人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

電気自動車は車のコモディティー化か?・・・テスラの苦悩

2018-01-10 06:09:00 | 時事/金融危機
 



■ 夢を売るイーロン・マスク、テスラ社CEO ■

2016年に鳴り物入りで発表されたテスラ社の大衆向け電気自動車「モデル3」。

0-100m加速6秒、航続距離346kmのカッコイイ電気自動車が35,000ドル。
2000ドル(22万円)を支払えば、この夢の車の予約が出来るので、全世界で373,000台の予約が殺到しました。キャンkンセルすれば返金可能なので、少しお金を持っていれば夢が買える・・。

IT業界から台頭し、テスラ社や、ロケットを垂直着陸させて再利用する商業ロケット会社「スペースX社」などのCEOを務めるイーロン・マスク氏は、アメリカで最も注目される経営者の一人です。

テスラ社のモデル3の発表当時の予約で集めた資金は7億4600万ドル(820億円)になるはずです。予約はそれからも増えているでしょうから、当座の会社の運営資金をテスラは手に入れました。

まさにアメリカンドリームを地で行くようなテスラ社とイーロン・マスク氏ですが、一方で、彼は一部の人からは「稀代の詐欺師」と目されています。

■ ラインから生産される完成車の9割が不良品 ■


世界中で大量の予約を集め。完成車の到着を待ち望む人達が大勢いる一方で、テスラのモデル3の生産は遅々として進んでいません。

2017年の第3四半期の生産台数は260台。これは生産ラインに問題がある為で、これは速やかに改善されると発表されました。続く第4四半期の生産台数は2425台に増えています。テスラ社は2018年の第2四半期には5000台を生産する目標を立てています。

テスラ社の生産の遅れは、製造工程の不備にあります。当初、テスラ社は自動化によって生産性を高める事を目論んでいた様ですが、その自動化が上手く行っていない様です。

テスラ社の従業員の証言によると、製造ラインから出て来た製品の9割が不良品で、そこから手作業で手直しが行われているらしい。部品の供給も不安定で、フロントガラスの無い状態の「完成車」がラインから次々と流れて来る事もあろそうだ。

■ 新人の社員に4か月で工場を作らせた? ■

テスラはカッコイイし、確かに性能も良い。これは、テスラ社の全世界から優秀な車の設計、開発者を高給でかき集めた結果です。これはIT業界では良く有る事で、会社ごと買収したりします。

一方でテスラ社は生産現場を軽視しています。イーロン・マスクはハバードのビジネススクーるを卒業したての新人に、4か月で工場を作れと命じたと言います。そこで、命じられた社員は操業していなかったトヨタの工場を買い取り、大急ぎで「それらしく」見える様に仕立て上げた。当然、生産ラインなどは手は加えられませんから、外装や、インテリアをそれらしく「手直し」してプレスに公開した。

その後、生産設備をテスラの生産向けに改善する訳ですが、テスラ社は製造部門を軽視し、製造部門の給料は全米の製造業の中でも低く抑えられています。結果、出来上がった製品の9割が不良品という惨状となったのです。

車の製造は設計通りに行くとは限りません。試作をし、実際の組み立ての工程に合わせて細かな設計の再調整は不可欠ですが、マスク氏は、この部分も省略して、コスト削減とスピードアップ要求して様です。だからパーツを力ずくで押し込む必要が生じ、本来ならば機械でこなす工程も人力に頼らざるを得ない・・・。

■ 車をパソコンなどのコモディテーと考えているマスク氏 ■

IT業界出身のマスク氏は車を「コモディテー化」した製品と考えている様です。きちんと設計され、企画化されたパーツを適切に組み立てれば、車が出来上がると考えているのでしょう。

「自動車産業がコモディテー化して行く」というのは、ある意味正しい考え方です。現在は世界的なメーカー同士がシャーシを共通化し、大手の部品メーカーの同じ部品を使用して生産される車が多い。大衆車の差別化は外観や内装のデザインでされます。

ただ、エンジンの技術や足回りの味付けなどは各社独自のノウハウや思想を持っていて、その技術の蓄積がメーカーの「個性」となると同時に、新興メーカーへの参入障壁ともなっていました。

マスク氏は車の心臓部であり、技術のコアであるエンジンをモーターに置き換えた電気自動車ならば、自動車製造はコモディティー化すると考えたのでしょう。これは、電気自動車に力を入れる中国も同じです。この考え方も間違ってはいません。複雑な内燃機関よりもモーターはシンプルなパーツです。

