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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

「危機論」・・・「煽り」なのか「分析」なのか?

2012-05-26 03:21:00 | 時事/金融危機
 

■ 「危機論」が溢れるネットの世界 ■

ネットの世界を見回すと、「陰謀論」や「危機論」で溢れかえっています。

本日は、ネットに溢れる「危機論」を分類してみたいと思います。

1) 陰謀ロマン派

   「陰謀」という言葉はいつの時代も、黒く怪しく輝いて見えます。

   歴史の裏側で蠢く人々。謀略と策術ンお渦巻く世界・・・。

   これはある種の「ロマン」であり、

   フリーメンソンの秘密集会や儀式などに興味を抱く人達系


2) オレが貧乏なのは「世界の陰謀」のせいだ系

   世界にはユダヤ金融とかイルミナティーとかいう連中が居るらしい。

   彼らは結託して世界経済や金融を裏から操作して莫大な富を得ている。

   日本は彼らに貶められていて、

   オレの給料が年々下がるのも、リストラで社員が減って仕事が増えるのも

   全部、ユダ金のブタどものせいだ・・・

3) 「陰謀論」で一儲け派

   「世界恐慌であなたの財産が危ない」

   「誰も知らない資産保全の方法をお教えします」

   「絶対安全なのは金だけ」

   「現物だけが信用出来ます。希少商品につき、値上がり確実。」

    この手のサイトは沢山ありますが、

    「危機」に結び付くことなら何でもかんでもお構い無く書き立てるサイトから、

    しっかりとした経済分析を載せているサイトまで様々。

   ポラリティーを煽る事で金融界に加担する大手メディアも、この仲間とも言える。


4) 世界を操るのは宇宙人派

    「エリザベス女王は実は宇宙人だった」

    「イルミナティーは爬虫類型宇宙人だから残額だ」

    この手の話もネットに溢れていますが、

    「危機説」をブログに載せると、ヤバイネタには必ず宇宙人派がコメントしてきます。

    これは「陰謀論潰し」の高度な手法で、

    実際の「陰謀」を、荒唐無稽な「陰謀」でオーバーライトする事で、

    「真実の陰謀」を、「オバカな陰謀論」に貶めるテクニックです


5) 世界の真実の姿を知りたい 派   

    「田中宇」氏に代表される、表層的な報道の裏に隠された真実を

    豊富な情報と、独創的な仮説によって合理的に理解しようとする人々。

    「板垣英憲」氏の様に、「~筋の話によると・・・」的なソースが不明な情報で

    政治的なミスリードを狙う人達が居る事に注意が必要。




■ 弱い心は「陰謀論」や「危機論」に惹かれる ■

何故にネットの世界でこんなにも「陰謀論」や「危機論」が溢れているのでしょうか?

福島原発事故以来の「放射脳」を観察すると、
人間はどうも、「宙ぶらりんの不安」に耐えられないのでは無いかと考えてしまいます。

「目に見えず、何十年後かに結果が分かる放射線の恐怖」や、
「起こるとも、起こらないとも分からない金融崩壊や財政崩壊」など、
「白黒はっきりしない状態」を人間は嫌います。

「放射線は危険」「世界は崩壊する」という思い込みは、
ある意味において「精神の安定」をもたらします。

■ 本当は冷静な分析と、危機を回避する努力こそが重要 ■

「放射線に危険性があるのなら、徹底的に排除すれば問題無い」。
確かに一つの真実ではあるのですが、
それに掛かるコストと、それによって排除されるリスクはバランスしません。

「どうせ金融恐慌で皆不幸になるのだから、頑張ったって仕方が無い」。
これも一つの真実ですが、
私達は家族を養って、生き続けなければなりません。

結局、ネットでネガティブな情報を色々と集める事で、
私達は「危機を確信」して、心の平穏を得ていますが、
実は大事なのは、その先にどういう対策を講じるかです。

金融崩壊や財政崩壊の確率が、もし30%存在するならば、
それは、対策を講じるに値する危機です。

■ 大学に子供を進学させる事が危機回避では無い ■

「こんな時代だから、大学くらい出ていないと・・・」
こう考える親御さんも多いでしょう。

しかし、県立の中堅以下の高校を卒業して、
AO入試や推薦だけで行けるような大学に
どれ程の価値があるのでしょうか?

