あの静かな傑作『コロンバス』のコゴナダ監督作品の第2作。今回はなんと(一応)近未来を舞台にしたSF作品だ。だが、派手な映画ではない。それどころか、この設定から想像すると地味すぎるくらいに渋い見せ方だ。前回同様(前回はそれ自体が主題のようだったけど、今回はさりげない)お話の繋ぎに建物や周囲実景を適宜挿入するスタイルで見せる。
どこの家庭にも人間そっくりな人型AIがいる時代、AIは家族の一員のように . . . 本文を読む
久々のevkkの新作だ。今年に入って外輪さんの作品は3本目だけど、evkkとしての公演は初めてで、しかも3年ぶり(らしい)。今回は男と女の地獄のような日々を描くラブストーリー。うんなまの繁澤邦明とうさぎの喘ギの中筋和調が演じる。芝居はこの2人による静かな会話劇からスタートする。まず、彼らが付き合い、一緒に暮らし始めるまでが描かれる。そして、2人の泥沼のような悪夢の日々というパターンだ。だが、そこに . . . 本文を読む
コロナ禍と本格的に向き合う小説や映画がようやくどんどん出始めてきた感じがする。これもそんな1作だ。4組の男女のラブストーリー。コロナ禍の「おうち時間」が描かれる。登場人物は(ほぼ)8人のみ。根本宗子による舞台劇の映画化。しかも2人単位での会話劇。描かれるのは4つの二人芝居なのだ。それが交互に描かれていく。同時多発の4つのお話。
現在(2020年)から始まり、過去に戻り、再び現在に。彼らの暮らす狭 . . . 本文を読む
28歳、会社を辞めた。誰もが憧れるような大手企業に就職して、なのに「もうこんな会社にいたくない」と思い、辞表を出した。だから今、無職。住むところもなく、母親の友人宅に居候することに。30歳が目前の女性である美月と、50代後半の女性である市子との二人暮らしが始まる。親子世代の女ふたり。母親には内緒。美月が幼い頃、父親が失踪し一度は母子家庭になったが、なぜかその後父と母は復縁した。そして彼らはなんだか . . . 本文を読む
綾瀬まる「4年ぶり書下ろし長編」と本の帯にはある。そうなんだ、と思う。頻繁に新作を連発しているような印象があったので意外だった。先日の畑野智美の新作(10周年記念作品と帯にあったやつ)もたしか4年ぶりだったような。しばらく書けなかったか、書かなかったか。でも、今までの作品とは少しタッチが違う。これは彼女の新境地だ。
結婚から3年目の現在からお話は始まる。ふたりの付き合いは10代からスタートしてい . . . 本文を読む