■ 製造工程のボトルネックは次第に解決するだろう ■

テスラ社の生産体制に悲観的な記事も良く見かけます。

一方で、現場では日々、改善が成され、かつての自動車メーカーが経験した様に、テスラ社も、徐々に製造のノウハウを蓄積していくハズです。実際に生産段数も着実に拡大しています。

アッセンブリの問題が解決すれば、部品点数の少ない電気自動車のメリットが製造工程でも生かされ、自動化も進むハズ。

■ テスラのリスクは欠陥品が大量に販売され、事故が多発する事 ■

私はテスラ社の最大のリスクは、他の自動車メーカーと変わらない所に有ると考えます。

設計的、或いは製造的な欠陥品が大量に市場に供給された後に、トラブルや事故でその事実が明らかになった時に対応出来るかどうか・・・それが問題となります。

現に、以前からテスラの高級車であるモデルSでは、自動運転のプログラムによる事故や、事故後にリチウムイオン電池が燃えるケースが指摘されています。

プログラムは修正すれば良いですし、ガソリン車の方が火災の危険は高いので、これらが決定的な欠陥と言う訳ではありませんが、生産台数が増えれば増える程、リコールなどのトラブル対応のコストも上昇し、さらに集団訴訟などの危険性も増えて来ます。

仮にモデル3で重大な欠陥が発覚した時に、テスラがこれに対応できるのか・・世界の自動車メーカーは興味を持って見守っているハズです。

■ 神話の崩壊が怖い ■

テスラのもう一つのリスクは財務状況の悪さに在ります。

記者会見で大風呂敷を広げ、出資者を募り、株式を高値に誘導する手法はIT企業のそれですが、こういったベンチャー的な経営が、耐久消費財である自動車産業に向いているかどうかは、テスラ社の今後が答えを出してくれるでしょう。

テスラ社は依然赤字を垂れ流していますが、モデル3の生産が軌道に乗っても、しばらくは累積債務はなかなか減りません。

一方で、自動車各社は本気で電気自動車開発に舵を切って来ましたので、数年後にはテスラを上回る製品を発表する事は間違い無いでしょう。

これはかつてのアップルが置かれた状況に似ています。パソコンの創成期にアップルは性能と設計思想、そしてデザインによって「神話」となりますが、アップルのOSをコピーしたWINDOWSマシンの台頭によって神話は崩壊します。スティーブン・ジョブスを呼び戻してからアップルの神話は復活しますが、それが無ければアップル社を消え去っていたでしょう。

とにかく、テスラ社は「全力で逃げるスピード」を維持しない限り、神話はいつか崩壊し、既存の自動車メーカーや、新興のライバルにキャッチアップされてしまいます。だから、無謀と思えてもマスク氏は、全力で走るしか無いのです。

マスク氏とテスラ社の「神話の創造スピード」が現実に追いつかれた時、テスラの神話が崩壊するハズです。

■ テスラの「手品」はバッテリーの制御技術 ■

現代の神話を創造しようとするマスク氏とテスラ社の試みですが、実はその手法は「手品」に近い。

テスラの魅力は次の4点でしょう。

1) 実用に耐える航続距離

2) 電気自動車ならではの圧倒的な加速性
3) 未来的で高級感のあるデザイン

4) 自動運転などのテクノロジー

実は2)3)4)は既存の自動車メーカーならば今直ぐににでも実現可能でしょう。但し、「自動運転」はテスラも含め「自動」と呼べるレベルには達していません。テスラの自動運転は大型トレーラーを道路標識と認識し間違えるレベルを超えていません。

テスラ社が他の自動車メーカーと違うのは、バッテリーの低コスト化の手法です。これは独自の物では無く、ノートパソコン用のバッテリーを大量に床下に敷き詰めるという「力技」に過ぎませんが、確かに汎用パーツを流用する事で電気自動車の最大の弱点だった「コスト」をある程度克服しています。

これ、単に、ノートパソコンのバッテリーを沢山積めば良いという話では無く、各モジュールの電流量を適切に管理して過熱する事の無い様にする「技術」がテスラの売りとなっています。これがテスラの「手品」です。タネも仕掛けもしっかり有るけれど、全体として「スゴイ」事の様に見せるのが上手い。