もし、親がリストラされたら、
子供には「大学中退」というレッテルだけが残ります。
これも一つのリスクです。

そもそも、大学を出れば、そこそこの企業に就職できる時代は
とっくの昔に終わっています。
既に一部の大学はメリットでは無く、
デメリットを生む存在である事に気付くべきです。

「勉強もしないバカな子供に無駄な教育費を掛けない」
これも危機の時代の、立派なリスクヘッジの一つです。

■ システムの老化 ■

リーマンショック、ユーロ危機、中東危機、日本財政危機、世界金融危機、通貨危機、ドル危機。

見回すと世界は「危機」で溢れ返っています。

では何故今、こんなにも「危機」が拡大しているのか。
それは、戦後60余年続いたシステムが疲弊し、
臨界点に達してしまっているのです。

アメリカを中心した資本主義は、
ドルという負債を積み上げる事で成長してきまいた。

そして金融革命以降は、シャドーバンキングという手法で、
未来の需要を先取りする形で、
ドルは負債を天文学的数字まで膨らめてしまいいました。

これは利益の最大化を遺伝子として組み込まれた資本主義の
当然の帰結とも言えます。

現在私達に問われているのは、
成長を犠牲にしてコツコツと何世代も掛けて借金を返済するか
それとも一気に破産して、次の成長を始めるかという事です。

第二次世界大戦後に世界が構築したシステム自体が
疲弊して役に立たないのですから、
コツコツと借金を返済しても、問題の本質的解決は訪れません。


■ ドルこそがアメリカの力 ■

アメリカの一極集中が現在の危機の元凶であるならば、
それを解消すれば、根本的原因が排除されます。

ではアメリカの力の源泉は何でしょうか?
それは軍事力ではありません。

強大な軍事力を、強力な通貨ドルが生み出した副産物です。

アメリカの力の源泉はあくまでもドルなのです。

ですから、アメリカの一極集中が崩壊する過程で、
ドルは必ず崩壊します。

打ち出の小槌の如く、輪転機を廻すだけで、
アメリカ人が世界の物を買える時代は終焉します。

■ 危機の本質は「ドル危機」である ■

リーマンショック以降、世界が行っているのは「ドルの防衛」です。

中国は2011年から、アメリカ国債を米財務省から直接買っています。

日本などは市場から調達しています。
これは、市場価格を透明に保つ為と説明出来ます。

では何故、中国だけがアメリカから直接買えるのか?
それは、中国を利用して、アメリカが国債価格を操作しているからに他なりません。

表面的には反目を装う米中ですが、
中国が元をドルにペックしている以上は、
中国はドルを支え続けなければなりません。

そして、何故中国がドルペックを外せないかと言えば、
それがドルの暴落の引き金になりかねないからです。
そうすれば、中国の最大の市場である米国市場が消滅します。

■ 穏便に移行するか、過激に移行するか? ■

結末は「アメリカ・ドル」の崩壊と分かっているのですが、
その過程は不明です。

1) 米中対立が激化して、中国に米国債売りの引き金を引かせる

2) 日本の財政破綻の過程で、日本の米国債売りが発生する

3) 再び金融危機が発生し、金融崩壊から米財政破綻に連鎖する

4) アメリカ国内で暴動が発生する。

ほかにも色々なシナリオが描けますが、
ショックドクトリンという手法で世界の変革を実現するならあば、
崩壊は急激に発生するはずです。

その時に慌てない為にも、準備を怠らない事が大切です。

あれ、ロイターが池田信夫に反応していないか?・・・放射線危険神話の防衛に必死な世界

2012-05-24 11:40:00 | 福島原発事故
 

■ 池田信夫氏はICRPに防護基準は1000倍の過剰安全というMITのデータを紹介 ■

昨日、池田信夫氏はブログでMITのデータを紹介しています。

「ICRPの線量基準は1000倍以上の過大評価」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51790952.html

これは必読でしょう。
世界の研究者の間では、
慢性的な低線量の被曝で染色体異常は発生しない事は
常識とも言えるのでしょう。

それに対して一部の放射線危険教の学者や、
放射線を危険とする事にメリットを見出す研究機関が、
重箱の済を突く様に、低線量率被曝の危険性を見つけた様に装っているだけです。

これは「人為的二酸化炭素による温暖化仮設」と
全く同じ構造と言えます。

■ ロイターがあわててWHOの記事をぶつけて来た? ■

ロイターが本日、次の様な記事を載せています。

「WHOが被ばく線量推計、福島2カ所で最大50ミリシーベルト」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE84N00S20120524

