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今度のゴジラは固定砲台だ!!・・・『シンゴジラ』

2016-07-30 03:29:00 | 映画
 

■ 不安的中の『シンゴジラ』 ■



庵野秀明と樋口真嗣がゴジラを撮る・・・エヴァのファンは大喜びでしょうが、私には不安しか感じられません。お二人ともクリエーターとしての旬は過ぎていますから・・。

庵野秀明はエヴァの近作『Q』を見れば劣化は明確ですし(私劇場で後半ほとんど寝てました)、樋口真嗣のピークは平成ガメラ三部作でした。(エヴァQの冒頭は良い出来でしたが)

映画ファンとしても名高い庵野ですが、好きだから実写映画が撮れるのかと言えば答えはNOでしょう。『シンゴジラ』ではエヴァ的な演出がいたる所に見られますが(音楽なんてそのまんまだし・・)、あの演出はアニメだからこそであって、リアルな実写では不自然さだけが目立ちます。

実は庵野監督が実写を撮れないかと言えばそうでも無く、『ラブ&ポップ』などは十分に魅力的な作品だと私は評価しています。手持ちカメラ的な不安定な絵の方が、庵野監督の実写作品には向いていると思います。

今回の『シンゴジラ』も、あまり絵を作り込まずに、ハンディーカメラのラフ編集の様なタッチで描けば「傑作」になったでしょう。カットアップなども不自然さが減ります。

同様に樋口真嗣の特撮もフルCGになった事で「見せ過ぎ」ています。平成ガメラ3部作、特にガメラ3の冒頭の渋谷の破壊シーンの様に、「見せない抑制」が恐怖を拡大するという怪獣映画の大原則を彼はどこに置いて来てしまったのでしょうか?

さらにゴジラ・・・大きすぎて固定砲台と化しています。(ちょっと巨神兵でしたが、最後融解して欲しかった・・・)



まあ、何が何だか分からない書き込みですが、『シンゴジラ』は映画として成立していませんので・・・庵野秀明と樋口真嗣の劣化具合を確認する作品としては価値が有るかと。

それとチョイ役で犬童一心監督が出ていたり、エンドロールの「建機隊エンブレム・デザイン」に出渕 裕の名前を見つけたりと、細かい所で色々と別な楽しみ方も出来ますが・・・。




オリジナルの『エヴァンゲリオン』と『平成ガメラ3部作』の出来が素晴らしいと言いたいだけなのですが。






<追記>



庵野監督の実写映画としては『ラブ&ポップ』はそこそこに面白い。特に最後の渋谷川をルーズソックスの女子高生が闊歩するシーンなどはそこそこに映像的インパクトが有ります。

ただ、当時も今も庵野監督にファンが求めているのは『エヴァ』であり、彼もその呪縛から逃れられません。同様にガンダムの呪縛にガンジガラメの冨野監督ですが、それでも『ブレインパワード』や『ターンAガンダム』など晩年に意欲作を出せる点が冨野氏の偉大な所でしょうか。


一方、自衛隊総出動のSFムービーとしては『シンゴジラ』は『ガメラ2 レギオン襲来』の足元にも及びません。

これは脚本の影響も多きい。ガメラの伊藤和典は科学的な面白さをストーリに上手く絡めています。一方シン・ゴジラの庵野監督の脚本は一本調子で緩急が無く、詰め込み過ぎです。30分枠のエヴァTV版の密度で2時間以上見せられると辛い。せめてミサトさんみたいなイイ女が出てくれば良いのですが・・・石原さとみのあの演技は…酷過ぎて言葉も有りません。