パナソニックはテスラの工場の傍に巨大なバッテリー工場を建設しましたが、バッテリーの各モジュールのバラツキが少ない事が重要と思われるので、中国製などの安価なバッテリーをも使い続けるリスクをテスラは避けたのでしょう。

■ 電気自動車の本格普及はバッテリー技術のブレークスルーが必用 ■

世界各国の自動車会社が電気自動車の本格開発に舵を切る中で、従来のエンジン技術も捨てきれない理由は、内燃機関が未だ電気自動車よりも経済的に優れているから。

現在のバテリーの技術のボトルネックは次の通り。

1) 単位体積・単位重量当たりの充電量が少なく、少ないバッテリーでは航続距離が伸びない
2) バテリーを大量に搭載するとコストが高くなる
3) 急速充電と言えども時間が掛かり、ガソリンの給油の様な訳には行かない。
4) バッテリーの劣化や、発火問題など技術的な問題も有る

電気自動車がガソリン車と同じコストになる為には、バッテリー容量の増大と、コストダウンが不可欠です。

現在、様々な電極の組み合わせで次世代の充電池の開発が試みられていますが、東芝が昨年発表したチタンニオブ系酸化物電極を用いたリチウムイオン電池は、現在の6分の充電時間で320km走行させる技術として注目されます。但し、リチウムイオン電池は火災の危険が残るので・・・可燃性の液体を使わないリチウム空気電池などの開発をトヨタとパナソニックは進めている様です。

この他にも全固体ナトリウム電池や、全固体セラミック電池などの開発が進められていますが、実用化までには未だ時間が掛かりそうです。

■ ガソリン代が上れば電気自動車のメリットが急激に拡大する ■

私は各国が急激に電気自動車の開発を加速させた理由は「ガソリン価格の将来的な上昇」が有ると妄想しています。

「電気自動車は不便な割りに、ガソリン車に比べて高い」という評価が、現在のガソリン価格の上に成り立っています。ガソリン価格が大幅に上昇すれば電気自動車は「ランニングコストの安さ」というメリット増大します。

現代の日本の様に発電を化石燃料に頼っていては、電気自動車のメリットは生まれませんが、原子力発電や自然エネルギー発電ではメリットが出て来ます。車載用のバッテリーの技術は、自然エネルギー発電のバッファー蓄電池としても応用可能ですし、各家庭の電気自動車を、屋根に取り付けたソーラーパネルのバッファーとして利用しても良いでしょう。そうすれば、今よりも自然エネルギーの比率を高めても、電力網に流れる電力の質の低下を防げますし、昼間と夜間の電力需給のギャップも埋める事が出来ます。


・・・きっと中東戦争が始まり第三次石油ショックがやって来る・・・テスラの記事から陰謀論に脱線してしまいました・・・。





フラット化する米国債のイールドカーブ

2018-01-06 02:53:00 | 時事/金融危機


米国債金利のイールドカーブがフラット化している事が注目され始めています。

過去にフラット化から長短金利が逆転するとバブルが弾けた経験から、今後の状況が注目されます。

過去では景気後退局面でリスク市場から長期米国債市場に資金が流れて長期金利が抑制されたのだと思うのですが、今回はリスク市場にも長期米国債市場にも資金流入が続いている・・・。これって、リスク市場も債権市場も過剰流動性でジャブジャブって事では無いかと・・・。

長短金利差の縮小は景気拡大の終焉を予測するものとして本来リスク市場が警戒するハズですが、株式市場は過熱気味。何かのタガが外れている様で、不気味です。

FRBの利上げにより短期金利はジワジワと上昇します。このまま長期金利が抑制されたままだと、いずれ長短金利が逆転する事になる・・・。もう少し短期金利が上昇するとFRBの利上げにリスク市場が過敏になるハズ。

日本の金融機関の米国短気国債投資の損切が、短期金利を押し上げているとの観測も有り、円高に振れるとこの流れが加速して、米短期債の金利がポンと跳ね上がる事も有り得ます。国債金利の上昇に、株式のアルゴリズム取引が一斉に反応すると株価が一気に下落する事も。

日経平均はダウに連動していすから、日本株に投資されている方も、米国の短期金利上昇には注意が必要かと思います。

それとも、トランプの減税政策が、今後、インフレ期待を醸成して、長期金利が上昇に転じるのか?