<引用開始>

[ジュネーブ 23日 ロイター] 世界保健機関(WHO)は23日、東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて、住民の被ばく線量を推定した報告書を発表した。
専門家らによると、全身の被ばく線量が最も高かったのは、福島県浪江町と飯舘村の2カ所で10─50ミリシーベルト。このほかの同県全域では1─10ミリシーベルト、日本のほぼ全域では0.1─1ミリシーベルトだった。

WHOによると、全身被ばく線量が100ミリシーベルトを超える場合、がんのリスクが高まるという。

一方、幼児の甲状腺の被ばく線量は、浪江町で100─200ミリシーベルトだった。

報告書は、日本政府が震災後から昨年9月までに公表した、大気や土壌、水や食物に含まれる放射性物質の濃度を基に作成された。

<引用終了>

しかし良く読むと

「WHOによると、全身被ばく線量が100ミリシーベルトを超える場合、
 がんのリスクが高まるという。」

とも書いています。
この線量は累積線量ですから、時間当たりの線量としては微々たるものですが、
それでもICRPの平常時の防護基準である1(mSv/年)よりもかなりマシな数字です。

4月7日にはこんな記事も載せています。

「 福島原発事故、スリーマイルより「はるかに深刻」=国連委」(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20473920110407

<引用>

[ウィーン 6日 ロイター] 国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)のウォルフガング・ワイス委員長は6日、東京電力福島第1原子力発電所の事故について、現時点の情報では、人体に深刻な被害をもたらすとは考えられないと語った。

 ワイス委員長は、環境への影響という観点から、この事故が1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故より環境への影響が小さいものの、1979年の米スリーマイルアイランド原発事故に比べると、環境への影響が「はるかに深刻」との見方を示した。

 一方、福島での事故による健康への被害については、「現在分かっていることからすると、(放射能)レベルが低いため皆無だ。食物においても、年間1ミリシーベルトや5ミリシーベルトなどと話題にされているが、この程度では健康への大きな影響はない」と説明。

 また、日本の当局が原発周辺地域で子どもの甲状腺被曝(ひばく)調査を始めたことを評価した。


<引用終わり>


これは、この記事を取り上げた日本のスタッフの脳が「放射脳」なのかも知れません。

記事の内容は、「この程度では健康への大きな影響はない」と結論しているのに、
見出しは「 福島原発事故、スリーマイルより「はるかに深刻」=国連委」です。


これには、思わず苦笑してしまいます。

■ 「放射線は危険」と言う人達の論理がムチャクチャになってきた ■

最近、「放射線は危険」と訴える学者や研究機関の論理が、
何だか支離滅裂になってきています。

自爆したバズビーはもとより、
ガンダーセンもYoutubeでトホトはサンプル調査を公開して、
これには、放射線危険派からも、ため息が漏れています。

だって、公園で放射線量を事前に測って、
その値が高い所の土を採取しているんですから・・・・。

[[youtube:V55HhSS-5go]]

2分くらいからの映像が爆笑ものです。

雨が集まる木の根本や、
雨水が集まる窪地に放射線量が高くなる理由は、
幼稚園児にでも分かります。

そうして採取したサンプルをアメリカで測定した後、
「放射性廃棄物に相当する線量だから捨て場が無い」と困って見せます。
「・・・おいおい、あんた、それどういうジョークだよ」と
思わず突っ込みたくなります。

もう少し、頑張って下さい、ガンダーセン先生。
深夜のC級ドラマの科学者役じゃないんだから・・・。

こんな、トホホなバズビーやガンダーセンをニュースに登場させて、
放射能の恐怖を煽りたてているのですから、
欧米のメディアも結局日本と同じという事が良く分かります。



