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運用比率を固定する事で損が拡大するGPIF・・・カモねぎ

2016-07-08 04:44:00 | 時事/金融危機
 

■ 運用比率を固定する事で下落市場に投資せざるを得ないGPIF ■

GPIFの運用比率は下記の通りです。

日本国債 35%
外国債券 15%
日本株  25%
外国株  25%

現在世界の投資家は第二のリーマンショックの匂いをかぎ取ってリスクを減らしています。具体的には株式市場などのリスク市場から、国債などの安全資産に資金を移しています。結果的に株価が下落し国債価格が上昇します。

そうするとGPIFの運用比率が変化します。

国債価格上昇 → 国債の運用比率上昇 → 国債売却
株価下落   → 株式の運用比率上昇 → 株式購入

なんと、私達の年金積立金は世界の投資家と逆の運用をする事でリスクを溜めこんでいるのです。まさに逆張り。

■ GPIFの資金で株価を吊り上げてショートのポジションを組むであろう米投資銀行 ■

GPIFのさらなる問題は運用を証券会社やゴールドマンサックスなどの米投資銀行に委ねている点です。

彼らはGPIFの資金で株価を吊り上げる一方で、自分達は逆のポジションを組んでいる可能性が高い。

米投資銀行が日本株を売却 → GPIFが買い支え
GPIFの資金の株価つり上げ → 米投資銀行がショートのポジションを組む

私も妄想に過ぎないかも知れませんが、私が彼らの立場ならば間違い無くこれをやります。

■ 株価操作に使われる ■

私個人としてはGPIFの資金を株式で運用する事には賛成です。日本国債の信用が揺らいだ場合、将来的に悪いインフレが始まる可能性が高まっています。その場合、日本国債を保有するよりは株式などインフレに連動して価格が上昇する資産が有利になります。

ただ、本来は年金資金は長期運用が目的ですから、安定していて将来性も高い企業に投資されるべきです。電力株や鉄道株、インフラ関連企業株などがこれに当るでしょう。

しかし、GPIFの資金で日経平均を操作しようとする場合は、日経平均株価に影響の大きい株への投資が増えるはずです。具体的にはソフトバンク、ファーストリテーリング、ファナックの日経平均御三家です。

これらの株式は流通量が少ないので少しの買いで株価が大きく吊り上り、日経平均を操作するには都合の良い株です。当然、外国人投資家もこれらの株を売ったり、買ったりして株価を操作します。

■ 変なタイミングで株を売るGPIF ■

実はGPIFの運用比率が固定化されている事でもう一つ問題が在ります。

株価が仮に暴落した場合、GPIFは運用比率が低下するので全力買い支え状態になります。これ自体はPKOとして問題は無いと思います。

ただ、株価が底を打って上昇し始めると運用比率が上昇し始めるのでGPIFはせっかく底値で買った株を放出せざるを得ません。要は将来的に儲けが出る株を安値でみすみす手放す事になるのです。

多分GPIFが吐き出す株を外国人投資家が安値で美味しく頂くはずです。

■ リスクオフの局面でジャンク債市場に手を出す愚 ■

米の利上げ以降、金利が上昇したジャンク債市場。ハイリスク、ハイリターンの典型的な市場ですが、緩和マネーの流入によりリスクの割に金利が低い状況が続いていました。要は危険な割に儲からない市場になっていたのです。

何と、GPIFがジャンク債市場に投資する事を発表しています。安全運用が前提の年金資金を「ジャンク=ゴミ」と呼ばれるハイリスク市場に投入すると言うのですから驚きです。世界の投資家がジャンク債市場から逃げ出している状況に参入するのですから・・・開いた口が塞がりません。

■ 運用比率の見直しが出来ないGPIF ■

本来ならリスクオフ局面ではGPIFの資金は国債市場に戻すべきす。ところが運用比率が固定化されているのでGPIFは逆の動きを強いられます。

ただ、仮に現時点でGPIFが運用比率を見直して資金を株式から国債に移したらどうなるでしょう。

1)日本株が暴落する
2)日銀の国債買い入れが不達になる

現在GPIFは日本株市場で池の中のクジラと化しています。クジラが日本株を売るという噂だけで日経平均が暴落する可能性が有ります。

又、日銀は異次元緩和で毎月大量の日本国債を購入していますが、需給バランスは結構タイトなはずでGPIFが国債を買いますと日銀の国債買い付けが予定額に届かなくなる可能性も有ります。

さらに日本国債の金利が異常に下がってしまう事態も懸念されます。既に20年債までがマイナス金利となる中で、金利がさらに下がり過ぎると(国債価格が上昇し過ぎる)と、さすがに「国債が高すぎる」と感じる人達が増えてきます。要は「国債バブル」が意識される様になるのです。

この様に130兆円という世界最大の年金資金は、その巨大さ故に市場に与える影響が大きく機動的な運用が制限されます。これは有る意味においては「バランサー」として評価されますが、損失が拡大する場面では「最後の買い手」になる事で損失がさらに拡大します。

■ GPIFと似たり寄ったりのゆうちょ銀行 ■

多分、GPIFと似た状態にあるのがゆうちょ銀行でしょう。一般の融資が規制されているゆうちょマネーも、マイナス金利で利益が出ない日本国債による運用からリスク運用に炙り出されています。

先般ゆうちょ銀行は「オルタナティブ投資」に参入すると発表しています。オルタナティブ投資とはヘッジ・ファンド、ベンチャー・キャピタル、非上場株式ファンド、不動産ファンド、再生系ファンドなどを指します。

長期的にじっくり腰を落ち着けて投資すれば儲かるとも言われていますが、リーマンショックの様な事態に際しては損失が拡大する恐れも有ります。

ゆうちょ銀行は預金者に金利を払う必要が有るので、ある程度のリスクは覚悟して運用する必要が有るのですが,運用担当が元ゴールドマンサックスの日本支店長だったりするのですから、心配になります。こちらも「カモねぎ」になり可能性は低くはありません。


以上、GPIFの抱えたリスクについて検証してみました。運用比率は当然弾力的に運用されていますし、運用を任された証券会社や投資銀行は、運用成績をチェックされていますから、あからさまにGPIFに損失を出す様な運用は出来ない事も確かです。

それでも、今までの様な右肩上がりの相場が終了した事で、GPIFの抱えるリスクは高くなり、さらに第二のリーマンショックともなると・・・・


多分、将来的には「消えた年金」として追求されのでしょう。