日経平均「爆上げ」って・・・怖さしか感じないのですが

2018-01-05 05:52:00 | 時事/金融危機
 

■ 大発会の株価は741円の爆騰 ■

4日の日経平均株価は741円高で終わりましたが・・・まさに爆騰。

「ヨーロッパやアメリカの株高を受けて上昇」「日本の企業業績の好転を期待」などと解説されていますが、既に世界の株価はファンダメンタルなんて無視して動いていますから、単に過剰流動性が集まって来ているだけ。

昨年はビットコインで顕著なバブルが発生していますが、こちらは市場規模が小さいからバブルになり易い。一方、株式市場は昨年、アメリカ株に牽引される形で右肩上がりに株価が上昇して、バブルの始まりなどと言われましたが、これが加速すると、いよいよバブルも「大詰め」。

日経平均の爆騰は、まさにフィナーレを迎える市場のファンファーレ。

■ 利上げはタイミングを逸した・・・ ■

FRBは12月に0.25%の利上げを決定していますが、昨年の利上げは3回のみで合計で0.75%の利上げ。FRBが利上げを躊躇する理由は、アメリカのインフレ率が伸び悩んでいる事ですが、実質賃金の低下が続くアメリカで消費が増えるハズはありません。これは日本も同じ。

結局、企業が労働者への報酬を減らす先進国において、インフレ率が期待通りに上昇する事は難しく、インフレ率をバロメーターにする中央銀行の利上げは資産市場のバブルを生み出す結果となります。

■ バブル化によって利上げが難しくなる ■


楽天証券より

上のグラフはケース・シラー住宅価格指数(アメリカの住宅価格指標)と、S&P500株価の推移です。資産市場の価格推移としれ見れば良いのですが、既にリーマンショック(2009年)以前のレベルを超えています。リーマンショック以前のアメリカの住宅市場はバブル化していましたから、アメリカの資産市場は既にバブル化していると言ってよいでしょう。

かつてのバブルは中央銀行の利上げによって、或いは日本では日銀の総量規制などによって弾けています。現在のバブル化した資産市場も、利上によってどこかのタイミングで必ず崩壊します。(当たり前の話ですが)

だから、資産市場がバブル化すればする程、FRBの利上げは難しくなり、ECBや日銀のテーパリングも難しくなります。そして、中央銀行が利上げを躊躇すればする程、バブルは加速度的に拡大します。

■ 崩壊のその時までは儲かる ■

市場の椅子取りゲームは、ジャンジャカとマーチが鳴り響く中で続きますが、この椅子取りゲームは最後に残った者がババを引くルール。主だったプレーヤーは既にゲームを降りています。

しかし、右肩上がりの相場を見て「儲かる限りは投資を続ける」というのが市場ギャンブラーの習性。「自分は逃げられる」と考えるのも彼らの習性。それを逆手に取って、1割が儲かり9割が損をするのは市場の習わし。

「そろそろ1割の収穫祭が始まる」・・・なんて5年以上も書いているこのブログの予測はいつも外れますが・・・。



人力箱根駅伝・・・達成ならず

2018-01-04 07:34:00 | 分類なし
 
■ 人力箱根駅伝 ■

2日は実家に挨拶に行き、TVで箱根駅伝を観戦しました。一昨年ぐらい前までは、自転車で大手町から箱根の最高点まで、駅伝の交通規制に引っかかない様に走るという「箱根駅伝から逃げる」という勝手イベントをやっていましたが、最近は挑戦する自転車乗りが増えてしまい、先行する自転車を抜く度に車道側に出るのが大変。7時過ぎに大手町を出発するので、先行する自転車が多すぎる・・。

駅伝を沿道で応援すると、選手は一瞬で目の前を通り過ぎてしまうので、暖かい部屋でTV観戦が一番。箱根の最高点なんて気温2度ですから・・・。

そんなこんなで、3日も朝から熱燗飲んで、まったりと家内の携帯で駅伝を観戦していましたが(TVが無いので)、8区に入ると、どうも体がウズウズします。細胞レベルで駅伝を生で観戦したいと訴えて来ます。

そこで、おもむろに・・・ジョギングの支度をして家を出ます。12時を過ぎていたので、大手町まで15kmは走れませんが、途中までは走って気持ちを盛り上げる事に。東西線の南砂町まで来て13時になってしまったので、ここから地下鉄で大手町のゴールを目指しますが・・・どうやら青学が15km地点を既に通過しているみたいだ。

これだと大手町ゴールに微妙なタイミングなので、日本橋で地下鉄を降り、コリドー前で観戦する事に。沿道は既に人だかりとなっています。正面に陣取った青学OBが校歌を歌い始めました・・・チッ!