もうこれは、完全に「温暖化詐欺」をトレースしています。
そろそろ、「放射能版クライメートゲート事件」でも起きそうな気配が濃厚。






・・・仕事が忙しいので、ストレス解消に、
ちょっと過激に突っ走ってみました。



<追記>

おっと、大事な事を見逃していました。

WHOの記事の記述です。

「一方、幼児の甲状腺の被ばく線量は、浪江町で100─200ミリシーベルトだった。」

これがチェルノブイリの甲状腺癌の原因です。
比較的迅速な対策と、食品や水の規制実施された日本ですら、
200(mSv)という線量を甲状腺は被曝しています。

規制が遅れたチェルノブイリ周辺の子供達の汚染がいか程か?
それが福島の10倍であるならば、
甲状腺癌が発生して当然とも言えます。


福島のお母様方は不安だと思われますが、
福島とチェルノブイリでは、初期被曝の状況が全く異なります。

全く安全とは言い切れないのですが、
MITのデータを信用するならば、
そう悲観的になる必要も無いのでしょう。



ロン・ポールの支持に見るアメリカの変化・・・アメリカは疲れてしまった

2012-05-22 13:19:00 | 時事/金融危機
 


■ ロン・ポール大統領は有り得ない? ■

「ロン・ポールが大統領になったら・・・」
この前置きは、ほとんど意味を持ちません。

現在アメリカの若者の人気を集めるロンポールですが、
実際に彼が大統領になったら、
それこそ、アメリカどころか、世界中がパニックに陥ります。

FRBの解体。
米軍の海外からの撤退。

ロン・ポールの政策は、どれも現実的ではありません。

確かに彼の言説は、真理を語っていますが、
キレイごとで収まらないのが、世界というものです。

■ 大統領の予備選の活動を縮小したロン・ポール ■

ロン・ポールは先日、資金難を理由に、予備選から撤退する事を表明しています。
但し、共和党の大統領候補である事は止めないと言っています。

共和党の大統領候補選挙のシステムは複雑で、
予備選の得票が多い候補が、選挙人を総取りする州があったり、
比例性の様な方法で、票を振り分ける州があったりします。

ただ、現状ではロムニーが必要票を獲得する事は確実視されています。

ロン・ポールは党員集会の票で過半数を超える州が数多く存在する様ですが、
ロムニー選出の流れは、ほぼ決定事項と言えます。

■ ロンの声に耳を傾け始めたアメリカ人 ■



ちょっと古い映像ですが、
アメリカの軍人達がロンポール支持のシュプレヒコールを上げながら、
ワシントンを行進しています。

こんな事は、以前では考えられない事です。

ここに集まっているのは、極少数の人達ですから、
アメリカの軍人を代表している訳ではありません。
なんだか、退役軍人の失業者みたいな風体の人も多いので
全てが現役の軍人とも思えません。

しかし、数年前までは、ドクター中松よろしく
「大統領選で変な事を言うジイサン」程度の扱いしか受けて来なかった彼を
こんなにも多くのアメリカ人が支持する様になるとは、
誰が予想したでしょうか?

「アメリカは特別な国を止めて普通の国に戻ろう」というロンの主張に、
今、多くのアメリカ人が共感を覚えています。

そこには4年前のティー・パーティーのブームの様な熱狂も無く、
サラ・ペイリンの様なアジテータも存在しません。

ただ、少なからぬ米国の市民の耳に、
今までロンが主張してき多くの事が届く様になったのです。

■ ロンの主張はアメリカの身勝手でもある ■

多くの陰謀論者達が、ロン・ポールを持ち上げています。
彼こそが、世界の支配者に一人立ち向かう勇者だ・・・と。

しかし、彼の主張は、実は非常に身勝手なものです。

「アメリカは何故多額の税金と、若者の命を犠牲にして、
 世界の警察である必要があるのか?」

「何故、税金を集めて福祉を充実する必要があるのか?」

彼の主張は伝統的なアメリカの不干渉主義の焼き直し、
即ち、アメリカさえ良ければ、それでいいじゃないか・・・という主張にも聞こえます。

現在、ロン・ポールの主張に呼応する多くのアメリカ国民は、
「世界よりも自分達が大事」だと考える人達とも言えます。

(学生達は、中央銀行制の問題点などを理解した上で支持していますが)

■ 自信を無くして内向するアメリカ ■

GMやクライスラーが復活したり、
フェースブックが華々しく株式公開する裏で、
多くのアメリカ人が、「世界のアメリカ」に興味を失っています。

フード・スタンプの受給者達からすれば、
砂漠に撒き散らす爆弾よりも、
今日の食べ物にありつける事の方が大事に決まっています。

オバマもロムニーも彼らにしてみれば、雲の上のエリートであって、
どちらが大統領になった所で、自分達の生活は改善しないと人々は考え初めています。

■ ロン・ポールが大統領になると困る日本 ■

「国防の為に消費税は20%に、所得税も値上げ」と言われて喜ぶ日本人は居ません。
しかし、ロンが大統領になれば、これが現実化するのです。

アメリカ軍がグアムやサイパンまで退いた時、
自衛隊は単独で、中国やロシアと対峙しなければなりません。

核の傘を外されてしまえば、国防を組み立てることすら出来なくなります。

戦争とは、実際に戦闘を行う行為だけを指すものではありません。

「この条約を批准しなければ、武力行使も辞さない」という脅しこそが、
最大の威力を発揮するのです。

■ それでも、ロン・ポール大統領を見てみたい ■

そういう大人の事情からは、ロン・ポール大統領は有り得ないのですが、
個人的には、ロン・ポール大統領を見てみたい。
これは、単なる幼稚な好奇心に過ぎませんが・・・・。

もし、彼が大統領になる様なハプニングが起きるならば、
それはアメリカの自由の表れなどでは無く、
連邦の縮小すらも計画の一部である事を証明する様に思えるからです。



ギリシャの債務残高・・・そんなに大騒ぎする事か?

