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フレディーマックとファニーメイが民間に売却される・・・MBSはどうなるのか?

2013-11-20 06:00:00 | 時事/金融危機
 

■ フレディーマックとファニーメイの住宅ローン信用保証業務が民間に売却される ■

詳しくは『闇株新聞』さんを見て欲しいのですが、どうやらフレディーマックとファニーメイの住宅ローン信用保証業務に対して、民間の投資会社・フェアホルム・キャピタル・マネジメントが520億ドルで買収提案している様です。

これが実現すれば、リーマンショック以降、国営化で破綻を免れた巨大住宅金融会社2社が民営化されることになります。

■ MBS危機とは? ■

リーマンショックの原因は、返済能力の無いサブプライム層に住宅購入資金を貸し付けた事に端を発しています。

アメリカでは国民に住宅を提供する為に、民間の銀行が貸し付けた住宅ローンの債券を国営の住宅金融会社が買い上げるシステムが存在しました。これらの会社は後に民営化されています。

住宅金融会社は銀行などから買い上げた住宅ローンの債券を大量に寄せ集めてMBS(住宅ローン担保証券)を販売します。フレディーマックやファニーメイは民間のけとする住宅ローン担保証券なので、MBSはアメリカの国家が保証する証券ではありませんが、フレディーマックやファニーメイの発行するMBSは元利保証とされていました。

MBSは元利保証とされる事で、リスクの無い金融商品と見なされていましたが、実際のサブプライム層のローン破綻が始まると、自己資本比率がオフバランスで0.45%と極端に低いフレディーマックとファニーメイは破綻を余儀なくされました。

当時発行されていたMBSの半分を発行していた2社が破綻する事の影響は世界経済の崩壊に繫がりました。そこで、アメリカはこの2社を国営化して救済せざるを得ませんでした。公的資金を注入し、FRBがMBSを買い上げる事で、MBSの完全崩壊を食い止めたのです。

一字は紙切れ同然となったMBSですが、崩壊の危機が遠のく事で、本来の価値を取り戻しつつあります。

注入された公的資金も回収されたので、民間に売却されるのでしょう。

■ MBS元利保証は無くなるであろう ■

フレディーマックとファニーメイは民営と言えども元々は公的金融機関だったので、危機に際してアメリカは国家を挙げてこの2社を救済しました。

しかし、今回はこの2社から住宅ローン信用保証業務を独立して民間に売却する事になるかも知れないので、MBSの公的保証(本来は存在しないはずですが)は無くなるはずです。

MBSは普通にリスクを伴う証券となったのです。

■ MBSを買い続けるFRB ■

現在、MBSの主な買い手はFRBです。
QE3でFRBは毎月400億ドル(約4兆円)ずつ購入しています。

MBSの市場価格を保ちつつ、さらに住宅市場に潤沢に資金を供給する事で、住宅市場の回復を図る政策と言われています。

でも、これってMBSはFRBのQE3無くしては成り立たないと言っているに等しい。或いは、FRBから銀行への資金提供と考える事も出来ます。MBSを安く買った金融機関は、FRBにMBSを売りつければ利益を出す事も出来ます。

FRBは昨年中ごろ、MBS売却の入札を行なっていました。それを再び買い戻しているのすから、支離滅裂とも言えます。

■ MBS危機は遠のいたのか? ■

一見、正常化したかに見えるMBS市場ですが、結局はFRBがテーパリングを開始すれば、混乱が生じます。最大の買い手が消えるかも知れないからです。

仮にこの様な事態が発生しても、完全に民営になった会社のMBSをアメリカが国家として保証すると「モラルハザード」が発生します。他の金融機関が発行した全てのMBSを保証するか、あるいは全く保証しないかの何れの選択しかありません。

■ テーパリングなんて到底不可能 ■

イエレン氏の議会証言以来、FRBの量的緩和のテーパリングは当面は無いだろうというのが市場の共通した見方です。

そもそも、月額4兆円という巨大な資金提供が無ければMBS市場は崩壊してしまいます。

■ 行く所まで行けば、どこかでバブルが弾ける ■

アベノミクス同様に、アメリカも中央銀行の異次元緩和で辛うじて経済と財政を支えています。一方で、市場に供給される資金はダブつき気味で、中央銀行の当座預金に積み上がっています。

既に、ダイアモンドや絵画の価格は完全にバブルの様相を呈していますが、これからは株式市場などが値上がりして、バブル状態に突入するはずです。

ダウが市場最高値を更新し続けていますが、どうもこれはダウ銘柄に買いを集中して、最高値を演出している気配が濃厚です。他の銘柄は、値下がり銘柄も少なくありません。

アメリカ株も、日本株も、「バブル」と呼ぶには、過熱感が足りない気もしますが、このまま上げてゆけば何処かで崩れる事は確実です。

資産市場はリーマンショックの反省も空しく、再びカジノ化しています。

イエレン氏が緩和縮小を遠のかせれば遠のかせる程、危機は潜在的に拡大しながら、どこかでブラックスワンが首をもたげる事になります。

それしか未来の選択肢が無い事が、現在の世界の最大の問題なのです。


<追記>

対立している様に見えて、中国はアメリカの経済の安定に大きく貢献しています。
米国債を大量保有している事は有名ですが、MBSも今年前半は月額170億ドル程度購入していた様です。

アメリカを牽制する為の目的ならば米国債の大量保有だけで充分ですから、米中の対立といのも実は茶番劇であって、実際にはベッタリではないかとも・・・。

一方、ロシアは国内での米ドルの使用を禁じる様で、銀行の米ドル預金も自動的に今のレートでルーブルに換金されてしまうみたいです。当局は2017年にはドルに決定的な危機が訪れると見込んでいる様です。これを鵜呑みにして好いかは判断が難しい所です。新興国市場が停滞する中で、ドルに圧力を掛ける事で、ルーブルを防衛しているだけとも言えますし・・・。


<追記2>

株価に関しては・・・「辰巳天井・午下がり」なんて言葉もある様で、来年は午年。