これはとてもわかりやすい芝居だ。老いの問題を扱って、そこを突き詰めていくのかと思いきや、エンタメとして処理していく。いいとか悪いとか言う前に、これは岩橋さんの姿勢の問題なので、これがイヤな人はとことん嫌だろうし、こういう単純さをよし、とする人もいるだろう。もうこれは好みの問題としか言いようがない。
役者の自由に任せて本来詰めるところを詰め切れない岩橋演出の甘さはいつものことだ。ひとりひとりの . . . 本文を読む
初めてカンセイの法則の芝居を見た。10デシリットルで永富さんのやり方は知っているので、それが本体である自分の劇団ではどういう形で表現されているのか、興味津々で見た。しかも、舞台監督の塚本さんから、彼らの前作がいかにすばらしかったかを聞いていたから、自ずと期待も高まる。
しかし、残念だが、今回は、彼のやり方が空回りしている気がした。10デシの時と同じで、嘘くさい設定が嘘くさいままでとどまってい . . . 本文を読む
アクサルが新境地を開こうとした野心作である。しかし、無残にも大失敗に終わった。彼らは前作『八犬伝』で、これまでの集大成を成し遂げた。あの作品は立派だった。だから、ほんとうなら、あの路線でこの作品を仕上げてもよかったし、そのほうが無難だったはずだ。題材的にも、きっと詮索のようなスタイルに違いないと思った。だが、まるで違う。
自分たちの現時点での頂点を極めた後、新しいことに挑戦して、ここまで見事 . . . 本文を読む
瀬尾まいこの新作は03年から05年に書かれた5つの短編をまとめたもの。『温室デイズ』『僕の明日を照らして』に続く作品と言うよりも、5年以上も前のものなので、これはまだ初期の頃のタッチだ。なんだかなつかしい。軽やかで、読み終えるとほっこりさせられる。
5つのデートが描かれる。それぞれ普通のデートではない。孫と祖父。教え子と老教師。クラスメートの男子2人。捨て犬を巡っての30歳のOLと大学生の男 . . . 本文を読む