2012-05-21 15:53:00 | 時事/金融危機
 



■ 欧州のギリシャの債務残高をそれ程大きくない ■

ギリシャがユーロを離脱するかどうかを世界は固唾を呑んで見守っています。
一説にはドラクマの印刷の準備に入ったなどという情報もチラホラ。
元々、ギリシャ人はユーロを信用しておらず、
ドラクマが未だに地方の飲み屋で流通する様なお国柄でもある様です。

ところでギリシャの債務残高はどの程度なのでしょう?
国家と民間債務をあわせて、で欧州向けのものは下記の通りです。


1) 欧州の金融機関が保有する債務残高        計904億ドル(約7.2兆円)

2) ECB(ヨーロッパ中央銀行)が保有する債務残高 約500億ユーロ(約5.1兆円)

これが、ギリシャがデフォルトを選択した場合の
欧州諸国が被る直接的な損害です。

これはリーマンブラザーズが破綻した時の負債総額64兆円に比べ随分小さい数字です。

■ 債務の圧縮も、CDSの無効化も終わっている ■

ギリシャ危機を必要以上に拡大していたのはCDSの存在でした。
しかし、その残高は、現在は圧縮されて脅威と言えるレベルではありません。
どの様に圧縮させたのか、その方法は明らかではありませんが、
CDSが無効化された現在、ギリシャのデフォルトの威力も知れたものです。

債務も75%も圧縮したのですから、
残りの25%がデフォルトした所で、「いまさら」と言った感じは拭えません。

■ スペイン、イタリアへの危機の連鎖はあるのか? ■

欧州が心配しているのは、ギリシャでは無く、
その危機がスペインやイタリアの伝播する事です。

もし、スペインがデフォルトする様な事態になれば、
スペインの債権を大量に保有するイタリアに危機が及び、
さらにイタリアの債権を大量に保有するフランスに飛び火して、
最後はフランスの債権を大量に保有するドイツが炎上します。

ですから、ギリシャ自体は小さなマッチの火に過ぎませんが、
ユーロの崩壊危機の導火線に火をつける可能性に世界を恐怖しています。

■ 国債危機は、国債金利の急騰で加速する ■

ギリシャがユーロ離脱、デフォルトを選択した場合、
スペインとイタリアの国債が売られ、
国債金利が10%を超えて急騰する事が予想されます。

これで何が困るかと言えば、新規国債の発行コストが増えてしまいます。
こうなれば、緊縮財政で歳出をいくら削っても焼け石に水です。

さらに国債金利に連動した民間金利も上層する為、
ただでさえ弱っている国内経済に大ダメージを与えます。

■ ECBは12月に国債の買いオペで危機を回避した ■

昨年末のギリシャ危機に際しては、
ECBは100兆円の資金をばら撒いて、
銀行に国債を買い支えさせました。

それによってスペインやイタリアの国債金利が低下し、
各国とも危機を乗り切ったとも言えます。

■ 一過的な危機を乗り切れるか? ■

スペインは不動産バブルが弾けていますので、
経済はバブル崩壊後の日本同様、長期的な低迷が約束されています。
こちらは後進ヨーロッパ諸国が共通に抱える、
過剰投資の調整に時間が掛かりそうです。

一方イタリアの債務残高は確かに低くありませんが、
国内景気が悪化しなければ、短期的に崩壊に向う様な状態ではありません。

スペインで崩壊を食い止めれば、イタリアの崩壊はありません。
では、ギリシャがデフォルトを選択した場合、
スペインは救済できるのでしょうか?

