昨年の新作が見られなかったので久しぶりの浪花グランドロマンとなる。今回は葬式のお話。母親の死去、残された3姉妹による葬儀が描かれる。この3人の罵り合いが凄まじい。ここまで仲の悪い姉妹なのだ。久々に実家に集まった3人とその家族。彼女たちだけの家族葬。これはその2日間のドラマだ。
お通夜もなし、最少人数の家族葬だが、その身近な家族が母親の遺体の前で顔を突き合わせると大声で罵り合う。葬儀の場なのにあり . . . 本文を読む
こんな小野寺史宜は初めてだ。いつもの優しいハートウォーミングとはまるで違う。これは彼の未公開だった初期作品を全面的にリライトした最新作で、彼の作家活動の原点の一翼を担う作品なのだろう。古いマンション(なのにそれをレジデンスとうたう)に住む4人の男たちのそれぞれの物語が交錯する3日間の事件。
ふたりの中学生。幼なじみの15歳。ひとりは深夜のひったくり、もうひとりは自転車泥棒に暴行を働こうとする少年 . . . 本文を読む
チェン・カイコー監督の久々の新作だ。映画館でチラシを見て、驚いた。こんな映画を彼が手掛けるのか、という衝撃だ。しかもツイ・ハーク、ダンテ・ラムと3人の共同監督作品とある。役割分担はドラマ部分がチェン・カイコーで、アクションシーンがツイ・ハーク、スペクタクル・シーンのダンテ・ラムというような感じか。それにしても問題はその内容である。明らかに国策映画臭がプンプンする。中国映画界が総力を結集した映画、で . . . 本文を読む
『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督の新作。なんと73分の中編映画なのだ。だが、この短さがこの作品にはぴったりくる。これは上映時間と映画の内容が見事に一致した幸福なパターンだ。描かれていることが小さな話で、それを不用意に説明しないしお話を広げない。説明なんかなくてもそれはちゃんと伝わるから、この上映時間になったのだ。無駄のない端正な作品に仕上がった。
幼い娘を置いて失踪してしまう母親の気持ち . . . 本文を読む
9年振りの『ガリレオ』シリーズの新作である。主人公を演じる福山雅治も歳を取った、はずだ。でも、まるで変わらない。今回柴咲コウが復帰した。監督西谷弘、脚本福田博のコンビも変わらない。原作は東野圭吾のベストセラー小説。2019年刊行の新作だ。前2作、特に前作『真夏の方程式』がよかったので少しだけ期待して見に行ったのだが、なんだか納得のいかない作品に仕上がっていた。
お話はこうだ。15年前の事件と同じ . . . 本文を読む