判官贔屓の私は、久しぶりの上位入賞を目指す東海大の応援団に紛れ込みます。9区まで3位だったはずです。

こちらの応援団、「ねえ、校歌歌える?」「いえ、私、校歌知らないもので・・・」「だよねーーー」って感じで、6大学などとは大分雰囲気が違います。



2位の東洋大学が通過して、しばらくすると3位の東海大がやって来ます。「東海大のランナーは川端です」というOBの指示で、「カワバター!! ガンバレー!!」と大声を張り上げますが・・・目の前を通り過ぎたのは「エンジ色」のユニフォーム・・・・?「エーーー、早稲田に抜かれてる!!」という悲鳴が周囲から上がり、続いて白いユニフォームと青のユニフォームが通過します。「エーーー日体大にも抜かれそぅーー!!」又も悲鳴が上がります。

結局東海大は5位でした。今年は青学の連覇を東海大か神奈川大学が阻むのでは無いかと注目された箱根駅伝ですが、結果は青学の独走。・・・うーん残念。

■ 箱根駅伝の功罪 ■

実は私、箱根駅伝、大好きですが、これを正式なレースだとは思っていません。だいたい「関東大学駅伝」ですから関東以外の大学は出場出来ませんし。

そもそも、箱根の山越えをするレースって、自転車競技じゃないんだから・・・・。

例年、往路の順位は箱根の山越えで大きく入れ替わります。山で活躍した選手は今井君や柏原君の様に「山の神」などと注目されますが、実は山登りの速い選手は実業団で活躍出来ないのが一般的。普通の長距離レースは平地の高速レースですから。(今井君は例外的に成績を出し始めていますね)

山登りは、体重の軽い小柄の選手が、歩幅の狭いピッチ走法で走った方が有利。一方、平地の高速レースでは、大柄な選手が、大きなストライドで走らないと世界には通用しません。

箱根ランナーで現在も活躍している筆頭は、東海大学の黄金期を支えた佐藤悠基が先ず頭に浮かびます。(今回も解説でしたね)。サングラスを掛けて2区を疾走する彼の姿は、ターミネーターを思わせましたが、卒業後は1万mで全日本4連覇を達成するなど活躍しました。

彼のインタビューがネットに在りますが、「日本のランナーは箱根駅伝に出る事を目標にしている人が多すぎる。だから実業団に入って目標無く走っているから記録が残せない。世界を目指しているランナーが少なすぎる」

もっとも、その佐藤悠基にした所で1万mのタイムは世界記録から1分以上も遅い訳で・・・・箱根駅伝のお祭り騒ぎの一方で、日本のお家芸でもあった長距離で世界との差が広がっています。


■ 川内、極寒ー17℃のマラソンで優勝 ■

そんなお寒い日本に長距離界にあって、もっとお寒いニュースが飛び込んで来ました。

川内優輝選手(埼玉県庁)が米ボストンで行われた「マーシュフィールド・ニューイヤーズデイ・マラソン」で優勝したそうです。何と、極寒、-17℃で行われたレースで、彼は全身タイツに目無帽といういで立ちで出走。

タイムは2時間18分56秒という、この気温では驚異的なタイムらしく、地元メディアも大きく伝えています。ちなみにこのレース、フルマラソンにエントリーしたのは3人だけで、完走は川内のみだったとか・・・。

さらに、川内の2時間20分切のレースーは76度目で、これも米国人が持つ75度という記録を抜いたとか・・・。

川内は箱根駅伝は学連選抜で出場していますが、当時は目立つ選手ではありませんでした。卒業後も埼玉県庁でフルタイムで働きながら、数多くのマラソンに出場する「市民ランナーの星」みんたいな存在でしたが・・・・。

まあ、真剣にマラソンに打ち込んでいる多くの実業団の選手からすれば…目の上のタンコブと言うか、イヤな存在なのでしょう。日本陸連からしても、もっと計画的にトレーニングをすればタイムが伸びるのにと歯痒と思うのですが・・・やはり川内は川内ですから。


そんな、こんなんで、今年はランニング復活の年として、正月から走ってます!!