これはECBが大量のスペイン国債を買い上げるか、
ユーロ安定基金やIMFがスペインに大量の資金を注入する必要があります。

何れにしても、スペインの救済はギリシャの救済に比べ、
コストが大幅に上昇します。

■ ギリシャ危機を何故放置し続けるたのか? ■

ギリシャ危機を早期に解決しておけば、
EUの負担するコストは大幅に少なかったはずです。

しかし、EUは悪しき前例を作る事で、
ギリシャに続くPIGS諸国の財政規律が緩む事を懸念しました。

ギリシャ危機が本格化する中で、
スペインも形だけは緊縮財政に舵を切り、
イタリアも実務者内閣で、財政再建に本腰になっています。

これは、ギシシャ危機によって得られた成果です。

■ G8の結果、財政規律が緩みそうだが、「財政協約」が引き締める ■

EU各国はギリシャ危機を利用した「財政協約」を締結する方向で動いています。
ベルギーなどは、この協約を批准しそうですから、
他の国々も、順次、協約を批准して行くでしょう。

フランスの大統領戦の結果と、景気悪化を受けて、
G8では、景気回復と財政再建を同時に行う事が確認されています。

ブレーキとアクセルを同時に踏む様な決定ですが、
実際には、緩和政策を先行させて、適時に財政を縮小させる方針でしょう。

■ 「財政協約」という「教官ブレーキ」があれば安全だ ■

ただ、ブレーキのタイミングを間違えると、
ギシシャの二の前になりますから、
「財政協約」という国家の財政を縛る法律で、
「教官ブレーキ」を強制的に踏むシステムをEUは構築しようとしているのです。

■ 国家主権を大幅に制約する「財政協約」 ■

各国は予算案を国会に提出する前に、
EUの承認を取る必要がありますから、
「財政協約」は国家の主権を大幅に制約するものとなります。

例えば、日本が不景気だから国債を発行して公共事業を増やそうとしても、
アメリカの承認が得られなければ、国債を発行出来ない事に等しいのです。

これは、普通に考えれば、ヨーロッパの国民の支持を得られるとは思えます。
だからこそ、ギリシャが必要だったのです。

「財政協約」を守らなければ、ギリシャの様に皆でイタブルぞ!!
これが、今回のギリシャ危機の本質です。


「財政協約」は財政状態の健全な北部欧州から批准して行くでしょう。
そして、彼らは「財政協約」を守らなければユーロを取り上げるぞと脅すのです。

■ 「成長協約」というアメも用意されているらしい ■

しかし「財政協約」だけではギリシャを例に取るまでも無く、
経済危機に苦しむ国の国民は、デフォルトとユーロ離脱を切り札にしてきます。

そこで、「成長協約」というアメをEUは準備している様です。
これは、「地方交付税」と考えると分かり易いでしょう。

共通通貨を使用する限り、後進ヨーロッパの資金は
ドイツなどに吸い寄せられてしまいます。
これをフィードバックしなければ、
後進ヨーロッパは何れ財政破綻します。

ですから「財政協約」で財政の不用意な拡大に歯止めを掛けた後、
必要なインフラ投資などに「成長協約」から出資するという仕組みを作ろうとしているのです。

これは「財政統一」に他なりません。

■ 「共通財源」は「ユーロ共通債」か? ■

但し、「成長協約」には財源がありません。
ドイツ国民の税金を使うのでは、ドイツ国民が納得しません。

ですから「ユーロ共通債」を発行して、
とりあえず、負債を10年後、30年後の未来に飛ばす事が先行されます。

「ユーロ共通債」の信用は、「ユーロ圏諸国」の信用に裏打ちされます。
様は、将来的ななEUの税収が担保となるのです。


■ ギリシャを利用したショックドクトリン ■

何れにしても国家の主権である予算決定権を一部放棄する訳ですから、
平時にこれを実効しようとしても、各国の利害が対立して決まる訳がありません。

ですから「ギリシャ危機」を演出して、ヨーロッパは壁を乗り越えようとしているのです。
この様な政治手法を「ショックドクトリン」と呼びます。

云わば、国家版の「オレオレ詐欺」もたいな物です。

■ 世界を利用したショックドクトリンも有りうる ■

尤も世界に目を移せば、アメリカも日本も財政破綻の秒読みに入っています。

さらに、中国の不動産バブル崩壊も視野に入って来ました。
中国は金融緩和を発表していますが、
ヨーロッパの危機が深化すれば、欧州勢の投資が一気に引き揚げられます。
これで、中国の不動産バブルが弾ける可能性が指摘されていいます。

結局、欧州だけ見ていればギリシャ危機が最大の問題の様に見えますが、
世界にはギリシャよりも財政状態の酷い日本が存在するのです。

日本国の借金は日本国民の預金に支えられています。
だから、日本国債はデフォルトする事が出来ません。
そこで、日銀の国債全量買取から、一気にインフレ、円安に突き進みます。

これの引き金には、国内であっては国民に示しが付きません。
ですから、財務省も日銀も政府も「ショック」の到来待ちです。

ドルという打ち出の小槌を持つアメリカですら、
ドルの魔法は解けかけています。

次に大きなショックがあれば「有事のドル買い」「有事の米国債買い」とならずに
一気に崩壊に向う可能性があります。

日米がこんな状態ですから、ユーロがマシに見えるかも知れません。
ヨーロッパはこの機を逃さずにユーロの財政統合を達成して、
ユーロの強化に動くでしょう。

■ 負け組みは誰だ? ■

さて、負け犬は誰でしょうか・・・?

