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今年の最高傑作確定!! 新海誠『君の名は。』・・・細田守を消化した新海誠

2016-08-27 07:22:00 | アニメ
 



■ 今年最高の作品だと断言しよう ■

新海誠の最新劇場用作品『君の名は。』を、初日最終回に家内と観て来ました。50歳以上の夫婦だと二人で\2,200で観れてしまう。歳を取るのもたまには悪くない・・・しかし、明らかに劇場でダントツに最年長のカップルでした。

ネタバレを含めた感想は、しばらくしたらアップしますが、とりあえず感想など。

間違い無く今年公開される実写も含めた映画の中ではNo.1確定でしょう。構成からシナリオに至るまで、この映画を超える作品は、今のハリウッドでは作れない。


最大のサービスは『言の葉の庭』の雪野先生が再び教壇に立つ姿が見られる事。ここ、テストに出るから良く見ておくように!!

至高の雨が降る映画・・・新海誠『言の葉の庭』 


■ 繊細(ナイーブ)過ぎて大衆受けしない新海誠 ■

今までの新海誠の作品は『秒速5センチメートル』を観れば分かる通りナイーヴ過ぎて一般受けしませんでした。そこがファンにはたまらない魅力なのですが、電車に乗って中学生が小学校時代の初恋の相手に合いに行く、その電車の中のシーンを延々と見続けられる人は、余程の鉄道マニアかアニメオタクしか居ません。

早く彼女に会いたくて仕方無いのに、雪で電車は遅れ途中の駅で延々と待たされる。主人公も待たされるけれど、視聴者も同じ時間だけ待たされる。このなんともモドカシイ時間に魅力を感じなければ、初期の新海作品は見れません。

映画としてどうかと聞かれたら「エンタテーメントの映画としては成立していないけれど、映像表現としては孤高に到達している」と答えるでしょう。

そんな新海誠も『言の葉の庭』のヒットで、ポスト細田守との呼び声が高くなります。しかし、新海誠の作風は良く言えば「淡々としている」、悪く言えば「抑揚に欠ける」ので、観客動員を競う映画になる為には、やはり一皮も二皮も剥ける必要が有りました。

そんな彼ですが、TVコマーシャルを監督する事で、短い時間でメリハリの有るシーンを演出するテクニックを磨いた様です。

■ Z会のCMは短編映画として傑作だ ■

『言の葉の庭』の劇場で同時上映されていた野村不動産のCMは、新海誠の個人製作の『彼女とかの彼女の猫』の延長線の作品です。この頃までは、未だ過剰にナイーブでナルシスティックな作風です。

大成建設や濃毎日新聞マルコメ味噌の一連のCMでだんだんと表現が力強くなり、「Z会」のCMは『君の名は』に繫がる魅力を感じます。短編映画の傑作と言っても過言では有りません。




この映像にピンと来た方は劇場に足を運んでみてください。

■ 細田守の『時をかける少女』を200回見た新海誠?! ■

『言の葉の庭』までを新海誠の第一形態だとすると、『君の名は』は第二形態の始まりだと言えます。

ちょっとラフな評論をするならば「細田守の『時をかける少女』を200回見た後に新海誠が作った映画」なんて勝手に妄想してしまう映画です。

先ず動きや演出にリズム感を獲得しました。今までは「実写的演出」を得意としていましたが、アニメーションの魅力はやはりデフォルメされた動きや表情です。感情を内に秘めた表現より、ジブリアニメの様に動き感情を表現する方が魅力が高まります。

尤も、低予算でキャラクターを動かす事は難しいので、新海誠が始めて潤沢な予算で映画を作ったら細田守の様になった・・・のかも知れません。『時をかける少女』と『サマーウォーズ』は徹底的に研究した感はありますが。

■ ポストジブリの細田守と、ポスト細田守の新海誠 ■

スタジオジブリが活動を休止した今、ポストジブリとしてその穴埋めを期待されているのは細田守です。『バケモノの子』は明らかに「良い子のファミリー映画」です。

一方、『時をかける少女』を期待するファンは行き場を失っていました。ところが、その穴を埋める様に深海誠の第二形態が降臨しました。

これは二人のファンとしては少し複雑な気持ちでは有りますが、はたして新海誠が『おおかみこどもの雨と雪』の領域まで到達できるのか・・・期待は膨らむばかりです。




ちなみに家内はセリフの「高山弁」に大喜びでした。高山出身なので。」




<追記>


思わず「今年最高傑作」と書いてしまいましたが、まだまだ侮れません。『声の形』の上映が控えていますね。別冊マガジンの読み切り作品だった『声の形』。週刊連載が始まった時はあまりの反響に、マガジンが書店から消えてしまった。私も娘の友人経由で貸してもらって読みました。脚本・吉田玲子、監督・山田尚子(『けいおん』『たまこまーけっと』)、製作・京アニ・・・これは期待出来ます。

『ゼーガペイン』の10周年劇場版も10月に公開予定で、こちらはコアなファンには涙が止まりませんね。



<追記>

マルコメ味噌のCMをてっきり新海作品だと勘違いして記事を書いていました。訂正してお詫びします。(娘に夜食を作る父親がプラウドのコマーシャルの雰囲気に良く似ていたので・・・)

こちらは「ロボット」という映像制作会社と、「スタジオコロリド」というアニメ制作会社のコラボだそうで、「料亭の味 たっぷりお徳 母と息子」編はジブリ出身の新井陽次郎が監督している様です。新井監督とスタジオコロリドと言えば、最近『台風のノルダ』が話題になったと思います、





マルコメのCM,泣けます!!