ホテルのフロントの男性は、親切にも、正しい電話番号をメモに書いて、私に渡してくれました。そのメモをもらって、再度、自分の部屋に戻って来ました。アテネ市内の約50あるファイブスターホテルに、一つを除いて、全部電話をしてもワイフは探すことが出来ませんでした。疲労感とあきらめの気持ちで、ベットの上に横たわり、天井を見ながら呆然としてました。 先ほど、フロントでもらった小さなメモは机の上にあります。そこにいるとは思えないけれど、まあ、今日の最後の電話をしてみよう、と思って、ダイヤルを回しました。
また、日本から来ているワイフを探していると、何度も話した同じセリフを繰り返しました。すると、電話の相手の男性が、話を聞き終わると、あなたの名前は?と聞いてきました。今まで、このような反応のある受け答えはありませんでした。 私の名前を聞き終わると、ちょっと待って、と言われました。
そこで、ひょっとして、と今までの疲労感が一挙に消え去っていきました。待つこと、数十秒・・・ 受話器の向こうから、あなたの探している女性はここに泊まっている、と聞こえてきました。私は、それを聞いて、今から、そちらのホテルに伺うので、ワイフに連絡をして下さい、とお願いしました。時計を見ると午前4時でした。 ホテルの名前と住所を確認して、私は、部屋から飛び出しました。ワイフの泊まっているホテルの名前と住所を、私の宿泊しているホテルの受付に見せて、このホテルはどの辺りにありますか?と聞いてみました。ホテルの受付の人は、これは近いよ、このホテルの斜め向かいのあのホテルだよ、とロビーの玄関のガラス越しに教えてくれました。
私は、そのホテルに向かって、早朝のアテネの街を小走りで行きました。その間、こんなこともあるんだな、朝から探しに探して、挙句の果ては、電話帳に一つ残ったミスタイプのホテルにいて、そのホテルがこんなに近いとは・・・ そこで、ふと、さっき、「お前は最も不幸な人間だ」と言った、口ひげのおまわりさんの言葉と顔を思い浮かべました。ホテルのロビーに着くと、受付の人が待っていて、「電話の人ですか、奥さんのルームナンバーはここだよ」と、微笑みながら言ってくれました。私は、エレベーターに乗って、部屋に向かい、部屋のドアをノックしました。(その8に続きます)
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