アメリアでしょうか、日本でしょうか?

アメリカはドルを脱ぎ捨てて、さらに莫大な債務を脱ぎ捨てて
スッキリとスリムになって再出発するでしょう。

大統領の予備選からは撤退したとは言え、
党員集会で過半数を押さえているロン・ポールというトリックスターが、
高らかにFRBの解体を宣言するかも知れません。

「ゴメン、ドルは悪魔の偽札だったんだ」と言ったとしても
ロンが言うなら、世界は許してしまうかも知れません。

日本は、アメリア国債がデフォルトして涙も出ません・・・。


■ ギリシャ危機の巧みな誘導には日本は敵わない ■

ギリシャ危機の対応を見ていると、
欧州のテクノクラート達は、つくずくシタタカです。

このズルさは、日本人にはなかなか真似出来ません。

日本は政治家と官僚とマスコミが阿吽の呼吸で、
「何も決められない日本」を演じていますが、
これとて、危機の先延ばしはなれど、解決には程遠い作戦です。

ユーロ離脱を切り札に、テクノクラート達の要求にしっかり答える
ギリシャ人も相当のクセものです。

「バカなギリシャ人」などと高をくくっていると、
ゴッソリ持って行かれるのは、実は日本人だったりするのでご注意を!!





渇望こそが文化を生み出す・・・現代コスプレ考

2012-05-20 18:54:00 | アニメ
 

■ コスプレの起源 ■ 



いきなりのロシア人キャバクラみたいな写真で驚かれた方も多いでしょう。

本日は、「外国人の日本アニメのコスプレ」を紹介します。

実は今でこそ日本のオタク文化と思われている「コスプレ」は、
本来、アメリカの若者文化でした。

SF大会やSFワールドコンなどに
「スタートレック」や「スターウォーズ」のコスプレが出現します。



SFワールドコムの日本大会などを通じて、
コスプレ文化は日本にも伝わり
私の高校生時代のオタクな友人達は、
コミケにコスプレで出かけたりしていました。


■ 日本アニメのコスプレを楽しむ海外の若者 ■



ニコニコ動画のアカウントをお持ちでないと、
上の動画を見れないのかもしれませんが、
海外のコスプレヤー達の美しさにため息が出ます。


■ 完成度の高い海外のオタクコスプレ ■

幼い頃から日本のアニメに親しんだ欧米の若者達は、
その文化が日本製であるという事を意識していません。

日本人のオタクと同じ感覚で、
オタク文化を楽しみ、そしてコスプレに興じています。

興味深い事に、彼らのコスプレは徹底しています。
衣装のデイテールの再現性一つを取っても、
日本のコスプレーヤーに見られがちな「トホホなチープ感」がありません。

その完璧な衣装のコスプレを、
西洋人の顔立ちでやるのですから、
もうこれが美しくない訳がありません。

日本の若いコスプレーヤー達の脳内イメージを、
彼らは軽々と具現化させています。

いくつかを紹介します。


ポケモンのピカチュー・・・・ってオイオイ。


ご存知、機動戦士ガン・・・・ スミマセン。








気を取り直して・・






エヴァンゲリオン 綾波レイ ・・・反則じゃん!!白い水着を着ただけだ!! でもOK






Fateのセイバーですね。   ご本人かと思いました・・・。





「狼と香辛料」のホロです。 何か違うけど・・・・許す!!




セーラームーンですね。  
外人にも人気がありますが、意外に「かわいく」ないコスプレが多い中で、これは合格!!