人力初詣・・・達成ならず

2018-01-04 06:00:00 | 自転車/マラソン
 

■ あけましておめでとうございます ■




皆さま、明けましておめでとうございます。

新年の関東地方は冷え込みこそ厳しかったですが、良い天気に恵まれ、穏やかな正月となりました。

例年恒例となっている人力初詣ですが、昨年末に腿の裏側を肉離れしたので、今年は行ける所まで行ってみます。先週、とりあえず30km走れるまでは復調したので、調子が良ければフルマラソンの距離を目標とします。

行先は初心に戻って成田山新勝寺。津田沼からスタートして50kmの距離に在ります。新春の印旛沼を眺めながら走る気持ちの良いコースです。

昨晩、息子とその彼女とカラオケなど行っていたので、スタートは遅めも8時30分。この時間になるち日差しも暖かで、10kmも走るとウィンドブレーカーを脱がなければ汗だくになります。

花見川沿いを大和田まで遡上し、そこから新川の遊歩道を印旛沼に向かいます。走り始めて20km地点に八千代の道の駅で小休止。お腹が空いたので糖分補給で缶のお汁粉を2本一気飲み。

さて、再び走り始めようとしましたが、体が冷えたからか太腿の裏側の肉離れの箇所に違和感が有ります。長年故障している左膝も痛み始めました。無理をして怪我が再発すると2月のハーフマラソンは絶望的になるので、ここは大事を取ってバスと電車を乗り継いで成田を目指す事にします。

■ 元旦、正午の成田山は大混雑 ■

最近では日本で2番目に初詣客が多い成田山。例年300何人の人出が有るそうです。

成田山は真言宗智山派の総本山ですが、江戸時代、歌舞伎役者の市川一門が信仰した事で有名です。成田周辺の出身の初代市川団十郎は子宝に恵まれず、成田山に祈願した所、子供を授かります。それ以来、市川一門は成田山を信仰し、屋号も成田屋とします。市川一門が信仰した事から、成田山は芸事の神様?としても信仰を集めています。

江戸時代、江戸からの成田山詣では人気を博し、門前は宿泊客で賑わいました。千葉の私鉄の京成電鉄は、東京から成田の参詣客を運ぶ為に敷設された路線で、京成成田駅は門前の駅の風格が有ります。

そんな初詣の人気スポットの成田山ですから元旦の昼過ぎに本堂にお参りしようとしたら3時間待ちは当たり前。案の定、門前の坂道の上まで延々と列が伸びていました。



私は例年、この列には並ばず、裏から境内に入り、出世稲荷にお参りしています。自営業なので商売繁盛をお願いしています。



いつもは走って成田山の到着するのが3時過ぎなので、出世稲荷は20分も待てば参詣出来ますが、やはり昼過ぎは大混雑で1時間程度の列が出来ています。

本来であれば油揚げとキツネの土偶をお供えするのですが、今回はパスして、又後日お参りする事にします。



一応、本堂も確認してみますが、ご覧の人ゴミ・・・おっと、人込み。



仕方なく空いている釈迦堂にお参りしますが、ここも厄除けでは有名です。





■ 完走出来なかったのでウナギは「並」にしました ■

参道に戻ると、人、人、人・・・・。



江戸時代は成田詣での宿だった大野屋は、昭和10年の建築の木造3階建で望楼付き。現在はウナギ屋を営んでいます。成田山の参道のシンボル的な建物です。





私はウナギは近江屋と決めています。何故かって・・・最初に来た時に何となく入ったので、それ以来、縁起を担いでココに決めています。例年ですと席に着くまで待たされるのですが、今年はスンナリと入れました。時間が早いので、未だ多くの人が参詣の列に並んでいるからでしょうか?或いは景気が悪いのか・・・。



ウナギが出て来るのに少し時間が掛かるので、例年、熱燗を注文します。いつも1合徳利で2本目を飲み終える頃にウナギが出されるのですが、今年は3本目を注文する程待ちました。すると、店員さんが、「あれ、お客さん、ウナギまだ来てません?随分待たれてますよね」と言うではないか・・・。どうやら、私の注文、忘れられていたみたいです。

今年は50kmを完走出来なかったので、特上うな重肝吸い付きはお預け。並みうな重肝吸い無しを注文しましたが、随分と長い時間待たされたので、得所にランクアップしていないか少し期待してしまいました。

出て来たのは・・・これ、特上と並って見分け付かないんですよね。味がちょっと水っぽい感じがするので、多分「並」だと思います。




そんなこんなで、ほろ酔い気分で家路に付きます。正月から体を動かすと気持ちが良いですよね。