■ 「危機論」が溢れるネットの世界 ■
ネットの世界を見回すと、「陰謀論」や「危機論」で溢れかえっています。
本日は、ネットに溢れる「危機論」を分類してみたいと思います。
1) 陰謀ロマン派
「陰謀」という言葉はいつの時代も、黒く怪しく輝いて見えます。
歴史の裏側で蠢く人々。謀略と策術ンお渦巻く世界・・・。
これはある種の「ロマン」であり、
フリーメンソンの秘密集会や儀式などに興味を抱く人達系
2) オレが貧乏なのは「世界の陰謀」のせいだ系
世界にはユダヤ金融とかイルミナティーとかいう連中が居るらしい。
彼らは結託して世界経済や金融を裏から操作して莫大な富を得ている。
日本は彼らに貶められていて、
オレの給料が年々下がるのも、リストラで社員が減って仕事が増えるのも
全部、ユダ金のブタどものせいだ・・・
3) 「陰謀論」で一儲け派
「世界恐慌であなたの財産が危ない」
「誰も知らない資産保全の方法をお教えします」
「絶対安全なのは金だけ」
「現物だけが信用出来ます。希少商品につき、値上がり確実。」
この手のサイトは沢山ありますが、
「危機」に結び付くことなら何でもかんでもお構い無く書き立てるサイトから、
しっかりとした経済分析を載せているサイトまで様々。
ポラリティーを煽る事で金融界に加担する大手メディアも、この仲間とも言える。
4) 世界を操るのは宇宙人派
「エリザベス女王は実は宇宙人だった」
「イルミナティーは爬虫類型宇宙人だから残額だ」
この手の話もネットに溢れていますが、
「危機説」をブログに載せると、ヤバイネタには必ず宇宙人派がコメントしてきます。
これは「陰謀論潰し」の高度な手法で、
実際の「陰謀」を、荒唐無稽な「陰謀」でオーバーライトする事で、
「真実の陰謀」を、「オバカな陰謀論」に貶めるテクニックです
5) 世界の真実の姿を知りたい 派
「田中宇」氏に代表される、表層的な報道の裏に隠された真実を
豊富な情報と、独創的な仮説によって合理的に理解しようとする人々。
「板垣英憲」氏の様に、「~筋の話によると・・・」的なソースが不明な情報で
政治的なミスリードを狙う人達が居る事に注意が必要。
■ 弱い心は「陰謀論」や「危機論」に惹かれる ■
何故にネットの世界でこんなにも「陰謀論」や「危機論」が溢れているのでしょうか?
福島原発事故以来の「放射脳」を観察すると、
人間はどうも、「宙ぶらりんの不安」に耐えられないのでは無いかと考えてしまいます。
「目に見えず、何十年後かに結果が分かる放射線の恐怖」や、
「起こるとも、起こらないとも分からない金融崩壊や財政崩壊」など、
「白黒はっきりしない状態」を人間は嫌います。
「放射線は危険」「世界は崩壊する」という思い込みは、
ある意味において「精神の安定」をもたらします。
■ 本当は冷静な分析と、危機を回避する努力こそが重要 ■
「放射線に危険性があるのなら、徹底的に排除すれば問題無い」。
確かに一つの真実ではあるのですが、
それに掛かるコストと、それによって排除されるリスクはバランスしません。
「どうせ金融恐慌で皆不幸になるのだから、頑張ったって仕方が無い」。
これも一つの真実ですが、
私達は家族を養って、生き続けなければなりません。
結局、ネットでネガティブな情報を色々と集める事で、
私達は「危機を確信」して、心の平穏を得ていますが、
実は大事なのは、その先にどういう対策を講じるかです。
金融崩壊や財政崩壊の確率が、もし30%存在するならば、
それは、対策を講じるに値する危機です。
■ 大学に子供を進学させる事が危機回避では無い ■
「こんな時代だから、大学くらい出ていないと・・・」
こう考える親御さんも多いでしょう。
しかし、県立の中堅以下の高校を卒業して、
AO入試や推薦だけで行けるような大学に
どれ程の価値があるのでしょうか?
もし、親がリストラされたら、
子供には「大学中退」というレッテルだけが残ります。
これも一つのリスクです。
そもそも、大学を出れば、そこそこの企業に就職できる時代は
とっくの昔に終わっています。
既に一部の大学はメリットでは無く、
デメリットを生む存在である事に気付くべきです。
「勉強もしないバカな子供に無駄な教育費を掛けない」
これも危機の時代の、立派なリスクヘッジの一つです。
■ システムの老化 ■
リーマンショック、ユーロ危機、中東危機、日本財政危機、世界金融危機、通貨危機、ドル危機。
見回すと世界は「危機」で溢れ返っています。
では何故今、こんなにも「危機」が拡大しているのか。
それは、戦後60余年続いたシステムが疲弊し、
臨界点に達してしまっているのです。
アメリカを中心した資本主義は、
ドルという負債を積み上げる事で成長してきまいた。
そして金融革命以降は、シャドーバンキングという手法で、
未来の需要を先取りする形で、
ドルは負債を天文学的数字まで膨らめてしまいいました。
これは利益の最大化を遺伝子として組み込まれた資本主義の
当然の帰結とも言えます。
現在私達に問われているのは、
成長を犠牲にしてコツコツと何世代も掛けて借金を返済するか
それとも一気に破産して、次の成長を始めるかという事です。
第二次世界大戦後に世界が構築したシステム自体が
疲弊して役に立たないのですから、
コツコツと借金を返済しても、問題の本質的解決は訪れません。
■ ドルこそがアメリカの力 ■
アメリカの一極集中が現在の危機の元凶であるならば、
それを解消すれば、根本的原因が排除されます。
ではアメリカの力の源泉は何でしょうか?
それは軍事力ではありません。
強大な軍事力を、強力な通貨ドルが生み出した副産物です。
アメリカの力の源泉はあくまでもドルなのです。
ですから、アメリカの一極集中が崩壊する過程で、
ドルは必ず崩壊します。
打ち出の小槌の如く、輪転機を廻すだけで、
アメリカ人が世界の物を買える時代は終焉します。
■ 危機の本質は「ドル危機」である ■
リーマンショック以降、世界が行っているのは「ドルの防衛」です。
中国は2011年から、アメリカ国債を米財務省から直接買っています。
日本などは市場から調達しています。
これは、市場価格を透明に保つ為と説明出来ます。
では何故、中国だけがアメリカから直接買えるのか?
それは、中国を利用して、アメリカが国債価格を操作しているからに他なりません。
表面的には反目を装う米中ですが、
中国が元をドルにペックしている以上は、
中国はドルを支え続けなければなりません。
そして、何故中国がドルペックを外せないかと言えば、
それがドルの暴落の引き金になりかねないからです。
そうすれば、中国の最大の市場である米国市場が消滅します。
■ 穏便に移行するか、過激に移行するか? ■
結末は「アメリカ・ドル」の崩壊と分かっているのですが、
その過程は不明です。
1) 米中対立が激化して、中国に米国債売りの引き金を引かせる
2) 日本の財政破綻の過程で、日本の米国債売りが発生する
3) 再び金融危機が発生し、金融崩壊から米財政破綻に連鎖する
4) アメリカ国内で暴動が発生する。
ほかにも色々なシナリオが描けますが、
ショックドクトリンという手法で世界の変革を実現するならあば、
崩壊は急激に発生するはずです。
その時に慌てない為にも、準備を怠らない事が大切です。