BLEACHのハリベルですね・・・このマイナーキャラで、ここまでやる根性が凄い。




もう殆どCGでは無いかと思いました・・・。


これ以上は鼻血が出そうなので。

いずれにしても、コスプレは憧れのストレートの表現であり、
彼らの文化に対する愛情が伝わって来ます。


■ 文化侵略 ■

第二次大戦後、TVメディアを通して、
日本人は文化的洗脳を受けて来ました。

TVで大量に放映されたアメリカのTVドラマや
映画館で放映されるハリウッド映画を通して、
日本人はアメリカの豊かな生活に憧れました。

生活様式や食生活がアメリカ化が進み、
アメリカの輸出産業に、文化の侵食は大きく貢献します。

尤も、この戦略は工業製品においては失敗しており、
効率の最大化を目的とする、アメリカ型の経営者は、
アメリカ国内よりも生産コストの低い国に製造業を移転させます。

■ 西洋人になりたかった、「平たい顔族」 ■

一方、欧米文化への憧れを植えつけられた「平たい顔族」は、
「西洋人」になる事を渇望しました。

その端的な表れが「少女マンガ」の世界でしょう。


ベルサイユの薔薇

しかし、日本人を西洋人の顔立ちで描いたのでは、
感情移入が難しくなるので、
舞台設定を西洋にする事によって、この渇望を満たして行きます。

一方、この時代の少年マンガは、
手塚治や石森章太郎の切り開いた「漫画」の手法の上に、
「劇画」の表現様式を取り入れる事で、
「リアル」な物語を表現することに成功しています。


あしたのジョー

少年マンガの世界では、80年代頃から、
「新谷かおる」「弓月光」「聖悠紀」は元より、
車田正美の「リングにかけろ」などでは積極的に
少女マンガの画風を取りこんでゆきます。


「リングにかけろ」

この戦略は「聖闘士星矢」で結実し、
少年マンガが、大量の女性ファンを獲得する原動力となります。

■ オタクアニメの記号化 ■

キャラ萌えの原点と言えば「宇宙戦艦ヤマト」を初めとする
松本零士の女性キャラクターなのでしょう。

その後、「劇画調」だった少年マンガの絵が変質して行きます。
これは「オタクアニメ」が主導して、
その影響が漫画にフィードバックされたとも言えます。

現在の主流の絵柄は、「ハルヒ」や「けいおん」に見られる様な、
日本人的丸顔を、かわいくアレンジした顔です。





これらのキャラクターを見る限り、
日本人は、「西洋的」に依存しない個性を確立したとも言えます。
尤も、その源流は、少女マンガに求める事が出来ます。
その「大きな目」は、ベルバラ時代の名残なのでしょう。

面白い事に、日本的を記号化したようなハルヒのコスプレでは
圧倒的に日本人のコスプレの方がしっくりします。



ちょっと面白い動画を見つけました。
ロシア人が実写で再現した「涼宮ハルヒの憂鬱」です。
結構、ハルヒもミクルちゃんも、それらしい演技なのがスゴイ。
でも、根本的に何かが違う・・・。




■ 「女子高生」になりたい外国人 ■


戦後、アメリカ文化に侵食された日本ですが、
現在においてオタク文化は欧米諸国を侵略しています。

若者達は日本製と知らずに、日本のアニメを見て育ち、
そして、成長してからは「日本文化としてのアニメ」を支持するようになりました。

そして、とうとうセーラー服姿の日本の女子高生を
「かわいい」という羨望の目で見る様になったのです。

秋元康の素晴らしい所は、オタク文化をAKB48という「リアル」で出現させ、
それを海外でも展開しようとした所です。
売れないアイドルを束にして、女子高生のコスプレをさせた
そこに需要があったと言えます。

■ 幼稚化する世界 ■

一方で世界は「幼児化」の傾向を顕著にしています。

これが、生命の進化としての必然なのか、
TVなどによって、世界の人々が「幼稚化」させられているのかは、
私には判断が付きかねます。

しかし、日本のオタク文化の奥の深さは、
大人の鑑賞に堪える、漫画やアニメを生み出し続ける点にあります。

アニメを子供の文化として閉じ込めた欧米と、
カウンターカルチャーとして肯定的に捉えた日本では、
これ程までに差が開いてしまったとも言えます。

規制が緩いという事が、競争力の源でもあったのでしょう。

■ 世界を「男おいどん」で塗りつぶせ!!■


政治や経済の世界では、合衆国・日本州に成りかねない現在の状況ですが、
オタク達は密かに彼の国の若者達を洗脳しているのでした。

世界をオタクで塗りつぶせ!!



フランスのバンド、ダフト・パンク(Daft Punk)のジャケット。
何と、松本零士です。

そう、潮は満ちたのです。
かくなる上は、松本零士の「男おいどん」みたいな作品を連発して、
世界を日本化するのだぁーーー!!





(内容を大幅にアップデートしました。)