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2013年5月の日本市場に似ているけど・・・あまりに鈍感な米株市場

2017-07-04 05:32:00 | 時事/金融危機
 

■ 2013年5月の日本株市場に似ている ■

米株市場はトランプ・ラリー以来、ほぼ一本調子で上昇を続け気付けばダウ平均は22,000ドルを伺う勢いです。

これは安倍政権成立後の2012年後半~2013年前半の日本株市場の動きに似ています。安倍政権が緩和的金融政策を取る事を予想した海外の投資家達は円安を予想し、こぞって日本株を買い増しました。当時の日経平均株価は円相場にほぼリンクして動いており、円安=株高となっていたのです。

しかし、日本株を先行して買い増したジム・ロジャースやジョージ・ソロスらは2013年5月を前に一旦利確して売り抜けています。5月に入り、FRBのバーナンキ前議長がテーパリングを匂わせた事で新興国市場や日経平均が一旦崩れます。

その後、日銀が異次元緩和に踏み切った事で、日経平均は再び上昇に転じ、GPIFの資産配分の変更や、日銀の買い支えで日経平均は大崩れする事なくジリジリと2万円台まで上昇する事になります。

現在の米株市場は2013年5月頃の日本株市場によく似ており、先日、ジョージ・ソロスが利確売りをしたとの情報もネットでは飛び交っていました。FRBが資産縮小を匂わせた事で、米株が一旦調整に入ると読んだ方も多いと思いますが、意外にもこの影響は小さかった。


■ 鈍感市場 ■


リーマンショック以降、しばらく続いた過敏な市場は「株→債権→資源」と言うようなローテーションでリスク回避の為に過剰に資金が循環して荒い値動きをしていました。その後もFRBのテーパリングと利上げに過敏に反応して新興国市場や日本株市場が大きく揺さぶられています。

この空気が一転したのはイギリスのブレイクジットの影響を最小限でこなした頃からで、トランプショックも乗り切った事で、米株市場を中心に、ちょっとやそっとでは崩れない状況が生まれています。

本来ならばFRBの利上げや、資産縮小に市場はもっと反応して良いのでしょうが、それすらも「予想の範囲内」として反応しなくなっています。ECBの資産買い入れ縮小(テーパリング)には少し反応しましたが、これも短期間で収束するはずです。

この様に現在の市場はリスクに対して非常に鈍感になっています。これこそがバブルなのですが・・・市場参加者達は、それを十分に理解していながらも、最後の稼ぎを上げようと必死なのでしょう。

■ 最後に残った者がババを掴む ■

これ、椅子取りゲームやババ抜きみたいなもので、早く抜けた者が勝つゲームです。資金力のあるソロスやロジャースは余裕で最初に利確します。多分、今はショートのポジションを積み上げている事でしょう。

富裕者向けのヘッジ・ファンドなども既に多くが撤退している事でしょう。これは市場があまりに単調なので彼らが欲する利益が得られなくなった結果です。ヘッジファンドのビジネスモデルは市場を揺さぶって利益を出すものですから、ボラティリティーが低下した市場では思う様に利益が上がりません。

一方、今米株市場に流入している資金は、新興国マネーや各国の年金マネー、様々な個人向け金融商品による資金、個人投資家・・・こんな所では無いでしょうか。

日本の老人などが沢山持っている投資ファンドにも米株ファンドは大量にありますが、ファンドマネージャーはパフォーマンスを維持する為に一本調子の上昇する米株を買い増している事でしょう。

これらの「鈍感」な資金はきってバブル崩壊の餌食となります。

■ いつバブルは崩壊するのか ■

「人力はバブル崩壊と言って10年間崩壊しなかったオオカミ少年だ」と言うのがこのブログの読者の評価だと思いますが、リーマンショックから10年が経過し、そろそろ多くの方がバブル崩壊を確信し始めています。こういった「空気の変化」が実は重要なのです。

現在の状況に似ているのは2004年にグリンスパンが政策金利を上げた後でしょう。当時のアメリカの住宅市場は明らかにバブルでサブプライム層のローンが膨らんでいました。しかし、FRBの利上げから2007年のサブプライムショックの始まりまでは2年以上のタイムラグが在ります。

実はFRBの利上げ後も、量的緩和を続ける日本の資金は米国に円キャリートレードとして資金を提供し続けていたのです。日銀が量的緩和を一旦終了したのは2006年3月の事ですが、それから約1年経過してサブプライムローンの破綻が始まります。

タイムラグの理由は、サブプライムローンの借り換えが始まるまで少しズレがあった為でしょう。最初の5年のほぼタダの金利が終了して、金利が跳ね上がるまでの時間的ズレです。

■ ECBと日銀の緩和縮小やテーパリングでジリジリと資金は縮小する ■

今回のFRBの資産縮小の発表と、ECBの資産買い入れの縮小(テーパリング)とを比べると、市場はテーパリングの方に大きく反応した様です。やはり資金の縮小を気にしています。

実は日銀は金融政策の目標を金利に移しており、日本国債の購入量をひそかに減らしています。正式にアナウンスしていないので「ステルス・テーパリング」ですが、これもジワジワと効いて来るでしょう。

■ ITバブル崩壊型になるだろう ■

今回のバブルは明らかに米株市場で発ししていますから、ITバブルに近い状況、或いはブラックマンデーの様な状況で、米株市場は前触れも無くある時一気に崩れると私は予想します。

これ、前触れが分からないだけで、市場参加者がそろそろ利確しようかな・・・と思っているタイミングに誰かが大量の売りをぶつけるだけなのですが、市場が鈍感な時には売り崩しは成功しません。「そろそろ」という空気が充満した時がねらい目なのでしょう。

IT関連を中心に米株は明らかに買われ過ぎていますから、IT企業の我が世の春も、そろそろ終焉を迎えるはずです。

イーロン・マスクの泣きっ面が目に・・・おっとゲフン・ゲフン。釣られてテスラーにバッテリ工場で協力している某企業も・・・ゲフン・ゲフン・・。(これ妄想というかヤッカミ)



誰もがリスクを意識する時にこそ、投資家の腕の見せ所なのでしょうが、投資などと縁の無い私にはチャンスよりもリスクが目に着いてしまうだけなのでしょうが・・・。