚板は、上下に移動可能なもの、固定されているもの、いろいろです。
ここでご覧頂きたいのは、ハンガーパイプです。一般には、ここのハンガーパイプは1本だけ付いているというケースがほとんどです。でも、このパイプがもう1本下に付いていれば、洋服は倍掛けられるのです。クローゼットの高さが、2m程あれば、上の棚板をはずせば、男性のスーツも上下に掛けられます。このハンガーパイプはオプションでも依頼できますし、ホームセンターでも取り扱っています。(11)
写真は、マンションの一室で、床鳴りを直すため、フローリングをはがし、張り替えているところです。茶色の部分はフローロングが残っているところで、白く見えるところはフローリングをはがしたので下地のボードが見えています。
このマンションは、新築の引き渡しから1年が経ちました。半年点検でも床鳴りがあったので、売主に指摘して潤滑剤を注入したのですが、その後も改善されず、1年後の点検で、フローリングをはがし、フローリングを止めている釘を再度打ち直すことになりました。
フローリングをはがして補修した結果、床鳴りはなくなりました。ここのフローリングは幅広タイプが使われていて、ジョイントが少ない分、釘の量が少ないのでゆるみが出て、床鳴りがひどかったと思われます。新築マンションを購入後、住んでいる間に床鳴りが気になる場合には、遠慮なく、売主に直すように言うべきです。床鳴りにはいくつかの原因がありますが、最終的には、フローリングをはがして直せば、床鳴りはなくなります。(19)
左の図は、マンションの手すりの下地の位置図です。一般的に、エアコンと手すりの設置位置図は、引き渡し時に、売主から渡されます。でも、内覧会の時点で入手することも出来ます。
エアコンや手すりは、かなりの荷重がかかるので、表面の石膏ボード(厚さ12㎜)の下に、厚さ10㎜程の合板等を下地として入れてあります。ですので、この位置に、エアコンや手すりを設置しないと、将来、エアコンが落下したり、手すりが外れたりすることもあります。
例えば、手すりを取り付ける場合には、図に示された位置内に、壁から下地に届くように、
ビスの長さは12㎜+10㎜で、25㎜前後のものを使えば、しっかりと取付けることが出来ます。手すりは、年齢と共に、非常に大事になって来るので、この位置図を大切に保管しておくのが良いと思います。内覧会等に行きましたら、エアコンと手すりの下地位置の図面は、必ず入手しておくことが大事となります。
写真は、戸建の内覧会で、駐車場に車止めを設置する為、その位置を確認しているところです。写真のように、車が道路にはみ出してはダメです。道路とは、両脇にある側溝の立ち上がりの右端(赤い矢印部分)までです。そこが敷地の境界線になりますので、線の左側は公道(例えば市)で、右側がこの家の敷地になります。ですので、車を止める場合にも、この線を越えたらダメです。
駐車場に車止め(車のタイヤを止めるブロックです)を設置する場合には、写真のように車が道路にはみ出ないように、実際に車を止めてみて、確認した方が良いです。特に、奥行きのない駐車場や、将来大きな車に買い換える予定がある場合などは注意が必要となります。また、車止めを付ける際には、それが動線上、邪魔にならないかも確認する必要があります。後輪タイヤ用に2個付ける方が安心でしょうが、1個だけ付けることもできます。車止めにも、コンクリート製、プラスチック製、などがあります。(78)
写真はマンションの廊下から2ヶ所のドアノブを撮りました。右側のドアを開けるとリビングになり、左側のドアの奥は洗面所になっています。ここで、それぞれ矢印で示したドアノブを見て頂くと、角度が違うのがわかります。普通のドアノブは、写真の左側のように水平になっています。それに対し、右側のドアノブは垂直になっています。
このドアノブも、元々は水平だったのですが、この家の1歳半になった子どもが、ドアノブに届く身長になって、リビングからドアを開けて廊下に出てしまう、ということで対策を考えた結果、ドアノブを垂直に変えました。こうすると、子どもはドアを開けることができなくなりました。
もし、同じような悩みがある場合には試してみて下さい。方法は、簡単で、ドアの横か下に付いている小さなネジをドライバーか六角レンチで外します。すると、ドアの芯棒が抜けますので、それを90度回転させて、また、取りつけるだけです。子どもが大きくなったら、また元に戻せば良いです。(19)
写真はマンションの内覧会で撮りました。ご覧頂きたいのはキッチンの高さです。高さが見づらいですが、このキッチンの高さは90㎝です。この部屋の購入者は、契約時にキッチンの高さは、80、85、90㎝の中から選べたので、夫婦そろって背が高いこともあり、一番高い90㎝にしました。大正解と思います。
キッチンの高さを決める目安は、身長÷2+5㎝と言われています。身長160㎝であれば85㎝となります。でも、高めにした方が良いと思います。どうしても高い場合には台で調整できますが、低い場合には、どうしようもなく、腰に負担がかかるからです。夫婦でキッチンに立つこともありますし、子供も親より背が高くなる場合が多いでしょう。キッチンの高さを上げることは出来ますが、10~15万円程のお金がかかります。(69)
内覧会に行きまして、悩ましいのが、フローリングについてです。フローリングの不具合と言えば、キズ、ワックスの塗りムラ、フローリングの隙間、床鳴り、などです。このように比較的種類が多い不具合なのですが、それぞれの規準が明確でないため、不具合として指摘するかどうかの見極めが難しくなります。
今回はフローリング間の隙間について考えてみます。 フローリングは、部屋の一方から他方へ、名刺一枚分ほど間隔を開けて、張っていきます。名刺一枚分ですから、0.5㎜ほどです。これは、温度や湿度による伸縮を吸収するためです。夏のように温度も湿度も上がればフローリングは伸びますし、冬は逆に縮みます。伸びてせり上がったり、逆に縮んで隙間が開き過ぎないように、伸び縮み代として名刺1枚分程度空けるわけです。
写真は、内覧会でフローリングの張り方の不具合を指摘したものです。緑のテープを貼ったところの隙間は、3㎜近く開いてしまっていて、下地まで見える状態でした。この場合には、フローリングの張り直しを要求しました。フローリングは、部屋の端から一枚ずつ、張っていきます。そして、最後の端に来た時に、調整します。写真では、その調整がうまくいかなかったわけです。 フローリングの隙間をチェックするのは、季節、位置、隙間の間隔などが関係し、単純ではありません。チェックの目安として隙間が2㎜以上開き、下地材が見えるなど、気になると思えば、不具合として指摘すべきです。(712)
写真は、マンションの玄関ドアに付いているクローザーを撮りました。このクローザーのお陰で、ドアを適度な速さで開け閉めすることができます。このクローザーの横面の矢印部分をご覧下さい。上下にネジが2箇所付いてますが、このネジは、ドアの閉まる速さを調整するものです。ドアは、最初は早く閉まって、閉まる直前に遅くなります。早く閉まる段階を1、最後に遅くなる段階を2とします。このドアは2段階で閉まるので、ネジが2個付いています。ドアによっては、3段階で閉まるものもあります。その場合は、速さの調整ネジが3個付きます。
内覧会に行きましたら、この玄関ドアの閉まる早さもチェックして下さい。チェックする場合、まず、風の影響があるので、部屋の中の窓は、全部閉めます。そして、玄関ドアをいっぱいに開いて、そこで離して、ドアの閉まる速さを確認します。一般には、1は早すぎず、遅すぎず、そして、2の段階で少しブレーキがかかり、カチャとラッチ(鍵の部分)がストライク(受けの部分)に収まれば良いでしょう。
ガチャと忙しく閉まるより、ホテルのドア並みにカチャリと閉まる方がドアの格調も高まるように感じます。また、小さいお子さんがいる場合には、子供が指でも挟んで怪我をしないように、閉まる速さをより遅くしてもらうのが良いです。ドアの速さの調整は自分ですることも出来ますが、微妙な調整となりますので、内覧会の時に、なるべく施工会社にお願いする方が良いと思います。(78)
写真は戸建ての内覧会で撮ったものです。写したのはバスタブの底の部分です。青い付箋が貼ってあるところを見て頂くと、細い線でキズが入っているのが分かります。このキズの原因は、工事中に何かを落としたものと思います。このキズをどうするか、悩ましいこととなりました。補修で直すか、それとも新しいものに交換するかです。補修で直せれば簡単ですが、交換となると、バスルームの一部を壊して入れ直さなければなりません。
いろいろと検討した結果、バスタブの材質とキズの状態を見て、交換することとなりました。このように内覧会でバスタブにキズを見つけた場合、補修で直せれば、その方が家への負担は少なくなります。
バスタブの材質には、大きく分けて3種類あります。アクリル系、ポリエステル系、それからホーローです。主流はアクリル系かポリエステル系で、アクリル系の方がやや高価です。このバスタブはホーロー系であったため、表面のガラス質の下は金属なので、金属への影響を考えて交換となりました。(45)
床には、コンクリートスラブの上に直接フローリングを敷き並べる直床工法、そして、フローリングとスラブの間に空間を空ける二重床工法の2種類があります。直床工法では、こすれあうものがないので、床鳴りは原則起こりません。床鳴りは二重床の場合に生じます。内覧会で、床鳴りと思われる箇所がありましたら、写真のように、テープを✖印に付けておくのが良いでしょう。直してもらいたい重要な箇所だからです。(610)
明けまして おめでとう ございます。
旧年中はブログに訪問して頂きましてありがとうございました。今年も頑張って、一戸建てやマンションの内覧会や住まいに関する記事を書いてて行こうと思っています。今年の一年の計は、「励まし合って、人の心に火をつける」としました。真っ青な空の下、新しい希望の年を迎えました。本年も、何卒、宜しくお願い申し上げます。